David Blecken
2017年7月13日

電通の違法残業、新たな展開へ

2015年12月に起きた新入社員の過労自殺で、同社は刑事裁判と向き合うことになった。

電通の違法残業、新たな展開へ

電通は労働基準法違反で、法人としての刑事責任が問われる。

7月5日に東京地方検察庁が略式起訴した処分に関し、東京簡易裁判所は「不相当」と判断。今後は電通の不適切な労働慣行が、新入社員・高橋まつりさんの自殺にどのような影響を与えたかに焦点が当てられる。

略式起訴で、当初同社には罰金刑が科せられるはずだった。報道によれば、他の企業が過労死防止に取り組むよう、東京地検は見せしめとして電通に罰を与える意図だったという。

書類送検され、起訴猶予となった高橋さんの上司など複数の幹部の処分については定かではない。

東京地検が略式起訴をした際、電通はCampaignに次のようなコメントを寄せている。

「弊社は労働環境の向上や仕事のプロセスの刷新、さらに人材の発掘に注力するため、数々の取り組みを進めてまいる所存です。長時間労働を撲滅し、業務遂行にあたっては日本の労働法規を完璧に遵守し、社員と組織が持続的成長を達成できるように努力致します」

電通のスポークスマンは今週初め、様々な対策が良い効果を生み、追加策をとる予定であることを示唆していた。

過重労働をめぐる昨年の主な出来事は、こちらからご覧ください。

(文:デイビッド・ブレッケン    翻訳・編集:水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

2 日前

世界マーケティング短信:電通グループ、海外事業が厳しい結果に

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

3 日前

中国で人気 カルビーの成長戦略

中国で「ジャガビー」を人気商品に仕立て上げたカルビー。アニメファンに訴求するIPコラボで、さらなる売上増を目指す。中国のCMOを務める宮倉裕幸氏に聞いた。

4 日前

「エクスペリメント」を活用するマーケターが急増

広告の効果測定でも、AIツールを用いたソリューションが普及している。だが広告主は依然、「全体的な投資利益率(ROI)が把握できていない」と最新の報告書は指摘する。

4 日前

WPPメディア:世界有数のコミュニケーション企業が、なぜメッセージングで失敗したのか?

グループエムの名称変更というニュースに、広告業界は沸き立っている。これはWPPの大胆な改革なのか、それとも深刻な問題の兆候なのか? トリニティP3のダレン・ウーリー氏が、このコミュニケーションの失敗と、今回のブランド刷新が広告主や従業員、メディアバイイングの未来にどのような意味を持つのかについて考察する。