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リード氏退任に伴い、WPPが新CEO の選定を開始
WPPのCEOを7年務めたマーク・リード氏が、年末に退任する。同社の取締役会が、後任の選定を正式に開始した。
リード氏は1989年に入社後、キャリアのほとんどをWPPで過ごし、WPPデジタルやワンダーマンを率いた。2018年4月にマーティン・ソレル氏がCEOを突然辞任すると、リード氏が共同COOに就任し、同年9月にCEOとなった。
同氏は声明で「WPPは10万人超の才能豊かでクリエイティブな人材、素晴らしい顧客やパートナー、そして比類のない存在感を世界に発揮する素晴らしい企業です。過去7年間、この会社のCEOを務めることができ大変光栄でした」とコメント。「7年間の在任期間を経て、WPPの継続的な成功の基盤が整い、経営を引き継ぐのに適切な時期だと感じています。人生の新たな章を切り開くことに胸を躍らせています。この30年間、共に働く機会に恵まれ、大きな進歩を共に成し遂げることを可能にしてくれた全ての人々に感謝しています」。
ピュブリシス、マースの17億米ドルのメディアアカウントを獲得
米菓子大手のマース(Mars)が、グローバルメディアアカウントをWPPからピュブリシス(Publicis)に切り替える。
昨年11月に始まったレビューは、米国を含む70市場でのメディア、コマース、ソーシャルメディア、ブランド、PR、インフルエンサーマーケティングが対象で、オムニコム(Omnicom)やIPGなども参加していた。
クリエイティブは今回のレビューの対象外で、引き続きオムニコム傘下のBBDOとDDBが担当する。マース・フード&ニュートリション(Mars Food & Nutrition)のクリエイティブも、WPP傘下のT&Pが継続して担当する。
マース・スナッキング(Mars Snacking)のCGO(最高事業成長責任者)であるグレン・ベンギ氏は「ブランドを構築するにあたって、象徴的な存在であり続けるためには常に前に進み続けなければなりません」と語る。「だからこそ私たちは、ブランド構築のための斬新なビジョンを掲げ、大胆なデザインと価値創造の加速に基づく成長戦略へと見直しています。業界をリードするエージェンシーのエコシステムは、このビジョンを実現するための次のピースなのです」。
コンバージェンス(COMvergence)によると、WPP傘下のエッセンス・メディアコム(Essence Mediacom)がメディアプランニングとバイイングで最大のシェアを占めており、メディア支出は17億米ドルと推定される。
中国の618商戦、期間が年々長くなる傾向
中国の大手ECプラットフォーム「京東商城(JD.com)」は毎年、設立日を記念して6月18日に「618セール」を行い、競合するECサイトもセールやイベントを大々的に実施している。
今年はJD.comのセールが5月30日から開始し、ライバルであるアリババグループの淘宝(タオバオ)や天猫(Tmall)はさらに早い5月13日からキャンペーンを実施。競争が激化する市場において、各プラットフォームが注目を集めようと競い合うことから、618セールは期間が年々長くなっている。
さらに今年は、プラットフォームによるコンテンツとコマースの融合が大きな変化といえる。タオバオやTmallは、小紅書(Rednote)と提携して「紅猫計画(Red Cat Plan)」を立ち上げ、商品リンクを投稿に直接埋め込むことで、商品検索と購入を統合した。JD.comも小紅書や哔哩哔哩(Bilibili)と提携し、新鮮なコンテンツやインタラクティブな体験で若い消費者にアピールする。
アリババのプラットフォームでは、スマートフォン大手など217ブランドが、キャンペーン開始以来それぞれ1億元(約1,388万米ドル)の売上を達成。JD.comでも、5つのブランドが開始から1時間以内に1億元を達成したという。
618商戦は中国のみならず、中国市場への参入を目指すグローバルブランドにとっても、海外展開を目指す中国ブランドにとっても大きな機会だ。越境ECサイトの天猫国際(Tmall Global)では最初のチェックアウトから1時間で、374もの海外ブランドの売上が昨年の2倍に達した。またタオバオの越境ECサイトでは海外送料無料の対象をカザフスタンやモンゴルなど12カ国・地域に拡大している。
(文:田崎亮子)