David Blecken
2019年7月04日

Eat Creative、豪フュージョンの傘下に

メルボルンを拠点とするフュージョングループは、日本を含むアジア太平洋地域での成長を図る。

左よりスティーブ・マーティン、中条あや子、サイモン・ノーマンの各氏
左よりスティーブ・マーティン、中条あや子、サイモン・ノーマンの各氏

メルボルンに本社を構えるマーケティングサービス会社フュージョングループが、東京と香港に拠点を置く独立系エージェンシー、Eat Creative(イートクリエイティブ)の株式の過半数を取得した。Eatが実施した第三者割当増資による。

両社は共にアジア太平洋地域での事業の拡大を図っていく。10社のエージェンシーから成るフュージョンは小売業界に強く、マーケティング戦略とクリエイティブサービスを提供。Eatはスティーブ・マーティン、アリスン・ジャンベール、中条あや子の三氏によって2000年に設立され、国内外のブランドと協働する。

Eatのクライアントは建築・住宅設備機器大手LIXIL(リクシル)をはじめ、ペニンシュラホテル、ブルームバーグ、ノルウェージャン・クルーズライン、医薬品受託製造のアルマックグループなど。フュージョンはナイキ、アディダス、マース、ロレアルなどと協働する。

Eatに所属する複数のディレクターは現在の役割を踏襲しつつ、サイモン・ノーマンCEOの下、フュージョンでもリーダーシップを発揮していく模様。

アリスン・ジャンベール、サイモン・ノーマンの両氏

マーティン氏は、フュージョン傘下に入ることで「よりスケールの大きな、長期にわたるプロジェクトを担っていける」と話す。「小さな独立系エージェンシーにとっての課題は、大手企業との仕事が実現しにくいこと。彼らが我々の実績に興味を示しても、企業規模の違いからパートナーとして指名することはありません。アジア全域にデリバリーできるロジスティックス能力を備えた大きなグループの一員になることは、さまざまな企業にとって魅力となる。我々にとっては幅広い事業展開が可能になります」。

参入が難しいとされる日本市場での経験を持つEatの存在は、「フュージョンにとってもメリット」と同氏。「ローカライズ化に関しては我々が独立性を維持し、フュージョンのリソースを市場にフィットさせていく」。

「双方にとって良い学びになるでしょう。組織の中で仕事のレベルを上げ、我々の持つスキルをクライアントのために更に活用できるようにしていきたい」

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集 水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

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