David Blecken
2019年7月26日

「世界に感動をもたらせる日本」:東京2020展望

東京五輪招致成功の立役者であるニック・バーリー氏。2020年大会は「運営力を世界に誇示し、スポンサーにとっても前例のない機会になる」と話す。

ニック・バーリー氏。ロンドン、ロイヤル・フェスティバル・ホールにて
ニック・バーリー氏。ロンドン、ロイヤル・フェスティバル・ホールにて

2020年東京五輪の開幕まであとちょうど1年となった。大会招致委員会の戦略コンサルタントを務めたニック・バーリー氏がCampaignのインタビューに応じ、そのブランド力やスポンサーにとっての課題、日本にもたらす成果などを語った。

同氏は元ジャーナリストで、スポーツとの関わりは25年。現在はスポーツイベント招致の仕事を行っていない。その理由は、「プロセスが陳腐になった」ため。昨年、自身がCEOを務めていた国際スポーツコンサルティング会社「セブン46」を解散。新たにスポーツ関連のコンテンツマーケティングを担う「ルックアップ(Look Up)・コミュニケーションズ」社を設立した。

海外では東京2020のブランド価値をどのように見ていますか?

大方の人々は「ブランド」としては捉えていません。それは彼らのアジェンダではないからです。しかしトーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長は、「これまでで最も完璧に準備がなされた大会になるだろう」と話しています。東京が、4年前のリオデジャネイロ大会よりも見劣りするようなことはあってはならないのです。実際に東京はこれまで実にうまくやっているし、リオよりもずっと優れていると思います。世界の人々も、素晴らしい大会になることを期待しています。

世界が東京を「視野」に入れるのはいつ頃でしょう?

まさしく今、東京を見据える人々が世界中で増えています。偶然ですが、今秋行われるラグビーW杯が更に大会の関心を盛り上げ、日本という国が短期間で二つの大きなイベントを催すことをしっかり世界に認識させるでしょう。初めは「音量ゼロ」からのスタートですが、来年の5〜6月には「最大」の状態になると思います。

大会組織委員会はもっと良いプロモーションができるでしょうか?

東京2020は、世界におけるポジショニングの問題だと考えます。委員会がそのモットーを発表するときが、大きなハイライトになるでしょう。国際的な注目度が高まり始めたときが、世界で通用する言語でコミュニケーションを始めるタイミングです。

大会への最終的な評価に、裏金疑惑はどれほどのダメージを及ぼすと考えますか?

現実的に疑惑自体は非常に深刻ですが、一般の人々はほとんど無視するでしょう。実際に大会が始まれば、善かれ悪しかれ皆の関心は競技に集中しますから。

2012年ロンドン大会はどのような点で差別化に成功しましたか? また、東京はどのようにそれを打ち出すと思いますか?

ロンドンの成功の要因は、五輪に対する極めて明確なビジョンでした。普段スポーツをやらないような場所を競技会場に選んだことは大きな成功をもたらしました。それと、運営面の素晴らしさも忘れてはなりません。英国内にいる我々が必ずしも期待していなかったにもかかわらず、全てが円滑に機能しました。この点は、東京も際立つことでしょう。運営は非の打ちどころのないものになるはずです。いくつかの競技会場はグローバルスポーツのランドマークになることでしょう。今後10〜20年の間に新国立競技場で他の重要なイベントが催されることは間違いありません。そして、東京とロンドンのもう一つの共通点は真のグローバルシティーであること。世界全体に感動をもたらすことができるのです。

ロンドンはクリエイティブの面でも世界で最も優れた人材を集めたように思います。東京もそうなると思いますか?

私が興味深いのは、日本がどのように世界に対してプレゼンテーションを行うかということです。英国で2012年の開会式を見ていた人々は、どのような演出になるのか若干気を揉んでいました。つまり、歴史や伝統ばかり紹介するのではなく、英国の現代的な面も世界にアピールしてほしい、と。結局はそうだったことが、大きな成功をもたらしました。日本ではどのような側面が開会式で表現されるのか −− 未来を見据えた「クール」な要素やテクノロジーが主体になるのか、あるいはもっと過去を見つめて伝統に注力するのか。そのバランスに非常に興味をそそられます。

アクティベーションに関して、スポンサーは十分な準備ができているでしょうか? あるいは、遅れをとっていますか? 

非常に多くのスポンサーで課題が散見されます。どのスポンサーにとっても、それぞれの分野で「スイートスポット」を見つけ出すことはとても困難な作業でしょう。いずれにせよアクティベーションの処理能力は限られるので、スポンサーによってはそれを減らしていくはずです。

オリンピックパートナーは投資に見合う価値を回収できると思いますか? 事業にもプラスになるでしょうか?

必ずそうなると思います。日本はアジアという世界で最も大きな成長を遂げる地域に位置する、世界第3位の経済大国です。そのメジャー中のメジャーの市場で、五輪という世界で最もパワフルなブランドと連携するのですから。IOCが成立させた取り決めで、ブランドはスポンサーシップを刷新させ、新たなブランドがトップの地位に就いています。明らかに、その価値は高く評価されているのです。

東京2020は「日本」というブランドにどのような効果があると思いすか? また、大会後の「勢い」をどのように維持できるでしょう?

ロンドン2012で英国民は偉大なイベントを目の当たりにし、計り知れない達成感と自信を得ました。(ある調査で)「大会は成功だった」と答えた人は90%後半にも上ったのです。東京も素晴らしい仕事をやり遂げるでしょうから、同じ結果になると思います。一つ、英国政府がうまくやったのは、「ザ・グレート・ブリテン・キャンペーン」という史上最大の広告キャンペーンです。要は、自分の国を売り込むために、五輪に関連したプラットフォームをどのように活用するかということ。2週間のスポーツイベントから、10年先まで続く価値をどのように生み出すかということなのです。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉)

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