Staff Reporters
2024年12月11日

広告のインクルーシビティー、その現在地

テック企業「XRエクストリームリーチ」がAIを活用し、100カ国以上の約100万本の広告表現を分析した。広告のインクルーシビティー(包括性)は、今どのような状況なのか。

広告のインクルーシビティー、その現在地

* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。

約100万本の広告に登場する人物のうち、女性的なジェンダー表現(見た目の男らしさや女らしさ)は44%、男性的なものは56%だった。家計支出の85%は女性が支える。この数字はブランドがビジネス機会を逸している証と言えよう。

テック企業XRエクストリームリーチは、100カ国以上における約100万本の広告のインクルーシビティーを調査した。上記の結果は注目すべき点の1つだ。

同社の「2024年世界広告表現調査」では、インクルーシビティーを測定するため「リプレゼンテーション・インデックス(RX)」と呼ばれる新たな指標を活用。これはXR社とフィメイル・クウォティエント(The Female Quotient)社が今年初頭に導入したもので、AIを活用し、主に4つのカテゴリー −− 年齢、ジェンダー表現、肌の色、体型 −− から広告表現を査定、その多様性を0から100点で表す(点数が高いほど多様性の高さを反映)。

調査結果では、広告表現における世界の平均点は100点中32点。広告の影響力を最大化し、ビジネス成長を促すためには「まだまだインクルーシビティーを高めていかねばならない」と同社は指摘する。

注目すべき点

  • 世界の広告の平均点は32点。慈善業や非営利団体関連の広告は42点と高く、スポーツ業界は28点と低い。
  • 調査対象国の70%で世界平均点を上回った。
  • 肌の浅黒い登場人物を起用した広告は、全体の12%。
  • 家計支出の85%を女性が占めているにもかかわらず、女性のジェンダー表現の広告は44%。男性は56%だった。
  • 体型の大きな人がフィーチャーされているのは、広告時間全体の15%。

年齢のカテゴリーでは、アジア太平洋地域(APAC)のほとんどの国が世界平均点を下回った。広告の登場人物のほとんどが20~29歳の若者だった。

 
一方、ジェンダー表現ではAPACの大半の国が世界平均点を上回った。しかしジェンダーパリティー(ジェンダーの公正さを実現するための統計的尺度)を満たしている国はまだない。日本はジェンダー表現が48点で、それに最も近い国だった。

肌の色に関する世界平均点は比較的低く、25点。APACの大半の国は、オーストラリアを除いて平均点を上回った。

 
業界別の指数
 
この調査報告書では、35の業界別の現況も明らかにした。各カテゴリーで高いインクルーシビティーを示す業界がある一方、ブランドによって大きな違いが見られる業界もある。
 
 
各業界を見ると、慈善業・非営利団体関連の平均点が42と最も高く、各ブランドがそれぞれ高いインクルーシビティーを示す。小売業では大きなばらつきがあり、点数の高いブランドと低いブランドの差が激しい。自動車業界は平均点が30と低く、ブランドも最低の数字を出した。自動車購入の「決定」で女性が果たす役割が大きいにもかかわらず、ジェンダー表現は39。重要な購買層にリーチするビジネス機会を逃していることは明らかで、早急な改善が求められる。
 
 
XR社はすでに300万本以上の広告のインクルーシビティーを測定し、点数に表している。RXを利用することで世界のブランドは●広告やメディアコンテンツの精査 ●表現に欠如しているものの特定 ●改善後の効果のトラッキング ●キャンペーンがオーディエンスを忠実に反映しているか否か、などが確認できるのだ。

XR社のグローバルプレジデント兼チーフオペレーティングオフィサーのジョー・キンセラ氏は、以下のように語る。「コンテンツのインクルーシビティーをどう測定するか。業界全体の指標として、その基準となっているのがRX。これを活用すればロイヤリティや信頼、エクイティ、エンゲージメントを高め、売上を伸ばして成長を促進できる。インクルーシビティーにおけるギャップはまだ大きいですが、この課題はXRによって解決できるのです」
 

 

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