Will Anstee
2021年9月03日

ブランドは、なぜZ世代を理解しようとしないのか

潜在顧客層を丸ごと失いたくないなら、ブランドはティーンエイジャーをもっと理解する必要があると、トータリーオーサム(TotallyAwesome)のCEOは主張する。

ブランドは、なぜZ世代を理解しようとしないのか

「インフルエンサー」と聞くと、どのようなイメージを思い浮かべるだろうか。インスタグラムで次々と痛々しいポーズを決める「職業インフルエンサー」というのが、率直な感想ではないだろうか。

だが、そのような考えは捨ててほしい。代わりに思い浮かべてもらいたいのは、家庭内のすべての購入決定権の94%を握っている強力なインフルエンサーグループのイメージだ。彼らは、家族で食事に行く場所、旅行、衣服、テクノロジー製品など、さまざまな購買行動に影響を与えている。

真っ当なマーケターなら、このようなインフルエンサーの影響力を無視することはないはずだ。しかし、現実はそうではない。

ここで言うインフルエンサーとは、ティーンエイジャーのことだ。そして、今ほど、10代の若者たちが購買に対し強い影響力を持っている時代はない。

トータリーオーサムでデータ、リサーチ、インサイトの地域責任者を務めるアリス・アルメイダ氏によれば、両親が買ってくれる衣服や靴に関してはティーンエイジャーの87%が、スポーツウェアやスポーツ用品の購入については78%が、その購買に影響を与えているという。また、競技場や自宅におけるスポーツ観戦についても、76%がその選択肢に影響を与えていることが、同データから明らかになっている。

このような統計データは、10代の若者たちが、買い物や家庭でのメディア視聴にいかに大きな影響力を持っているかを示している。しかし、ほとんどのマーケターは、10代の若者の実態を誤解しているか、10代を対象とすることによるマーケティング上のリスクについて警戒している。もしくはその両方かもしれない。

ティーンエイジャーというものは、何らかの形で誤解されるということが宿命づけられた存在だ。彼ら自身やその両親に尋ねてみるがいい。いつの時代もそれは変わらない。

しかし、メディアや社会規範の変化によって、今日のティーンエイジャーは、かつてないほど誤解を受けているというのが現実だ。この原因の一つは、ブランド発信者がネットネイティブ世代ではないため、TikTokやユーチューブよりテレビを優先してしまうことにある。

10代へのアプローチには慎重さが必要

まず強調すべきは、「ティーン(10代)」という言葉自体が誤解を招きかねないということだ。人生で初めてのことに出会い、新たな関心が次々に生まれるこの時期は、願望、思考、欲求、購買パターンなど、あらゆることが毎年のように変わっていく。そのため、効率的にマーケティングを展開するには、規模だけではなく、もう少し細かくセグメント化することも必要だ。当社では、13~15歳と16~18歳という2つの年齢層に分けてターゲティングしている。この2つの年齢層はあまりに違いが大きいからだ。

また、10代というのは倫理面でもきわめて大切な時期と言える。だからこそ、ロビー団体のリセット・オーストラリアやテック・トランスペアレンシー・プロジェクトは、フェイスブックのユーザープロフィールを利用すれば、彼らをターゲットとして、13~17歳のユーザーにも酒やタバコの広告を表示できることを発見して、強い非難を表明した。ブランドが10代の若者にアプローチすることに神経質になっているとすれば、それには理由があるのだ。

それでもアプローチすべき理由

マッキンゼーの予測によれば、APAC(アジア太平洋地域)では、2025年までに総人口の4分の1をZ世代が占めるという。しかも、彼らは非常に大きな購買力を持っている。バンク・オブ・アメリカはレポートの中で、「Z世代の経済力は、あらゆるコホート(集団)の中で最も急速に拡大している」と述べている。

10代の若者を無視すれば、ブランドは、未来の顧客を失ってしまうリスクがあるだけでなく、今現在、10代の若者の家族との接点も失っている可能性がある。

ブランドが得られるメリット

ブランドは、ティーンエイジャーのアイデンティティに重要な役割を果たしている。ただし、彼らが私たちの世代と同じような形でブランドを好きになることはない。

当社のデータによれば、10代の若者の70%が、ソーシャルメディア経由で新しいブランドを発見している(ミレニアル世代では58%)。11歳で保護者の勧めるブランドと決別し、13歳で好みのブランドをあれこれ変えたり新しいブランドを試したりしたあと、またトップブランドに戻ってくる。このようにブランドとの関係は毎年のように変化している。

最新のデータによると、10代の若者の41%が好きなブランドをソーシャルメディアでフォローし、25%が自分の好きなブランドを人にも積極的に勧めている。また、マッキンゼーのレポートによれば、APACでは国によってブランドとの関係に違いがあるという。「日本では、Z世代は個性を示すより周囲に合わせることを好む傾向が強い。中国では、自分が何者であるかを示すためにブランドを活用している。オーストラリアでは、ブランドの環境に対する責任やサステナビリティに関心を寄せる傾向が高い」

社会は洗練され、セグメント化され、絶えず変化しているのだ。コミュニケーション戦略において10代の若者に挑もうとしないマーケターは、1世代後には自社のブランドを埋没させてしまうことになるだろう。

出典: The Insights Familyが2021年8月5日までの半年間に収集したデータ


ウィル・アンスティー氏はトータリーオーサムの最高経営責任者。

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

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