Campaign staff
2018年6月15日

世界マーケティング短信:WPP、ソレル問題で悪戦苦闘

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

マーク・リード氏
マーク・リード氏

「WPPスキャンダル」、続報

マーティン・ソレル卿、会社資産を売春婦の支払いに充てた疑惑を否定」 −− 今週はこのニュースで幕を開けたが、今度はフィナンシャル・タイムズ紙がその悪評にダメを押す記事を掲載した。ソレル卿はWPP時代、社員、特にパーソナルスタッフに対し日常的ないじめを行っていたというのだ。同氏は口答えのできないスタッフに暴言を繰り返し、「いかに感謝の気持ちを持ち合わせていないか」を同紙は詳細に綴っている。前幹部は「彼のアシスタントの扱い方は、残虐でいかに人間味がないかを表している」とコメントしている。

これに呼応して、WPPのマーク・リードCOO(チーフ・オペレーティング・オフィサー)は全社員に電子メールを送り、職場環境改善のために会社方針と規約を見直すと約束した。ハラスメントに対し沈黙してしまうのは、明らかに日本だけの問題ではないのだ。WPPには、社員がトラブルに遭遇した際に告発できる独立したホットラインが長年設置されていた。

更に13日、WPPの株主たちがソレル卿に対する2000万ポンド(約30億円)の「報奨」に異議を唱えた。同氏の退職をどう扱うかという難題を話し合った年次総会で、4分の1以上の株主は受給の資格付与に反対。辞職につながった不祥事の調査内容を一切明かすことなく、WPPがソレル卿を「円満退社扱い」にしていることにも当然ながら不満の声が上がった。更に、「今後は競合する事業を行わない」という条項を退社の際の契約書に入れなかったため、同氏がWPPと競合する事業を始めたことにも不快感を表明した。

調査に関する情報の非公開を決めたWPPの姿勢は、結果的に悪い噂につながってしまう。この“ストライサンド効果(情報を隠そうとした結果、逆にその情報を広めてしまう現象)”はしばらく続くだろう。過去18カ月の業績の悪化で株価が3分の1下落したWPPには、この事態に対処するゆとりはない。ソレル卿が設立した新会社がすぐに深刻な脅威をもたらすことはないだろうが(何人かの業界人は、新会社を同氏の『狭量な復讐』とみなしている)、WPPは立ち直らなければならない。どれだけ迅速にそれを達成できるかは、新しいCEOのビジョン次第だろう。それは果たしてマーク・リード氏なのか。そうでなくとも、リード氏同様まったく異なる経歴を持つ人物になる可能性が高い。

世界の広告費成長率は3.8%(2019年)と予測

電通の海外本社「電通イージス・ネットワーク」が14日、「世界の広告費成長率予測」を発表した。成長を牽引するのはアジア太平洋地域で、総広告費の41%を占める。同社はまた、世界の総広告費に占めるデジタル広告費のシェアが、今年中にテレビ広告費を初めて上回るとも予測。この見通しは、2019年にはインターネット広告収入がテレビCM収入を追い抜くと予測するPwCの年次調査とも合致している

屋外メディア、さらなる高みへ

JCドゥコー(本拠地フランス)は、交通広告や屋外広告などOOHメディアのプログラマティック・トレーディング・プラットフォーム「VIOOH」を米国・英国で導入すると発表した。OOHメディアに変化をもたらすと、アナリスト達はみている。特に、優れた効果測定機能が魅力となり、かつてOOHへの出稿を敬遠したことのある広告主を引きつけると期待される。

OOHメディアに自動化を適用したのはJCドゥコーが初めてではないが、世界最大の屋外広告会社である同社が導入したことで大規模に展開されるだろう。日本でも導入されるのか、それはいつになるのかは不明だが、シンガポールや香港、オーストラリアでは近々展開されるようだ。

インスタグラムで長尺動画が配信可能に

インスタグラムが長尺の動画に対応したハブを6月20日から公開すると、テッククランチ(TechCrunch)が報じた。ユーザーは縦型のフルスクリーン動画を、60秒という制限なくアップロードできるようになる。このことによってクリエイターたちは、動画でより多くの収益を上げることができるようになり、同社とユーチューブは直接競合する関係に。広告メニューについては、まだ確定していない。

偽ブランドには見向きもしない、中国の洗練された消費者

偽造品や偽ブランドにまつわる詐欺問題は、いまも中国で顕在だ。容易にだまされる人もいるが、多くの消費者は賢くなり、偽物を選ばなくなったようだ。中国の小さな衣料品会社「OXN」が先日、米ストリートウェアブランド「シュプリーム(Supreme)」の社長役として俳優を起用し、両社のタイアップ事業に見せかけたローンチイベントを開催。幸いなことにこの偽社長や偽商品にだまされた人は少なかったようで、恥ずべき行為だという書き込みがSNS上で多く見られた。ストリートウェアを支持する中国の消費者たちは、ブランドについて正しく理解しているようだ。

PRアワード・アジア2018、受賞者発表

Campaignが主催する「PRアワード・アジア」でシナジー ヒル アンド ノウルトン ストラテジーズが、日本における「PRコンサルタンシー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。電通も複数のアワードを受賞した。受賞者一覧はこちらから(英語)。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉、田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

1 日前

DANの商号、「電通インターナショナル」に

電通イージス・ネットワーク(DAN)の商号が「電通インターナショナル」へと変わる。世界での事業が「電通」のブランド名で統一されることになった。

2 日前

「40 Under 40」、2020年のエントリー開始

アジア太平洋地域の若き才能を選出する「40 Under 40」、8年目を迎えた2020年度のエントリーがいよいよ始まりました。

2020年9月25日

世界マーケティング短信:激しさを増す駆け引き

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2020年9月24日

ミレニアル世代と祖父母をつなぐ、「マゴ写レター」

「普段なかなか会えないおじいちゃんやおばあちゃんに、スマホから写真付き往復はがきを送ろう」 −− 日本郵便が、敬老の日に因んだ新しいコミュニケーションサービスを開始した。