David Blecken
2017年1月20日

Y-3、警察国家におけるファッションの役割を表現

デザイナー山本耀司氏とアディダスの協業ブランド「Y-3(ワイスリー)」は、興味深いポジションを築き続ける。

ファッションの世界は、多くの人が思う以上に理知的だ。思考を巡らせた創作が舞台裏で絶え間なく繰り広げられているが、大抵の場合、その過程を経て生み出されたプロダクトだけが表舞台で消費者の目に触れる。しかし、ブランドの動画やコンテンツの拡充によって、そうしたあり方が変化しようとしている。カジュアル衣料から高級デザイナーファッションに至るまで、ブランドはメッセージの発信に力を入れ始めている。

ユニクロは昨年、初めてのグローバルブランディングキャンペーンで「人はなぜ服を着るのか」と問いかけた。この意図を受け止めきれなかった人も、中にはいるだろう。しかし、多くの人々がファストファッションから哲学を想起しない中で、このキャンペーンはユニクロが他と一線を画したブランドであることを示した、即効性のある優れた一手であった。

一方の高級デザイナーファッションでも、アディダスとデザイナー山本耀司氏のコラボレーションブランド「Y-3(ワイスリー)」の、グローバルキャンペーンが話題になっている。キャンペーンのテーマはプライバシーと監視のあり方で、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』で描かれた未来の全体主義社会が現実になりつつあるかのような世界が舞台となっている。1月16日に公開された今年の春夏コレクションの最新プロモーション動画では、衣服をある種の「よろい」と位置付けた山本耀司氏のビジョンが、このテーマの中で表現されている。機動隊を彷彿させる一団と、付きまとって離れない不吉なドローンが登場するが、最後には主人公の衣服がこれを撃退する。動画の制作はニューヨークの広告会社、ブラックローズが手掛けた。

Campaignの視点:コンセプトをじっくり解釈する余裕があり、制作側の意図に思いを巡らせることができる視聴者にとっては、ブランドの明確なポジショニングを維持しながらプロダクトに深みを与える動画の面白さを味わうことができるだろう。一方で、コンセプトにそれほど入り込めない視聴者も、この動画が独特な雰囲気でファッションを際立たせていることは見て取れるだろう。究極的には、それが一番伝えたいメッセージなのだ。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:鎌田文子 編集:田崎亮子)
 

提供:
Campaign Japan

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