Staff Reporters
2021年7月02日

世界マーケティング短信:グーグルのクッキー廃止延期、購買行動の変化

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信:グーグルのクッキー廃止延期、購買行動の変化

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

貴重なモノクロ写真、プライド月間以降も募集

6月のプライド月間には、さまざまな企業がLGBTQIA+への支援を表明するキャンペーンを展開する。カラフルなソフトキャンディー「スキットルズ」は2016年より、プライド月間に合わせて真っ白の商品を英国で発売している(その後、灰色に変更)。「プライド月間に注目されるべきレインボーカラーはひとつだけ」というのが理由だという。

そんな同ブランドは6年目となる今年、これまでとは異なるキャンペーンを開始した。英メディア「ゲイ・タイムズ」、支援団体「スイッチボードLGBT」、LGBTミュージアム「クィア・ブリテン」と共に立ち上げたのは、「Recolour The Rainbow(レインボーに再び色彩を)」というプロジェクトだ。

そもそもプライド月間は、1969年6月にニューヨークで起こった「ストーンウォールの反乱」、そして翌1970年の6月に米国各地でパレードが開催されたことが原点だ。だがLGBTQIA+解放運動の歴史をおさめた貴重な写真は、モノクロが多い。そこで同プロジェクトでは、モノクロ写真の提供を広く呼びかけ、その中から数点を厳選し、色を再現する。好評につき、応募用サイトは夏ごろまで受け付ける予定だ。


Chromeのサードパーティクッキー廃止が延期に

米グーグル社は先週、同社のブラウザ「クローム」でサードパーティクッキーのサポート廃止の時期を2023年後半まで延期すると発表した。まず第一段階として今年後半から、広告主やパブリッシャーがサービスを移行し、第二段階としては2023年半ばから「3カ月間で段階的にサポートを廃止する」予定だ。2020年1月には「2年以内に廃止する」と発表していたため、実質2年近くの延期となる。

移行の為の準備期間が長くなったわけだが、「結局のところ、2年間の延期で変わることは無い」と断言するのはタグ・エージェンシー(Tug Agency)の最高メディア責任者、オリバー・ヴォーン氏だ。プライバシー保護の強化は、アップルなど競合他社も力を入れている課題だ。自社サイトを訪れたユーザーの合意を得て、ファーストパーティクッキーを強化することはもちろんだが、消費者の8割がプライバシーデータ保護に何らかのアクションをとり、4割がアプリやブラウザ閲覧記録を消去しているという中、クッキーに依存しない方法を確立することが重要だと説く。


ニューノーマル時代の買い物、オンラインと実店舗の役割

デジタル端末の普及浸透やコロナ禍によって、オンラインでの買い物が一気に身近になった一方で、実店舗ならではのメリットも実感するようになった。博報堂が5月末に実施した「ニューノーマル時代の購買行動調査」によると、無人レジを使ったことがある人は6割を超えたという。また、「コロナ禍で、オンラインで商品を購入することが増えた」は33.7%、「店頭で購入するよりも、オンラインで商品を購入することが増えた」と回答した人も29.2%に上った。

今後の買い物意識について、「なんでもオンラインで購入するようになると思う」が約7割に上るが、ブランドの思いや思想が伝わりやすい場所として、24.2%が「オンライン」を選んだのに対し、75.8%が「店舗」を選んでいる。ブランド体験価値づくりにおいて、店舗の役割が重要になっていくとみられる。


商品の偽画像 ブランド公式アカウントの反応は?

米ハインツは近年、マヨチャップ(マヨネーズ+ケチャップ)やマヨマスト(マヨネーズ+マスタード)といった、フレーバー付きのマヨネーズを発売している。ところが先週、ソーシャルメディアではマヨレオ(マヨネーズ+オレオクッキー)という、実在しない商品の写真が拡散された。写真を投稿したのは、ドクター・フォトグラフというアカウント名のデジタルクリエイター。食品やDVDジャケットなどのパロディー画像を載せているアカウントだ。よく見るとこの画像にも、制作者のクレジットが記されている。

ハインツの公式ツイッターアカウントは、「残念ながら、このユニークなコンビネーションは実在しません」と投稿。しかし「それにもかかわらず、興味をそそられていることを認めざるを得ません」と続け、「いかがでしょう?」とオレオに意見を求めた。するとオレオ公式アカウントも「正直なところ、これを最近ツイッターでよく見かけていて、頭から離れません…」と反応した。


電通、本社ビル売却へ

電通が、汐留にある本社ビルの売却を検討していると発表した。実現すれば年内に、譲渡益約890億円を計上する見込みだという。売却後も賃貸借契約を締結して引き続きこのビルを使用し、本社所在地も変わらない。毎年のリース費用は増えるが、減価償却費や修繕費、テナント管理にかかる費用、設備更新費用などを削減できる。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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