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新ブランド名は「ADK Global Powered By Assembly」に
スタグウェル(Stagwell)がADKホールディングスの海外マーケティング事業部門であるADK GLOBALを買収することが、今年1月に発表された。この買収が6月に完了し、スタグウェル傘下のグローバル規模の統合メディアエージェンシー「アセンブリー(Assembly)」とADK GLOBALが合併する。ADK GLOBALのブランド名は「ADK Global Powered By Assembly」となる。
アセンブリーのアジア太平洋地域担当CEOであるリチャード・ブロスギル氏が、ADK GLOBALとの統合を統括していく。ADK GLOBAL 元CEOの片木康行氏は、アジア太平洋地域の最高統合責任者を務める。地域のリーダーシップ構造に変更は生じず、役職の削減も行われていない。
合併は、コスト削減が目的ではないと、Campaign Asia-Pacificのインタビューでブロスギル氏は語った。「今年の人員数への即時の影響も、計画もありません。時間をかけて関係性やチーム構造を構築していくことにフォーカスしています」。
大手持株会社の真似をしようとしているわけではないと、ブロスギル氏と片木氏は明言する。「市場は、ピュブリシス(Publicis)やWPPのような企業をこれ以上必要としているわけではありません。私たちが築こうとしているのは、よりシャープで敏捷で、現代のクライアントの働き方に最も合致した組織です」。インタビューの詳細はこちら(英語)。
オムニコム、アジア太平洋地域の成長率が+6.5%
広告大手が第2四半期の決算を発表した。まずオムニコム(Omnicom)はオーガニック成長率が+3.0%だった。売上高は42.2億米ドル(前年同期比+4.2%)だったが、インターパブリック・グループ(IPG)の買収関連費で収益性が低下し、営業利益は4.39億米ドル(同-13.9%)となった。
地域別にみると、アジア太平洋地域のオーガニック成長率は前年同期比+6.5%と好調。米国が同+3.0%、欧州が同+2.5%、英国が同-2.5%、米国を除く北米が同+2.4%、中東・アフリカが同+0.9%で、中南米が同+18.0%と急伸した。
事業領域別では、中核事業であるメディア・広告事業が世界全体で+8.2%と大きく伸びた。プレシジョン・マーケティング(同+5.0%)と体験マーケティング(同+2.9%)の成長が、PR(同-9.3%)、ヘルスケア(同-4.9%)、ブランディング&リテールコマース(同-16.9% )の落ち込みを補った。
IPGはアジア太平洋地域で低迷
一方、オムニコムに買収される予定のIPGはオーガニック成長率が前年同期比-3.5%と落ち込み、純収益は同-13.6%と急減した。同社が昨年、アマゾン(Amazon)のグローバルメディアアカウント、レゴ(Lego)、ファイザー(Pfizer)のグローバルクリエイティブアカウントを失ったことが影響した。
地域別に見てもオムニコムとは対照的で、アジア太平洋地域は同-13.6%と最も落ち込んだ。米国は同-2.6%、英国は同-9.7%、欧州大陸は同-1.6%、中南米は+1.4%、その他市場は+0.3%だった。
事業領域別では、メディア・データ&エンゲージメント・ソリューションが同-3.1%、統合広告&クリエイティビティー駆動型ソリューションが同-6.3%、専門コミュニケーション&体験ソリューションが同+2.3%だった。
ピュブリシス、クリエイティブとメディアが好調で成長加速
ピュブリシスの第2四半期は、純収益が36億ユーロ、オーガニック成長率は前年同期比+5.9%で、第1四半期(同+4.1%)に続き好調だった。全体の60%を占めるインテリジェント・クリエイティビティー領域(クリエイティブ、PR、制作など)と、25%を占めるコネクテッド・メディア(データ、メディア、CRM、ソーシャルなど)の「一桁台後半の成長」が、成長を牽引した。
地域別では、アジア太平洋地域が同+5.7%、北米が同+5.8%、欧州が同+4.6%、中東・アフリカが同+8.8%、中南米が同+19.8% 。
アーサー・サドゥーンCEOは今年4月、米国の関税引き上げによる経済の不確実性から「一部のクライアントは予算を削減する可能性がある」と述べていた。だが、同社の収益には影響せず「第1四半期から第2四半期にかけての変化はみられませんでした」とCampaignに語っている。
WSJの東京支局長にジェーソン・ダグラス氏
ウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)の東京支局長に、ジェーソン・ダグラス氏が就任した。同氏は北アイルランドの新聞社でキャリアをスタートし、2007年にダウ・ジョーンズ(Dow Jones)の経済通信の記者に。日本に着任する前はシンガポール支局で、アジア経済を担当していた。
東京支局長を10年務めたピーター・ランダース氏は現在シンガポールで、アジア総局のビジネス・金融・経済の記者を務める。日本では数多くのテレビ番組にコメンテーターとして出演していた。
(文:田崎亮子)