Darren Woolley
7 時間前

WPPメディア:世界有数のコミュニケーション企業が、なぜメッセージングで失敗したのか?

グループエムの名称変更というニュースに、広告業界は沸き立っている。これはWPPの大胆な改革なのか、それとも深刻な問題の兆候なのか? トリニティP3のダレン・ウーリー氏が、このコミュニケーションの失敗と、今回のブランド刷新が広告主や従業員、メディアバイイングの未来にどのような意味を持つのかについて考察する。

写真:ダレン・ウーリー氏
写真:ダレン・ウーリー氏

* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。

WPPがグループエム(GroupM)ブランドを廃止するというニュースは、驚くべきものではない。まだ公式な発表は無いが、メディアバイイング史上で最大ともいえる変化に、マーケティング業界は関心を寄せている。

WPPはこれまでにも大きな変化を遂げてきた。過去数年間でジェイ・ウォルター・トンプソン、ヤング&ルビカム、ワンダーマングレイ・アドバタイジングなど象徴的なブランドを相次いで廃止してきた。必要とあれば、ブランドの伝統を手放すことをためらわない。

しかし、今回のニュースが(社内メモの流出によって)明らかになったことから、特に顧客や従業員への影響について世界中でさまざまな憶測が飛び交った。

この混乱と不確実性は、発表の際の表現方法に起因しているようだ。このような業界ニュースが常に世界的に話題となることを、ニューヨークとロンドン本社は忘れているような印象を受ける。

さらに問題なのは、さまざまな地域では現地の幹部が、今回の発表が事業に与える影響について明確な回答を示されておらず、憶測がさらに一人歩きしていることだ。競合大手や独立系エージェンシーが、大規模で魅力的なメディアクライアントを獲得しようと常に狙っているような市場において、これは理想的な状況とはいえない。

では、一体何が明らかになっているのかといえば、グループエムがWPP メディア(WPP Media)になるということだ。世界最大のメディアエージェンシーとされていたグループエムは、もはや存在しない。より正確には、新しい名称になったのだ。

ブライアン・レッサーCEOは社内宛てのメモの中で、「クライアントにグループエムの最高のサービスを提供し、市場に向けた一貫したボイスを持ち、従業員により多くの機会を提供するシングル・オペレーティング・モデルに移行する」と発表した。

この移行によってエージェンシー固有の職務からサービスモデルへと変わり、エージェンシーの境界線が曖昧になると多くの人は解釈している。レスター氏もこの推測を支持しており、「エージェンシーブランドの役割を進化させ、専任のクライアントチームを配置」するものの、「独立した事業部門として運営することはない」と述べた。

では、なぜWPPはこれを行うのだろうか? 年間600億米ドル超のメディア支出を管理するグループエムは、WPPの立て直しの中核を担う。この再編は、将来を見据えた新製品を広告主に提供するための準備として位置付けられている。しかし、これでは株価を上昇させて投資家の満足度を維持するために大手持株会社が近年実施してきた、コスト削減のための統合のように思える。

グループエムは、この構造改革には人員削減を伴うこと、特に中間管理職とシニアレベルの削減が行われることを認めている。実際に、米国ではすでにレイオフが始まっていると報じられている。AIとテクノロジーが従業員に取って代わるようになるにつれ、ジュニアレベルの人員削減もさらに進むだろう。

現状では、この再編にメリットを見出すのは従業員にとって困難だが、広告主にとっても同様だ。既存のエージェンシーブランドであるエッセンス・メディアコム(EssenceMediacom)、ウェーブメーカー(Wavemaker)、マインドシェア(Mindshare)、T&Pmはいずれも好調で、新規案件を獲得し、クライアントとの関係を維持している。

新しいモデルは4つのエージェンシーのように見えるが、実際には1つのエージェンシーのみだ(下のAI生成画像を参照)。これらのブランドを、単にドアに掲げるだけの看板に減らすことは、広告主にとって大きな問題、すなわち競争上の対立を引き起こしかねない。近年エージェンシーは共有のオフィススペース、バックエンドサービスの統合、グループ取引などにより、コミットメントを果たすのに苦労してきた。エージェンシー固有の職務やP/L(損益計算書)を廃止し、エージェンシーブランドをクライアント向けの「ホーム」と称して統一することで、調達に必要な保護や保証が得られる可能性は低い。

WPPはグローバルだけでなく各市場において、メッセージ発信をコントロールする必要がある。管理が不十分なグローバルコミュニケーションでは、経営難に陥った持株会社によるコスト削減策だと捉えられてしまう。そして、グループエムがWPPの再生と変革において中心的な役割を果たしていることも否定してしまうのだ。


ダレン・ウーリー氏は、マーケティングコンサルティング会社「トリニティP3」の創業者でグローバルCEO。

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