J. Barbush
2016年7月26日

エージェンシーを辞めようかと思った時に自問する5つの質問

慣れ親しんだ会社から離れることは簡単な決断ではない。しかし、大きな見返りを手にする可能性はある。サンタモニカを拠点とするクリエイティブ・ディレクター、バーブッシュ氏は、転職の前に考慮すべき5つのポイントがあると言う。

エージェンシーを辞めようかと思った時に自問する5つの質問

閉鎖的なこの広告業界では、1社に落ち着く人間は滅多にいない(編集記:日本国内ではそうでもないが…)。アカウントが変われば、ニーズも変わり、そうした変化は給与や肩書き、チャンスにも波及する。だから、社員がエージェンシーからエージェンシーへと渡り歩いていくことは至極当然だといえる。

けれども、私自身はそうした道を選ばず、RPAで20年目を迎えた。だから、転職について語る資格がないと言われればそれまでだが、この業界の人間の浮き沈みについては自分なりに多くを見て学んできたつもりだ。
もし転職するのか、あるいは今の場所にとどまるのかで悩んでいるのならば、その一歩を踏み出す前にぜひ次の質問について考えてほしい。

自分のプランは何か?
まず、プランを立てよう。頭の中では明確であろうとも、書き出してみることで、自分のキャリア設計が実行に移しやすくなり、責任感も増す。自動車メーカーの仕事が自分のポートフォリオに必要か? 管理職になる心構えはあるか? キャリア構築について自分自身に明確な指示を出し、責任を持とう。目標を達成するのに必ずしもエージェンシーを転々とする必要はなく、今の会社で事足りるかもしれない。まずは社内で相談してみよう。もし期待するような答えが返ってこなかったら、その時は他をあたるタイミングなのかもしれない。

社内の人間が好きか?
パソコンから頭を上げて、できれば社内を散策してみよう。デスクワークばかりでは、視野も狭くなる。同僚が働くデスクの間を歩き回って、何が目に付いただろうか。楽しそうに仕事をする姿? それとも、ストレスや不満で淀んだ職場? エージェンシーにとって最も大切な財産は人材だ。自分と、そこで働く人々とのつながりが希薄だと感じたならば、この先自分がやりたい仕事は無いと思っていいのかもしれない。そして社内をひと回りして自分の席に戻ったら、もう一度周りを見回してみよう。自分の両隣の席の人たちを尊敬できるか? もし答えがノーならば、イエスと言える場所を探そう。

仕事と人生、好きなのはどっち?
この業界の人間には、自分の仕事がもてはやされるのが嬉しくてたまらないナルシシストが多い。そんな人間にとってもプライベートは重要で、その経験を仕事に活かすこともできる。自分にとって大切なものは何か、答えを出しておこう。つまり、一流の仕事をこなすがプライベートは無いに等しい多忙なエクゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターになりたいか、あるいは目立った功績は少ないがほどほどの仕事でプライベートを楽しみたいのか。もちろん、仕事とプライベートの両立が不可能だと言うつもりはない。しかし、まともなワーク・ライフ・バランスなど期待できそうもないエージェンシーは、実際に何社でもある。それを受け入れられる人がいる反面、それでは無理だという人もいるだろう。自分にとっての仕事とプライベートの最適な配分を見出し、今の会社でそれが叶うか検討すべきだ。

自分の魂を揺さぶるものは?
日々どのように仕事をしたら自分は満たされるのかという問いは、目の前の仕事に没頭する中で置き去りにされがちだ。私にとっては、自分のクリエイティビティーが試されること、というのがその問いへの答えであり、過去20年間、こうした思いで仕事と向き合ってきた。金銭的な見返りがモチベーションにつながるという人もいるだろう。仕事より人生を優先したいので、会社勤めの時間的制約から解放され、自由に旅行が楽しめるフリーランスこそが答えだという人もいるだろう。人それぞれだが、自分が欲しているものを理解し、今それが手に入っているのか自問しよう。もし答えがノーならば、手に入れる方法や職場について考え直す必要がある。

もう一度やり直す心構えがあるか?
他のエージェンシーに移るということは、学期の途中で転校するようなものだ。転校生への風当たりは厳しい。今の状況が話し合いで解決するものであるならば、まず社内で話し合った方がいい。エージェンシーを変えることは、すべてを新しくやり直すことに他ならない。新しい仕事を引き寄せたのは、今までの人間関係や努力、良いアイデア、献身的な行動だったかもしれない。しかし、これまで積みあげてきたものを、そのまま新しいエージェンシーに移行することはできない。新しい集団の中で再び人間関係を構築し、自分自身を売り込まなければならないのだ。ここで忘れてはならないのが、新しいエージェンシーでは自分が、外部からきた人間になるという認識だ。よそ者が組織にもたらすもの、それは「競争」だ。

これらすべてを理解した上で、それでも自分には変化が必要で、どこか別の場所で新しくやり直した方が良いのなら、それには一理あるだろう。
しかし、すぐには行動に移さず、数日間は時間を置くこと。それから、実際の社員などからヒアリングを行い、きちんとリサーチをする。これは今後の人生を決める重大な決断だということを忘れてはならない。すべての損得をリストアップして最終的な結論に達したら、後はもう迷わないことだ。

そして、いったんエージェンシーを後にしたら、何があっても決して後ろを振り返ってはいけない。

J.バーブッシュ氏は、カリフォルニア州サンタモニカの広告会社、RPAのバイスプレジデント兼クリエイティブ・ソーシャルメディア・ディレクター。

(文:J.バーブッシュ 翻訳:高野みどり 編集:田崎亮子)

 

提供:
Campaign US

関連する記事

併せて読みたい

19 時間前

世界マーケティング短信:資本としてのクリエイティビティー

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

1 日前

アフターコロナ 日本は消費意欲が旺盛

コロナ収束後は積極的に消費をしたい −− マッキャン・ワールドグループが実施する新型コロナウイルスに関するグローバルアンケート調査で、日本が最も消費活動に意欲的という結果が出た。

2 日前

アジアのブランド、CSRキャンペーンに注力

WHO(世界保健機関)が新型コロナウイルスのパンデミックを宣言してから半年。アジアのブランドがインフルエンサーを活用したCSR(企業の社会的責任)キャンペーンを大幅に増やしていることがわかった。

2 日前

電通、トヨタと新会社を発足

目指すはマーケティング変革とモビリティビジネスの創造 −− 日本の巨大企業2社が手を組み、来年1月に新たな組織を立ち上げることになった。