Hans Kurihara
2017年2月02日

パーソナルデータの活用は次のゴールドラッシュとなるか

昨今、マーケティング用語としてバズワード化している「ビッグデータマーケティング」。小さなデータを膨大に集め大きな兆候を捉える「ビッグデータ」から、企業はよりパーソナルなデータを活用してサービスの価値を高める新たなビジネスチャンスに挑戦し始めている。

栗原ハンス氏
栗原ハンス氏

パーソナルデータを記録する動きは、2009年後半にローンチされたウェアラブルデバイスの「フィットビット(Fitbit)」を筆頭に広がり続けてきた。数年前からは、ライフロギングとして記録・分析することが一部のテック愛好家の間で行われている。彼らは自分の睡眠記録や移動距離、心拍数、摂取カロリーなどをデバイスによって収集し、「Quantified Self(QS) = 自分自身の定量化」で健康管理などに役立ててきた。最近ではアップルウォッチが運動量を可視化するCMを放映するなど、こうした流れはより一般化している。また、テクノロジーの進化に伴うセンサーの高度化により、人体のほぼすべてのデータを記録することが可能となった。それらのデータはスマホを介して、常に最新の状態でクラウド上に保存され続ける。

多くの従来型マーケティングでは、パーソナルデータを「世間を映す鏡の一片」として巨大なデータベースに溜め込み、データアナリストが統計学的にクラスター化を行っていた。こうした手法から、企業活動の中心は「個人を形成する一部」としてのパーソナルデータを重視するパーソナルデータマイニングに移りつつある。

この新しい手法により、例えば保険会社は契約前に専用アプリを契約者に使ってもらうことでパーソナルデータを収集し、将来的に病気にかかる可能性の低い人には保険料を割り引いて設定するなど、既存のビジネスモデルでは予想できなかったきめ細かなチューニングを行うことができる。これまで無駄になっていた膨大な費用を節約でき、新たな客層を呼び込むことも可能となるだろう。

これまでスマホのアプリ内に留まっていた貴重なパーソナルデータの「金脈」を巡り、ITのビッグプレイヤーを含めた他業界との新しいゴールドラッシュが始まるだろう。生活者個人の極めて重要なパーソナルデータを抱えるだけに、次の時代ではより一層高度な情報セキュリティが求められるに違いない。

(文:栗原ハンス(TBWA\HAKUHODO  デジタルアーツネットワーク インタラクティブ プラナー) 編集:水野龍哉)

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Campaign Japan

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