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故意に偽った作品を応募した代理店は出入り禁止に カンヌ
今年のカンヌライオンズは、DM9が手掛けたキャンペーンのグランプリ取り消しの他、ハヴァス・コスタリカ(Havas Costa Rica)やル・パブ・サンパウロ(LePub São Paulo)などの作品も調査が行われ、広告賞への信頼が揺らぐ事態となった。
このことを受け運営側は、誠実性に関する新たな基準を2026年から導入し、「故意に偽ったり誤解を招くような作品」を応募したエージェンシーは、エントリーを最大3年間禁止する可能性があると発表した。新たな基準では、チェックと検証を人手とAIの2段階で行うことや、専門家で構成される評議会の設置、応募時のエージェンシーとブランドによる承認の義務化、発覚時の罰則などが定められている。
カンヌライオンズのサイモン・クックCEOは「クリエイティビティは、信頼性があってこそ価値を持つもの。信頼性は当然のものとして想定されるものでなく、獲得しなくてはなりません」とコメント。「これらのタイムリーな変更は、カンヌライオンズだけでなく、世界のクリエイティブマーケティングの未来にとって、新たな時代の幕開けとなるでしょう」。
アクセンチュアとWPP、M&Aの可能性について協議か
複数の関係筋がCampaignに語ったところによると、アクセンチュア(Accenture)とWPPがM&Aあるいはパートナーシップについて協議を重ねている。協議の詳細や時期については不明。両社ともコメントを控えている。
米コンサルティング大手のアクセンチュアは、アクセンチュア ソング(Accenture Song)を通じて広告サービスを拡大しており、時価総額は約1,750億米ドルに達する。世界最大の広告会社である英WPPグループの時価総額は約61億米ドルで、WPPの一部または全てを買収する余裕がある。
両社とも経営陣の交代を進めており、先週はWPPの次期CEOにシンディ・ローズ氏が9月に就任することが発表された。5月にはデイビッド・ドロガ氏がアクセンチュア ソングのCEOを9月に退任し、アクセンチュアのバイスチェアパーソンに就任することも発表されている。
AKQAのCEOに、アクセンチュア ソングのバイジュ・シャー氏
昨年10月にアジャズ・アーメッドCEOが辞任したWPP傘下のAKQAが、このたびバイジュ・シャー氏をCEOに任命した。シャー氏は2022年にアクセンチュア ソングを共同で立ち上げ、グローバル最高戦略責任者を務めた。
「AKQAを次の章へと導き、これまでの伝統を尊重しながら、エージェンシーの在り方を見直すことができることを大変うれしく思います」と同氏。「AKQAは、AIを革新的かつ責任ある形で活用するための実験場として、クライアント、WPP、そして未来のためにパイオニアとなっていきます」。
WPPのマーク・リードCEOは、シャー氏を「戦略、クリエイティビティ、そして新興の技術を融合させる業界のリーダーの一人」と評している。
IPGヘルスAPACのECDにピエール・ルー氏
IPGヘルス(IPG Health)のアジア太平洋地域のエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター(ECD)に、ピエール・ルー氏が就任した。
製薬業界とBtoC業界の両分野で豊富な専門知識を有する同氏は、ニューヨークでキャリアをスタートした後、アジアに戻ってヘルスケアマーケティングの変革を牽引。世界的な賞を獲得した作品も生み出した。2024年にはカンヌライオンズのファーマ部門の審査員を務めている。
グローバル市場におけるヘルスケアの経験は20年に及び、そのうち約10年はIPGヘルスのネットワークエージェンシーであるマッキャン・ヘルス グレーターチャイナでECDを務めた。今回の昇進により職責を中国全土と日本の全エージェンシーに広げ、域内の50人超のクリエイティブを率いていく。
「人々のニーズに応え、体験を向上させる人間中心のクリエイティビティは、ヘルスケアにおいてこれまで以上に重要で、だからこそ刺激的に感じています」と同氏はコメント。「より広範な職責を与えられたことを光栄に思います。中国と日本のチームが従来の枠を超えて、違いをもたらすことができる、大胆かつ有意義な作品を生み出す力になれるよう取り組んでまいります」。
フェレロ、WKケロッグを買収へ
伊フェレロ(Ferrero)が、米食品大手のWKケロッグ(WK Kellogg)を約31億米ドルで買収することに合意した。
フェレロは、チョコレート菓子「フェレロロシェ」やヘーゼルナッツとココアをベースとしたスプレッド「ヌテラ」、チョコレートブランド「キンダー」を手掛ける食品大手。買収によってWKケロッグはフェレロの完全子会社となり、フロステッドフレークなど朝食用シリアルブランドがフェレロの商品ラインナップに加わる。また北米市場への進出も加速することとなる。
[credit]
(文:田崎亮子)