Eularie Saldanha
2022年10月07日

FCBの人材戦略から学ぶ、燃え尽き症候群の回避策

FCBの最高人材責任者がインドを訪れた際、Campaign Indiaはインタビューを行い、人材に対する考え方や同社の人材戦略の進捗、「静かな退職」などについて話を聞いた。

FCBの人材戦略から学ぶ、燃え尽き症候群の回避策

グローバルエージェンシーのFCBで、グローバル最高人材責任者を務めるベラ・パテル氏がインドを訪れたのは、同国の市場を肌で感じ、理解するためだった。

Campaign Indiaとのインタビューで、同氏は求職者と話をするのが好きだと述べ、面接では候補者の「レジリエンス(耐性、回復力)」を見極めていると明かした。また、人材に対する自身の見方やFCBが推進する人材戦略の進捗、そして、今の人事責任者が直面している課題について語った。

以下はその抜粋だ。

インドを訪問された理由は何でしょうか。

この国のビジネスを理解するためです。

ここ(インド)は、私がグローバルを担うようになって初めて取り組んだ市場であり、私にとって最も重要な市場の一つです。インドは、人材面とビジネス面で急速に成長しています。わずか3日間の滞在ですが、分刻みで予定が埋まっています。

この国の人材についてどう思われますか。業界の人材として、何か欠けているものはあるでしょうか。

インドの人々は、仕事に対する情熱や能力の点で、実に素晴らしいものを持っています。ムンバイのオフィスに限っても、自らの仕事を愛してやまない人たちが、質量ともに揃っています。彼らはイノベーションを起こし、物事を先取りし、その両方のバランスが、優れたインスピレーションを生み出しています。

インドの人々のクリエイティビティは、米国、英国、ニュージーランドなど、当社の他の主要市場と比べても遜色ありません。

彼らには、仕事への情熱や愛があり、特に欠けている分野は見当たりません。人々がみな、同じ空気を吸っているので、ここには仕事のできる人材が豊富にいます。

ただ、まだ才能が十分活かしきれていない部分はあるかもしれません。

ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂性)に関して、FCBはどのくらい進捗していますか。またインドでは、障がい者雇用がどの程度重視されていますか。

この2年間で、当社の離職率は過去最高に達しました。一部は、主にこの業界で成長してきた人たちで、私は彼らをトラディショナル人材と呼んでいますが、全体的にはトラディショナルではない人も含まれます。市場によっては、しばらく休職していた社員が復帰し始めているところもあります。FCBの場合、ダイバーシティとインクルージョンのモデルを3つの側面から見ています。

私たちが社員を見る際の観点は、才能とワークスタイル、そしてもちろん仕事そのものです。障がい者雇用は、ダイバーシティの取り組みの一つですが、これについては、個人情報取得の観点から、米国市場を除き、何もお話できません。身体的な情報を聞くことが許されていないため、そのような情報を持ち合わせていないのです。

エージェンシーが、口先だけでなく、真に従業員のニーズに応え、リテンションを向上させるには、どうすればよいのでしょうか。

私たちは、リテンションの向上は実現できると確信しています。それには、給与体系を含めたあらゆる報酬を検討する必要があります。無給で入社してくれる人はいないので、金銭的な報酬が必要なのは当然です。しかし、エージェンシーで働くことのメリットや特典を提供することもやはり重要です。

エージェンシーは、ワーク・ライフ・バランスを欠いていることで悪名高い業界です。その点でFCBはいかがでしょうか。

この業界は、素晴らしい作品に取り組み、創り出すところです。ときには、1日の終わりに仕事が終わらないこともあるでしょう。仕事のために何をすべきかと、再び活力を取り戻し仕事に集中するために、時間をどう確保すべきかとの間で、うまくバランスを取る必要があります。管理職は、与えられた期間内の課題やプロジェクトに注力しつつ、次の仕事が始まる前に、部下が一息つける時間を確保する必要があります。組織全体としては、燃え尽き症候群が生じないよう、人員配置が適切かどうかを常に監視する必要があります。また、メンバーをそのプロセスに関与させることも重要です。オフィスへの出勤と退勤は、一日の大切な境界線ですが、私たちの業界では、この境界線は慢性的に「努力目標」となっています。この業界に来る人は、ここが9時から5時で仕事が終わるような場所ではないことをわかっています。

「静かな退職」が、業界で耳にする新たなバズワードとなっています。広告業界はこの流れに対応できるでしょうか。

静かな退職というのは、「私の仕事はこれだけであり、私はただ出社して自分の仕事をすればいい」という考え方です。今話題のトピックですが、要は、従業員のワーク・ライフ・バランスをどう管理するのかという問題に帰結します。会社が与えているものを受け取れている、と従業員が明確に感じられるようにしなければなりません。つまり、双方の価値観を一致させる必要があるのです。

「人は、仕事のせいで辞めるのではなく、上司のせいで辞める」という言葉は正しいと思いますか。

正しいと思います。誰にも、自分の才能を開花させ、ステップアップさせ、成長させてくれた上司がいたと思います。しかし、ときには正反対の上司に当たることもあります。私がこの会社に、これほど長くいられた理由の一つは、私を成長させてくれる素晴らしい上司に恵まれていたからです。彼らは、私が背伸びしなければならないような厳しい課題も与えましたが、私に何ができるのかをわかってくれていたのです。

人材責任者が直面する、最大の課題は何でしょうか。

今の人材責任者が最も優先すべきことは、最高の資産である人材に常に気を配ることです。リテンションも重要ですが、誰かが私たちの会社に加わったら、その人がA地点からB地点に進むことができているか、常にチェックする必要があります。私はかつて人事部門の一社員でしたが、今の地位に昇進することができました。幸運にも私がそうなったのですから、他の人がそうならない理由はないのです。

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

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