David Blecken
2016年9月01日

ヒトの脳が「AIクリエイティブディレクター」に辛勝

人間と人工知能がTVコマーシャルを制作し、競い合ったコンテスト。勝利したのは人間だったが、その差は僅かだった。

次回の成功に期待
次回の成功に期待

人工知能に広告を制作させるプログラム(AI-CD)を開発したマッキャン・ワールドグループがこの6月、あるコンテストを主催した。クロレッツの2種類のTVコマーシャルを一般公開し、好きな方を投票で選んでもらうというもので、1つは放送作家の倉本美津留氏、そしてもう1つはAI-CDが制作。どちらがどちらの作品かは、伏せられていた。

投票結果は、全体の 54%がクラモト氏の作品を選択。同氏の作品は、広々とした屋外で女性が書道に興じる姿をフィーチュアしたもの。スーツを着た犬が空を飛ぶ一風変わったAI-CDの作品は、46%の人々が支持をした。これだけの数字が出たことは、人工知能の開発に従事する人々にとって大きな励みになるだろう。

倉本美津留氏の作品

AI-CDの作品

コンテスト公表時にも述べたように、Campaignはどちらの作品にも感銘は受けなかった。書道というアイデアは新味に乏しく、人間の創造性を高らかに象徴しているとは言いにくい。一方、犬の作品は確かに面白く、記憶にも残るが、あまりにも月並みだ。AI-CDは過去の優秀な広告作品のデータを融合し、それをまとめることで答えを出していく。それが逆に、「落とし穴」にもなるのだ。

だが、希望ももてる。「AIの原理からすれば、プログラムから得るデータが多いほど良い作品ができるでしょう」とマッキャンはコメント。プロジェクトのクリエイティブプランナーである松坂俊氏は、「負けたことは大きなショック」だが、「一流のクリエイターに僅差で負けたのは成功も意味します」と述べている。

マッキャンは、投票数については公表していない。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:PTSGI 編集:水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

4 日前

世界マーケティング短信:エージェンシーの組織変革

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

4 日前

バイロン・シャープ氏が語る、COVID-19への最も賢明な対応が「広告出稿停止」だった理由

「COVID-19に関連するブランドメッセージに消費者が興味を持つだろうというマーケターの考えは“恥ずかしいほど傲慢だ”」とシャープ氏は話した。

4 日前

広告活動に回復の兆し、マーケターの信頼が回復:WFA調査

現在、キャンペーンを延期している多国籍企業は半数以下に減少。6月には90%を超えていた。

4 日前

メディアの価格上昇率、最も高い地域はAPAC

グラフで見る:パンデミック下であっても、地域ごとのメディア価格を見ると、特にディスプレイとデジタル動画で価格が上昇しているのがわかる。