Eric Berger
2023年8月10日

スーパーマリオとオレオ、コラボレーションの舞台裏

このキャンペーンの制作チームは、この二つのブランドがそれぞれのファン層にもたらす価値に「強い類似点」を見ていた。

(写真提供:ウェーバー・シャンドウィック、許諾を得て使用)
(写真提供:ウェーバー・シャンドウィック、許諾を得て使用)

キャンペーン:「オレオ x スーパーマリオ」クッキー
広告主:モンデリーズ・インターナショナルと任天堂
エージェンシー:電通クリエイティブ(クリエイティブとオーガニックソーシャル)、ウェーバー・シャンドウィック(PR)、ヴェイナメディア(ペイドメディア)
期間:2023年6月14日~現在

みんながよく知っているように、オレオと合わせる最高の相棒は冷たいミルクだ ― 少なくともかつてはそうだった。しかし今、その白黒色のクッキーに、もっと相応しい相棒ができたようだ。それは誰?「それはオレ、マリオだ」。

ストラテジー(戦略)

オレオのクリエイティブチームは、スーパーマリオの著作権を持つゲーム会社、任天堂と提携することが効果的だと考えた。それは「両ブランドがファンにもたらす価値に、強い類似点があると考えたからだ」と、オレオのシニアブランドマネージャー、ヴィシュヌ・ナイル氏は、PRWeek宛ての電子メールで述べている。「スーパーマリオには遊び心があり、あらゆる年齢層のファンから愛される象徴的なゲームタイトルだ。そしてそれは、オレオブランドの精神とも共鳴するものだ」

タクティクス(戦術)

オレオは、6月14日に提携を発表する前に、パートナーシップをティーザーで予告し、クッキーがミルクに落ちる映像とともに、「最新コラボが、大きな飛沫をまき散らす」というテキストをソーシャルメディアに投稿していた。

その後、オレオは、マリオやルイージなどのヒーローや、クッパなどの敵役も含むエンボス加工を施した16種類の限定版クッキーが登場する動画をリリースし、全てのクッキーを集めたいというファンの心理を刺激した。

58秒の動画では、オレオクッキーが、マリオの代表的なテーマ音楽に乗って、障害物を次々にクリアしていくシーンが展開される。

@theoreoofficial

Collect cookies! Save the kingdom! Pre-order LTE Super Mario OREO cookies now! Link in bio. #SuperMarioOREO

♬ original sound - OREO

オレオはさらに、消費者向けのチャレンジコンテストも開催した。このコンテストは、ミルクの入ったグラスの縁にクッパのクッキーを置き、その上にヒーローたちのクッキーをいくつ積み上げられるかを競うものだ。クッパのクッキーが負けたら(ミルクに落ちたら)終わりだ。オレオは、参加者にそのチャレンジの様子をソーシャルメディアでシェアするよう推奨している。

「私たちは、ファンがクッパを倒すことで、ファンとの深い絆が生まれるような、新しい顧客体験を創り出したかった。そして、クッパを倒す一番良い方法は、オレオの一番の相棒であるミルクに突き落とすこと以外にないだろう」とナイル氏は述べた。

オレオはこのパートナーシップを、ティックトック、インスタグラムの自社チャンネルや、かつてツイッターだったXなどでプロモートした。また、アーンドメディアで口コミを広げるため、「食品、ライフスタイル、トレーディングカード、ゲームなどのさまざまなジャンルにリーチし、ファンがこのコラボに注目する機会をすべて網羅するように仕掛けた」と、ナイル氏は説明した。

結果

58秒の動画はユーチューブで270万回以上の再生と46,000件以上の「いいね」を獲得し、インスタグラムでは54万回以上の再生と2万件以上の「いいね」を獲得した。また、X(元ツイッター)では20万回以上の再生があり、ティックトックでは26万件以上の「いいね」を獲得した。その他にも、ティックトックで25,000件以上の「いいね」、インスタグラムでは13,000件以上の「いいね」を獲得した、スーパーマリオパックを紹介する動画が投稿されている。

このキャンペーンは、オールレシピービルボードピープルUSAトゥデイなど、さまざまなメディアにも取り上げられた。

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

関連する記事

併せて読みたい

3 日前

メディア・リレーションは、PRの一部に過ぎない

メディアへの記事掲載が目標だと誤解されがちだが、事業目標の推進に測定可能な形で貢献したかを問うべきだ。

3 日前

世界マーケティング短信:ネットフリックスのワーナー買収にパラマウントが対抗

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2025年12月10日

オムニコムとIPGの統合について、クライアントが問うべきこと

エージェンシーの統合がクライアントに及ぼす影響について、今こそ直接質問して明確にすべきだ。質問しなければ推測に頼ることになり、この状況下での推測は高い代償を伴う。

2025年12月09日

サントリー「-196」 CFが明かすブランド名の由来

いつも「やり過ぎ」に映る日本の広告。電車やコンビニで巨大なレモンが爆発するこの広告は、その極みだろうか……。