Tetsuya Honda
2017年1月03日

コミュニケーション業界 三つの潮流

2017年は、インサイトの捉え方やジャーナリズムの見直しが進むほか、五輪開催に向けた具体的な動きが始まるだろう。

本田哲也氏
本田哲也氏

2017年の日本のコミュニケーション業界はどうなるか。パブリックリレーションズの観点から、三つの大きな流れが見えてくる。

まず一つ目に、「社会インサイトの捉え方の再考」が起こるだろう。米大統領選でのトランプ氏の勝利は、白人労働者層の潜在インサイトをクリントン陣営や大手メディアが読みきれなかったことで、従来の世論調査への懐疑をもたらした。社会視点が求められるマーケティング調査も例外ではない。日本でも都市部と地方の価値観や行動基準格差は広がっており、これまで当たり前とされたノウハウを見直す局面が来るはずだ。

二つ目に、「ジャーナリズム原理主義」ともいえる空気が業界を支配するだろう。今回、WELQ問題に端を発しDeNAが運営するキュレーションメディア10媒体すべての非公開化を余儀なくされたことは、業界全体に非常に大きなインパクトをもたらした。衰退する旧来メディアと新興デジタルメディアという表面的な対抗図式は終焉し、一次取材や編集の役割など「ジャーナリズムの理解」の重要性に焦点は移行する。情報発信の裾野が広がりきった今、メディア広告主も新興メディア事業者も広告会社も、経営者レベルで「メディアメーカーとしてのリテラシー」を向上させる必要がある。

最後に、いよいよ企業にとって「東京オリンピックの自分ごと化」が始まるだろう。2017年を迎え、2020年の開催までちょうど3年となった。3年の中期計画策定になじみ深い日本企業にとっては、物理的にも心理的にも具体化が始まる年になる。ソーシャル時代のオリンピックだからこそ、オフィシャルスポンサーのみならず、企業は多様なチャンスを見出せる。業界のクリエイティビティーが試される3年が始まる。

(文:本田哲也 編集:田崎亮子)

本田哲也氏は、ブルーカレント・ジャパンの代表取締役社長。

提供:
Campaign Japan

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