David Blecken
2016年6月29日

日本のインターネット広告市場は2020年、111.5億米ドル(約1兆1,300億円)規模に

世界最大級の会計事務所「プライスウォーターハウスクーパース(PwC)」が、年次調査書「グローバルエンタテイメント&メディアアウトルック2016-2020」を発表した。その中から、主だった予測を分析する。

日本のインターネット広告市場は2020年、111.5億米ドル(約1兆1,300億円)規模に

同調査書によれば、日本国内のエンターテイメント及びメディア(E&M)市場は現在の約1,540億米ドル(約15兆7,000億円)から、2020年までに1,700億米ドル(約17兆3,000億円)を超える規模に達する見通しだという。これに対し、米国の市場は約7,670米億ドル(約78兆円強)、中国は2,640億米ドル(約27兆円弱)になると予測している。

日本市場では依然としてテレビ広告が強く、すぐに首位の座を明け渡すことはなさそうだ。同調査では、東京オリンピックのようなスポーツイベントが2020年までにテレビ広告市場を116.2億米ドル(約1兆1,800億円)から140億米ドル(約1兆4,200億円)に拡大させ、3.9%の成長率を達成するという。これに対し、米国の同市場は817.5億米ドル(約8兆3,300億円)になると予測する。

ネットフリックス(Netflix)やアマゾンのような有料動画配信サービスは年々攻勢を強め、日本の主要放送局はその脅威に直面しそうだ。若い世代の視聴者の共感を得るためには、独自のオンラインサービスの開発に力を入れざるを得ないだろう。それでも、2020年のインターネットテレビ広告市場は7億5,100万米ドル(約766億円)と比較的小規模で、テレビ広告収入全体の5.4%に過ぎない。

それに対し力強い伸びを示すのは、当然ながら、より幅広いオンライン広告だ。この点に着目してみたい。

世界から見た日本のインターネット広告

米国の現在のオンライン広告収入はほぼ600億ドル(約6兆1,200億円)、2020年には930億ドル(約9兆4,900億円)を超えると見込まれ、世界でも群を抜く最大のオンライン広告市場であり続ける。

2015年、アジア太平洋地域のインターネット広告は、22.4%増の446.2億ドル(約4兆5,500億円)となり、ヨーロッパ・中東・アフリカ(EMEA)地域に次ぐ世界第2位の市場となった。国単位では中国が米国に続いて世界第2位の規模を維持し(日本は第3位)、広告収入は232億米ドル(約2兆3,600億円)、今後5年間でほぼ450億米ドル(約4兆5,900億円)に達する勢いで、アジア太平洋地域を牽引する。

日本がアジア太平洋地域のオンライン広告支出で占める割合は2011年に約33%だったが、その他の市場の成長により20%弱に下落。2020年には日本が同地域で占めるデジタル広告収入の割合は13.4%まで落ちる見込みだが、市場規模としては決して小さくはないだろう。2020年までに国内オンライン広告支出は81.8億米ドル(約8,300億円)から111.5億米ドル(約1兆1,300億円)に増加するという予測だ。

オンライン広告支出の先行き

日本のオンライン広告収入のほとんどは、バナー広告を中心としたディスプレイ広告から派生する。この分野は2020年までに34.2億ドル(約3,400億円)に達すると予測され、その推進力となるのはソーシャルメディアだ。同調査は日本でのプラットフォームの主軸としてLINE、ツイッター、フェイスブックなどを挙げている。

また、技術革新も成長の推進役として欠かせない。日本国内の広告枠の取引は次第に自動化されつつあり、プログラマティック技術に対するプレミアム・パブリッシャーの需要は高まっている。例えば、日本最大規模のアドネットワークを誇る「マイクロアド」は国内に5,000以上のパブリッシャーを抱えている。他の多くのアジア諸国と比べればプログラマティック取引が成熟している日本だが、プログラマティック技術に対する理解がいまだに追いつかず、多くのマーケターは苦闘しているのだ。
また、急成長するモバイル上のプログラマティック・バイイングは2020年までに25.4億米ドル(約2,600億円)に達すると予測。しかしこの急成長を妨げる「現実的脅威」として、アップルが2015年9月にリリースした最新版OS「iOS 9」で開発を容認した広告ブロッカーの普及を挙げている。

動画広告は、インベントリの不足に対する不満はいまだに解消されていないものの、ディスプレイ広告の中で最も急成長を遂げている分野だ。2015年における国内広告主のオンライン動画広告への出稿率は、前年同期比17.5%増の37.5%という「デジタルインファクト」の調査結果も引用。同分野は今後5年間で前年比43.1%増の成長を続け、6億5,500万米ドル(約670億円)に達すると見込まれている。だが2020年には130億米ドル(約1兆3,200億円)以上になるという米国市場と比べると、その数字は有望ではあっても、桁外れに少ない。

昨年動画広告を出稿した国内の広告主10社のうち9社は、その目的が商品やサービスの認知度を向上させるといういささか曖昧なものだった。多くの企業が動画広告をためらうのは、効果測定の難しさにあるという点と、この事実は重なるだろう。

有料検索は日本でも他のアジア諸国同様に比重が大きく、国内オンライン広告市場全体の26.1%を占め、2020年までに27.7億米ドル(約2,800億円)に達すると見込まれている。地域全体の2015年における有料検索は149.7億米ドル(約1兆5,300億円)で、2020年までに277億米ドル(約2兆8,300億円)に達する予測だ。グーグルは世界のほとんどの地域で優勢を保ちながらも、アジア太平洋地域に限っては、検索収入の伸びの大半は中国の現地企業によるものとしている。

PwCはこの予測調査を17年間にわたって続けている。調査結果は、既存のデータに各国市場の政治、経済、社会、そして技術的要因を組み合わせた分析から導き出している。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:高野みどり  編集:水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

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