Ryoko Tasaki
2019年12月03日

インクルーシブな経営は、まず社内の文化育成から

さまざまな観点でインクルージョンを考えること、そして偏見を助長しないことは、マーケティングにおいて今後ますます重要になっていく。

(Shutterstock)
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※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

アイプロスペクト・ジャパン(iProspect Japan)は先日、インクルーシブマーケティングに関するホワイトペーパー『排除から共存へ(From Exclusion to Inclusion)』の日本語版を発表した。ビジネスに成長をもたらすインクルーシブの概念を正しく理解し、固定観念や偏見がクリエイティブやマーケティングによって助長されることがないよう検証する必要性を説いている。

同社のプレスリリースによると、LGBTQ+の人々の購買力は3.7兆米ドル、女性の消費額は年間18兆米ドルに上るといい、消費への影響力は絶大だ。「従来の古典的なターゲットオーディエンスには含まれない消費者」を想定することは、「成長機会が手詰まり状態にあるセクターにとっては現状を打破するチャンスとなり得る」とある。

ダイバーシティー&インクルージョン(D&I)は、多様な人々をお互いに認めて受け入れ、それぞれが自分らしく能力を発揮できる環境を整えるという考え方だ。これが今後ますます重要性を増していくことは、疑いようがない。だが、安易な「レインボー消費」の施策を展開する企業が、ブームに便乗して餌食にしようとしていると反感を買ったケースが、これまでに国内外で数々見られた。

このようなケースはなぜ起こるのか。アイプロスペクト・ジャパンの渡辺大吾COOは「企業および関わる社員が、インクルージョンを表層的にしかとらえていなかったために起こった問題」だと語る。「マーケティング活動を通して商品がパブリックに出る前には、いくつものレイヤーで社内承認をとっていく必要があるはずですが、インクルージョンの理解不足のために機能していなかったのだと思います」

そのため、企業は消費者向けの施策を考えるよりも前に、まずは社内のインクルージョンの文化を育むことが重要だと語る。さまざまな意見が出てきやすい環境を整えることで、自分たちの商品やサービスが何を排除してしまっているかに気付きやすくなり、より良いものへと進化していくというのだ。文化を育むのに必要なのは、仰々しいミッションを掲げることでなく、社員一人一人の理解を深めること。また、ミルトン・ベネット博士による異文化感受性発達モデルに照らし合わせることで、自分たちの立ち位置を確認することができるという。

そして「身の回りに解決すべき課題はあるのか、発見していくことが重要」だという。その中で、自社が持つ商品・サービスや、それを作る際に用いた技術などといった資産と、課題との間にどのような親和性があるかを探ることで、「企業のサイズに関係なく新しい商品・サービスの開発に結び付けることができるのではないか」と語る。

同報告書は他にも、AIや機械学習においてバイアスが現れてくる現象についても指摘している。もともと機械にはバイアスが無いはずだが、テクノロジーを利用する人間が持っているバイアスが、意図せず反映されてしまう。この課題の解決にも、社内にD&Iの文化を育てることが重要だと報告書は示唆している。

(文:田崎亮子

提供:
Campaign Japan

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