
新型コロナウイルスの感染拡大で東京五輪の中止が世界的に懸念される中、電通グループの株価が7年来の最安値を記録した。
同グループ株価は27日、さらに2%以上下落。2013年以来となる安値を記録した。25日には終値が8%急落、さらに昨日は0.65%下落。前年比では20%の下落となる。
日本にとって今年最大のイベントとなる五輪・パラリンピック大会。その中止が取り沙汰される中での電通株の続落は、極めて示唆的だ。電通は大会の立案・運営に深く関わっており、大会は言うまでもなく同社にとって今年の最重要イベント。昨年大きく悪化した業績を回復させるため、大会に大きく依存しているのが実情だ。
日本は中国以外で新型ウイルスの影響が最も大きい国の一つで、既に様々なイベントが中止や延期に追い込まれた。国際オリンピック委員会(IOC)幹部は、7月24日に開幕する東京大会の開催是非を判断するのは「2〜3カ月後」と言及。カナダの元・水泳選手で1978年からIOC委員を務めるディック・パウンド氏は、「状況が危険かどうかを判断するのはIOCであり、大会を延期するよりは中止とする可能性の方が高いだろう」とAP通信に語った。
電通は社員が新型ウイルスに感染したことを受け、東京・汐留本社に勤務する5,000人強の全従業員を在宅勤務にすることを発表。同じく汐留に拠点を構える資生堂も、本社や全国の営業所で働く約8,000人の従業員を在宅勤務に切り替えた。
(文:ジェシカ・グッドフェロー 翻訳・編集:水野龍哉)