David Blecken
2019年5月24日

世界マーケティング短信:マッキャン・ワールドグループのリーダー交代

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

チャールズ・カデル氏
チャールズ・カデル氏

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

マッキャン・ワールドグループAPAC代表が交代

マッキャン・ワールドグループのアジア太平洋地域を統括するチャールズ・カデル氏が、今年末までに同職を退く予定だ。日本法人のCEOも務める同氏はこれ以上の詳細を明らかにしていないが、声明によると、後任はアレックス・ルーバー氏(現在はロンドンに拠点を置いている)。同社によると、カデル氏もルーバー氏も変革を求めていた。カデル氏は2016年から都内に拠点を置いている。

FBI、米国でのメディアバイイング捜査のためLVMHを召喚

Campaignが把握するところによると、FBI(米連邦捜査局)がメディアバイイングの透明性について現在調査を進めており、電通イージス・ネットワーク(DAN)のクライアントであるLVMH(仏高級ブランド)を召喚した。LVMHやDANが不正を行ったかは示唆されていないものの、FBIは年間4億米ドルと推定されるLVMHのメディアバイイングアカウントについて、情報を求めているとみられる。今回の大規模な捜査は、不正なトランザクションやキックバックを明らかにすることが目的。FBIはコメントを控えている。

アドフラウドによる広告主の損失は400億ドル以上

広告界の最大の脅威であるアドフラウド(広告詐欺)に、いかに立ち向かうかという議論が果てしなく続いている。だがアドフラウドによる今年の損失は世界中で420億米ドル以上に増加すると、英ジュニパーリサーチは予測する。2023年までには1000億米ドルに達する可能性もあるとのことだ。

詐欺の手口はますます巧妙になり、広告ネットワークをスプーフィング(なりすまし)してクリックや表示広告を改ざんするなど、高度な技術を用いている。次なるターゲットは、OTTサービス(インターネット経由でコンテンツを配信するサービス)によるデジタルTVCMになるのではないかとジュニパー社は推察する。これらの事業者では標準化が進んでおらず、詐欺業者がコネクテッドTVから広告ネットワークのスプーフィングを行うのは比較的簡単であるためだ。

音声アシスタントの女性の声は、ジェンダー平等の観点で問題あり

音声アシスタントの多くが女性の声であることは以前にもお伝えしたが、これによって有害なジェンダーステレオタイプを助長しているという報告書を国連が発表した。初期設定が女性の声であるということが、女性は優位な立場にある人を従順に支援する役割というメッセージを伝えていると指摘している。さらに、中傷的あるいは性差別的な問いかけに対して、音声アシスタントは受け流してくれることにも触れられている。同報告書はこれらのサービスを提供する企業に対し、中立的な音声に変える方法を模索するよう求めている。

同性カップルを描いた広告、却下の後に掲出を許可される

キャセイパシフィック航空が、二人の男性がビーチで手をつなぐ写真に「レッテルを越えていく(Move beyond labels)」というキャッチフレーズを添えたOOH広告を制作。これが「不道徳的である」との理由で、香港の国際空港や公共交通での掲出を却下されたが、LGBTコミュニティーからの抗議を受けて許可された。この件が示唆するのは、ブランドがいくら顧客や社会の代表として誠意を伝えようとしても、長い時間をかけて人々の中に染み付いた考え方や慣習と対峙することがあるということだ。しかし結局のところ、広告予算を握っている広告主には、変化をもたらす力がある。あとはその広告主が、インクルーシブ(受容的)な社会づくりにどれだけ本気なのかが問われる。

ストリートウェア分野では弱い、インフルエンサーの影響力

ストリートウェアの消費量を調べたPwCとハイプビーストの調査によると、この分野ではソーシャルメディアのインフルエンサーによる影響が比較的少ないことが分かった。着こなしのインスピレーションを与えるために典型的なインフルエンサーに着目しているのは回答者のわずか32%で、著名なセレブは30%とさらに低い。注目が高かったのはミュージシャン(65%)と、業界内のインサイダー(52%)であった。

この調査ではまた、ストリートウェアのアイテムに最もお金を使うのが日本の消費者であることも明らかに。一つの商品に1000米ドル(約11万円)以上を使う日本の消費者は、13%にも上る。

電通PR、米シンクタンクと初のパートナーシップ構築

電通パブリックリレーションズ(電通PR)は、米国の対日経済対策の情報分析や対応・体制強化を目指し、米シンクタンク「全米アジア研究所(NBR)」とのパートナーシップを構築する。NBRは、米国とアジア諸国の政治・経済・安全保障などを専門とする非営利・無党派のシンクタンク。電通PRの代表取締役社長執行役員である畔柳一典氏は、日米関係の重要性を鑑みると「諸外国の政策を早期に把握する必要性が高まっています」と述べる。また、協業するパートナーは他のPRエージェンシーとではなく、中立的な機関が望ましいとも語った。

その他の今週の動き:

遺伝子マーケティングについて議論が沸騰する中、エアビーアンドビー(Airbnb)が遺伝子検査サービスを提供するトゥエンティー・スリー・アンド・ミー(23andMe)と連携し、祖先のルーツに基づいた旅を提案した。

・芸術家アイ・ウェイウェイ(艾未未)が、難民のライフジャケットを用いた同氏の作品をフォルクスワーゲンが不正に使用したとして訴訟を起こした。

・国際建設林業労働組合連盟(本拠地ジュネーブ)は、2020年東京五輪の会場建設に携わる作業員の労働状況が劣悪だと批判。東京五輪の国際的な信頼が、ますます揺らぐ事態に直面している。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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