Will Anstee
2020年12月03日

クリスマスに向けて、ブランドが考えるべきことは何か

クリスマスのホリデーシーズンが間近に迫るなか、子供やファミリー向けのブランドは、消費者に正しく見たり、聞いたり、感じたりしてもらえているだろうか。TotallyAwesomeのCEOは、ブランドの適応が驚くほど遅いと主張する。

クリスマスに向けて、ブランドが考えるべきことは何か

当面の間、消費者の行動様式は、パンデミックの影響により形作られることになるが、クリスマス商戦の売上を最大化させたいブランドは、これをどのようにとらえるべきだろうか。

どの業界もこの世界的な脅威に苦しんでいるが、当然のことながら人類は抗い続けている。その抵抗の中心にあるのは、インターネットなどのテクノロジーであり、これらはパンデミック前にはマーケターが予想もしなかったスピードで、消費者行動に新たな物語を生み出している。

ブランドが直近の四半期を最大限ビジネスに活かすことを検討するなら、よく考えるべき大事なポイントが2つある。まず、マーケティング予算を投じる先を正しく判断すること。そして、エージェンシーが正しいメディアプランで正しいコンテンツを届けているかを確認することだ。

オンラインが消費者の第2の「自宅」に

世界中の消費者は激動の1年を強いられ、オンライン体験の世界に新たな意味を見出すことになった。祖父母とのビデオ通話や誕生日のZoomパーティなど、家族がオンラインで共に過ごす時間は大幅に増加している。今や家族との時間がとても大切な時間になっており、アジア太平洋地域(APAC)だけを見ても、親子の86%がオンラインで共に過ごしていることが、我々の調査でわかっている。

また、進化したのは家族と過ごす時間だけではない。Adobeが2020年8月に発表した調査によると、アジア太平洋地域では、ロックダウン中にオンラインで買い物することが増えたという消費者が全体の58%を占めた。さらに、Rakuten Advertisingのレポートによると、アジア太平洋地域の消費者の73%が、ホリデーシーズンの買い物をオンラインで済ませる予定だという。

そこで疑問が残る。はたして 子供やファミリー向けのブランドは、消費者に正しく見たり、聞いたり、感じたりしてもらえているのだろうか?

ブランドの適応に遅れ

TotallyAwesomeの調査「Kids Digital Insights APAC 2020」によると、パンデミックの影響により、家庭でのデジタル利用がさらに定着し、家族との共視聴が過去最高となった。この調査結果には子供も含まれており、子供の59%がオンラインコンテンツに関する「おねだり」をしているという。アジア太平洋地域では、購入の判断について子供に影響されるという親が98%にも上る。

このように消費者にはテクノロジーの活用が広がっているが、それに対しブランドの適応は驚くほど緩やかだ。今や子供もファミリーも、没入感の強いオンライン体験を受け入れている。拡張現実(AR)や仮想現実(VR)が台頭し、エンゲージメントはまったく新しい意味を持つようになった。消費者はオンラインのインタラクションによる驚きや楽しみを求めているのだ。

コンテンツのカスタマイズ:成功に向けた新たな指標

クリスマスを目前に控えた今、ブランドはオーディエンスの心に響くようにコンテンツをカスタマイズすることで、ユーザーとの関係性を高めるチャンスだ。クリエイティブのカスタマイズには特筆すべき力があり、ブランドエンゲージメントに10~15%の向上をもたらす。無視できない効果といえるだろう。

遅すぎることはない。子供たちはまだクリスマスの願い事リストをつくっている最中で、その願い事リストの多くはバーチャルなものだ。我々 TotallyAwesomeの、ブランドのために戦略的にマッピングされたオンライン上のクリスマス的仮想空間は、店舗の売り場をきらびやかに飾る以上のクリスマス体験を実現している。このリッチで没入感の高いデジタル空間によってエンゲージメントを高め、ブランドがリーチすることが難しい「子供」というオーディエンスに、これまでにないほど近づくことができるように設計されている。

期待されるのはそれだけではない。子供向け分野におけるこの画期的なイノベーションにより、ブランドは初めて、気まぐれで手ごわい子供というオーディエンスのニュアンスを真に深く掘り下げることができるようになる。データと心理学の力を借りることで、ブランドは子供たち一人ひとりで違う、一瞬の真実を探るのに必要なインサイトを手に入れ、今年だけでなくこれから毎年、子供たちのクリスマスに参加できるようになるのだ。

今年のクリスマスにブランドが考えるべきことはこれだけではない。キッズセーフ技術により、こうした魅力的な体験が、完全にコンプライアンスに準拠し、かつ安全な形で子供やファミリーに届けられるようになり、リーチの最大化とこれまでにない成果を実現することだ。

ハイパーコネクティビティ(コネクション数が人の数を超過した状態)が急速に拡大するこの時代においては、テクノロジーにより、消費者とブランドの距離はかつてないほど近づいている。「本物の体験」こそが、SOV(シェアオブボイス)を何としても獲得したいブランドにとって真の差別化要因であり、その本物の体験は、店舗では購入できない。

つまり、子供やファミリー向けのブランドが今年のクリスマスに問うべきなのは、デジタルで何ができるかだけではない。第2の「自宅」であるオンライン上に、お気に入りのブランドが出現するのを待っている多くのデジタルオーディエンスを、なぜ未だにうまく活用できていないのか。そこをしっかり考える必要があるだろう。


ウィル・アンスティー(Will Anstee)氏はTotallyAwesome APACの最高経営責任者。

 

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

関連する記事

併せて読みたい

1 日前

世界マーケティング短信:Cookie廃止の延期、テスラの人員削減

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2 日前

大阪・関西万博 日本との関係拡大・強化の好機に

大阪・関西万博の開幕まで1年弱。日本国内では依然、開催の是非について賛否両論が喧しい。それでも「参加は国や企業にとって大きな好機」 −− エデルマン・ジャパン社長がその理由を綴る。

3 日前

エージェンシー・レポートカード2023:カラ

改善の兆しはみられたものの、親会社の組織再編の影響によって、2023年は難しい舵取りを迫られたカラ(Carat)。不安定な状況に直面しつつも、成長を維持した。

3 日前

私たちは皆、持続可能性を前進させる責任を負っている

持続可能性における広告の重要性について記した書籍の共著者マット・ボーン氏とセバスチャン・マンデン氏は2024年のアースデイに先立ち、立ち止まっている場合ではないと警告する。