Allyson Marrs
2023年4月04日

ツイッター、LGBTQ+への反感を収益化に利用

ツイッターの広告売上が、反LGBTQ+の危険なレトリックを広めるアカウントによって、増加していることが、デジタルヘイト対策センターの新しいリポートで明らかになった。

ツイッター、LGBTQ+への反感を収益化に利用

ビリオネアのイーロン・マスク氏がツイッターのオーナー兼CEOとなってから5カ月が過ぎた。

マスク氏によるツイッター買収以来、LGBTQ+コミュニティが「グルーミング(性的な目的で未成年者と親しくなろうとする行為)」の温床になっているといった陰謀論を唱えるツイートが119%も増えていると、非営利団体のデジタルヘイト対策センター(CCDH)が報告した。CCDHは、ヘイトスピーチや誤情報がオンラインで拡散する仕組みを研究している。

報告によると、こうした虚偽情報を拡散している5つのアカウントだけで、最大で年間640万ドル(約8億5000万円)もの広告売上が、ツイッターにもたらされているという。

この数カ月間、LGBTQ+コミュニティが、子供たちを「グルーミング」しているという明らかなデマのために、ソーシャルメディアやニュース、あるいは法案でLGBTQ+が狙い撃ちされるケースが増えている。また、2022年11月にコロラドスプリングスのナイトクラブで痛ましい銃撃事件が発生したり、マスク氏が元ツイッター従業員でゲイのヨエル・ロス氏を攻撃したり、「子供たちを守る」との理由でドラァグショー(ドラァグクイーンと呼ばれる女装した男性によるショー)を禁じる法案が複数の州で提出されたり、といった事案が続出し、世間の憎悪をさらに増幅させている。

そしてツイッターは、こうした危険思想の拡散にも大きな役割を果たしているという。

CCDHによれば、LGBT、ゲイ、ホモセクシャル、トランスセクシャルといった言葉を、グルーマー、性犯罪者、小児性愛者といった侮辱的なキーワードと共に使用しながらLGBTQ+コミュニティに言及したツイートやリツイートは、2022年に入ってから170万件以上確認されているという。

マスク氏が同年にツイッターを買収するまでは、このようなツイートは、平均して1日に3000件程度だったが、10月の買収以後、4カ月で119%も増加している。

しかも、こうした憎悪に満ちたツイートが、640万ドルもの売り上げをツイッターにもたらしている。

反LGBTQ+的な言動を展開しているわずか5つのアカウント(Libs of TikTok、Gays Against Groomers、Chris Rufo、Tim Pool、James Lindsay)が同性愛者を攻撃するツイートだけで数百万ドルの広告売上を生み出している。なお、CCDHはこの640万ドルという金額を導き出すにあたって、ツイートのインプレッションに関する公開情報、ツイッター広告のフリークエンシーを計算したシミュレーション結果、およびツイッターの広告料金に関する業界情報等を分析したという。

さらに、過去に凍結されながらマスク氏によって復活したわずか10個のヘイトスピーチアカウントが、1年に最大1900万ドル(約25億2000万円)の広告売上をツイッターにもたらしていると、CCDHの研究者は述べている。

「これは偶然ではない。イーロン・マスク氏は、同性愛嫌悪者、トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪者)、人種差別主義者など、あらゆるデマ発信者に『バットシグナル(コミックヒーローのバットマンを呼ぶときの合図)』を送り、大量の投稿を促した」と、CCDHの最高責任者を務める、イムラン・アフメッド氏は声明の中で述べている。「マスク氏による買収と同時に、憎悪に満ちた『グルーミング』陰謀論の拡散が始まった。そして、これまでにないペースで憎悪のマネタイズが行われている」

CCDHが挙げた5つのアカウントのうち、Libs of TikTok,、Gays Against Groomers、Rufoは、ユダヤ人団体の名誉毀損防止同盟から反LGBTQ+過激主義の煽動者としてリストアップされている。陰謀論者のLindsayは、マスク氏がアカウントを復活させるまでは、ツイッターからアカウントを永久凍結されていた人物だ。一方、右派インフルエンサーのPoolは、コロラドスプリングスのナイトクラブ銃撃事件の後、反トランスジェンダーのヘイトスピーチやプロバガンダを拡散したとして、非営利団体メディア・マターズ・フォー・アメリカから非難を浴びた人物だ。

データによれば、この5つのアカウントから投稿されたツイートは、分析データが公開されてから、今までに14億近いインプレッションを獲得しているという。

「ソーシャルメディアプラットフォームは、対立する意見の衝突が身体的な危害に及んだり、差別的な法案につながったりしないよう、環境を整備する義務を負っている」と、LGBTQ+支援団体のヒューマン・ライツ・キャンペーンで、プログラム、リサーチ、トレーニングの担当上級副理事長を務めるジェイ・ブラウン氏は言う。

マスク氏は、ツイッターに加わってからごく短い間に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連の誤情報に関するポリシーを廃止し、政治広告の禁止措置を取り下げ、リスクを高めるセキュリティ上の問題を引き起こし、セキュリティ担当の最高幹部を解雇し、従業員の大量離職を招いた。

またツイッターは、新たなサブスクリプションサービス「ツイッター・ブルー」に加入しないユーザーのアクセスを制限したため、危険な誤情報を拡散するアカウントのツイートばかりが目につくようになるかもしれない。

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

関連する記事

併せて読みたい

1 日前

世界マーケティング短信:AI活用や外注削減でピュブリシスが好調

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2 日前

2024年に、ピッチ後の音信不通はあり得ない

ジェームス・スワン氏はピッチへの結果を待つ間、自分たちのエージェンシーがブリーフに対応するために12,000米ドル以上のリソースを投じていることを知った。 (「ピープル・ファーストのビジネス」を自称していながら)エージェンシーに結果を知らせることを怠っているブランドのために、である。

2 日前

「ゲームに参入すべきか」の問いに答える、ディズニーのエピック投資

ブランドは「どのようにゲーム市場に参入するか?」を検討すべきだと、ゲームの広告主は考えている。

2 日前

独立系エージェンシー 日本市場のサバイバル

大手広告エージェンシーによる寡占状態が続く日本の広告市場。そんななか、小さいながら存在感を発揮する独立系エージェンシーが増えている。彼らはどのように成功を手繰り寄せているのか。