Tatsuya Mizuno
2020年4月28日

博報堂、Growww Media社の過半株式を取得

博報堂は台湾の独立系大手広告エージェンシーグループ「Growww Media」の株式の過半数を公開買付けで取得、連結子会社化した

Growww Mediaの経営陣
Growww Mediaの経営陣

Growww Mediaは台湾株式市場に初めて上場した大手広告グループ。統合マーケティング、アクティベーション、PR、イベント・展示会、デジタルマーケティングの領域でサービスを提供する5つの事業ブランドを傘下に有する。グループには1970年に設立され、台湾で最も長い歴史を持つ総合広告グループ「United Communications Group」も含まれ、それぞれが得意領域で統合マーケティングコミュニケーションサービスを提供する。社員は合わせて700人強。

博報堂は今年2月、Growww Media株式の公開買付け実施を発表。完全子会社化を目指していた。この株式取得により、「日本企業が多数進出する台湾で博報堂の統合マーケティング対応力はさらに強化され、広告領域に加えて大規模イベント/展覧会の企画・運営、トラディショナル/デジタルメディアの横断的ソリューション、UXを最大化させるデジタルキャンペーンの構築やPR業務など、広範囲にわたるサービスのクオリティを大幅に向上させることが可能になる」(博報堂声明)。

「また、博報堂が日本で培ってきたクリエイティビティを駆使した課題解決力、膨大な生活者データベース、デジタル/データマーケティングのナレッジといったリソースと、Growww Media社の能力と実績が融合されることによって、台湾のクライアント企業のビジネス成長に貢献する大きなシナジーを生み出していく。さらに、当社のグローバルネットワークを活用して、台湾から海外への進出を目指すクライアント企業に対するサポートも視野に入れる」

Growww Media傘下の各事業ブランドと台湾で活動する既存の博報堂グループ各社は「引き続き独立性を保ち」ながら、クライアント企業を支援していくという。

Growww Media取締役社長のヴィンス・チェン氏は、以下のように述べる。「長い歴史と国際的な評価がある博報堂グループの一員になることは、Growww Mediaグループにとっても非常に重要なステップ。博報堂の持つツール、研究データ、人材、市場に関する知識などのグローバルリソースの活用が可能になり、クライアントサービスを強化していくことができる。このパートナーシップが、Growww Mediaグループにとって大きな発展をもたらすことになると確信しています。当グループの新しい章の始まりです」。

Growww Mediaの経営陣
 

Growww Media5つの事業ブランド

United Communications Group
1970年設立。台湾で最も歴史が長い総合広告グループ。傘下にブランディング、クリエイティブ、メディアバイイング、デジタルマーケティング、リサーチ、PRなどの事業を保有し、フルサービスを提供。

KY-Post
1991年設立。消費者・法人向けの各種イベントや展示会などの企画・運営、オフィス、リテール空間のデザインを行う。台湾外の諸外国におけるイベント業務も積極的に行っている。

Pilot Group
1996年設立。IT、ファッション、日常消費財などの幅広い業種において、トラディショナルメディア・デジタル・KOL(Key Opinion Leader)起用など横断的PR設計、コンサルティング、クライシスマネジメント等のサービスを提供。

Interplan Group
1982年設立。2017年に台北で開催された夏季ユニバーシアードのオープニングセレモニー等の大型イベントや企業の大型展示会を企画・運営。国際コンベンションセンターの高雄展覧館(高雄市)の運営管理も請け負う。

Medialand
2002年設立。デジタルマーケティング領域の戦略立案、クリエイティブ、メディアバイイングをワンストップで行う台湾トップクラスのフルサービスデジタルエージェンシー。UI・UXの専門チームや独自のDMP(Data Management Platform)等、最先端のデジタルサービスを提供。


(文:水野龍哉)

 

提供:
Campaign Japan
タグ

関連する記事

併せて読みたい

1 日前

世界マーケティング短信:電通グループ、海外事業が厳しい結果に

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2 日前

中国で人気 カルビーの成長戦略

中国で「ジャガビー」を人気商品に仕立て上げたカルビー。アニメファンに訴求するIPコラボで、さらなる売上増を目指す。中国のCMOを務める宮倉裕幸氏に聞いた。

3 日前

「エクスペリメント」を活用するマーケターが急増

広告の効果測定でも、AIツールを用いたソリューションが普及している。だが広告主は依然、「全体的な投資利益率(ROI)が把握できていない」と最新の報告書は指摘する。

3 日前

WPPメディア:世界有数のコミュニケーション企業が、なぜメッセージングで失敗したのか?

グループエムの名称変更というニュースに、広告業界は沸き立っている。これはWPPの大胆な改革なのか、それとも深刻な問題の兆候なのか? トリニティP3のダレン・ウーリー氏が、このコミュニケーションの失敗と、今回のブランド刷新が広告主や従業員、メディアバイイングの未来にどのような意味を持つのかについて考察する。