Ryoko Tasaki
2021年8月27日

世界マーケティング短信:パンデミックで見つめ直す働き方

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

サウスバンク地区に設置された、マクドナルドの「ウォークスルー」看板
サウスバンク地区に設置された、マクドナルドの「ウォークスルー」看板

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。
 

不安定な時代に、人々が仕事に求める要素

ハンソン・サーチ社が、マーケティング&コミュニケーションに携わる1,191名を対象に調査を実施したところ、現在のキャリアが自分に適しているか疑問に思い、別の仕事を検討している人は3割に上った。また、先行きに対する不安のためか、全体の27%が「可能な限り現在の仕事に留まる」と回答した。

働きたい会社として選ばれたのは、「規模の大きい国際的な企業」が24%、「中小企業」が27%、「起業/フリーランス」が21%と票が割れた。仕事に求める要素としては、給与や賞与よりも「チーム、人、カルチャー」(45%)、「柔軟な働き方」(39%)を重視する人が多い。「モチベーションに対する従業員の意見が大きく割れており、画一的なアプローチでは通用しないことが浮き彫りになった」と同社はコメントしている。

なお、オフィス勤務と在宅勤務の両方を希望する従業員は66%で、在宅勤務への完全移行を希望する人は14%、オフィス勤務への完全復帰を望む人はわずか3%であった。

 

ブルームバーグ社、広告収益が絶好調

ブルームバーグの個人向け事業は、広告やイベントの収益が73%増を記録している。同社が運営するのは、ワイヤーサービス、ブルームバーグTV、ストリーミング配信、イベント、ウェブサイト、ラジオ、ニュースレター、雑誌など。デジタル広告(59%増)、テレビ広告(30%増)、ラジオ広告(35%増)、紙媒体への広告(28%増)と好調だ(具体的な金額は明かされていない)。サブスクリプションの登録者数も34%増えており、登録者のうち4割が米国以外からの申し込みだという。

特に欧州は2021年上半期の収益が62%増、デジタル広告は79%増と全体の成長を力強く牽引している。同社の欧州担当セールス責任者、ダンカン・チャター氏によると欧州での回復傾向は2020年後半から始まった。新規事業が大きく伸びたことや、一件当たりの単価が144%上昇していることに加え、今年11月に英グラスゴーでCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)が開催されることも後押しとなっているようだ。

 

看板の中から冷たいスイーツを無料提供

マクドナルドは英ロンドンのサウスバンク地区に、ユニークな看板を期間限定で設置した。この看板に開けられた窓から、通りがかった人々はマックフルーリー(冷たいスイーツ)を無料で受け取ることができる、「ウォークスルー」方式での提供だ。

「人生のプレッシャーや期待をしばし忘れて、解放される幸福な瞬間は誰にでも必要」と語るのは、同社のマーケティング&メディアディレクター、スティーブン・ハウエルズ氏だ。「当社は英国で40年以上にわたって、独自の方法で小さな喜びの時間を提供してきました。発売から21周年となるメニューをユニークな方法で提供し、驚かせ、喜んでもらえればと考えました」

 

容器の再利用で引き起こされる失望を防止

アイスクリームが売られていたプラスチックの蓋付き容器を、別の用途に再利用するのは、フィリピンの家庭では一般的だという。そのため同国では、アイスクリーム容器に冷凍イカが入っているシーンが映し出されたペプシのCMが共感を呼んだ。

CMは、「クッキーだと思ったら、中身は裁縫道具」「温かい料理だと思ったら冷たかった」といった落胆する瞬間を数多く紹介し、それでも「落ち込んでいては何も得られない、ペプシを飲んで前を向こう」といったメッセージを訴求しているものだ。

反響をきっかけにペプシは、アイスクリーム容器に貼るラベルを作成できるサイトを立ち上げた。「容器の再利用が招く失望と戦う」ことが目的だと、サイト下部には記されている。画像を選び(アップロードも可)、文字を入力し、ラベルの形を選べば、画像データとして印刷やダウンロードできるようになるという仕組みだ。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

2 日前

世界マーケティング短信:リアルな情報で実像を描き出す

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

3 日前

日本のトップブランド:上位陣、コロナ禍でも安泰

【アジアのトップ1000ブランド】日本ではトヨタが4年連続で首位の座を堅持し、トップ5は昨年と変わらず。一方、楽天や三菱、日産が大きく順位を上げた。

3 日前

広告における多様性はなぜ間違ったままなのか

広告キャンペーンで描かれる多様性は表面的で、その多くにはまだオーセンティシティー(真正性)が含まれていない。

3 日前

アプリに対する要求レベルの急上昇にどう対処すべきか

ここ1年半、消費者は、生活上のあらゆるニーズを満たすためアプリに殺到し、ユーザビリティの悪いデザインや動作には厳しい目を向けるようになってきた。アップダイナミクスのリージョナルCTOが、ユーザーにアプリを削除されないためのヒントを紹介する。