David Blecken Atifa Silk
2017年6月08日

電通イージス、新たに世界的メディアネットワークを創設

電通メディアを母体とした新会社「dentsu X」がスタートした。年内中には欧州で事業を開始する予定だ。

電通イージス、新たに世界的メディアネットワークを創設

電通イージス・ネットワーク(DAN)は、電通メディアを進化させた新たなエージェンシー・ネットワーク「dentsu X」の設立を発表した。今後は欧州におけるDANのプレゼンス拡大に寄与していく。
 
DANによれば、dentsu Xはコミュニケーション及びメディアプランニング、コンテンツ制作、テクノロジー、データ、行動分析などを融合し、よりパーソナライズしたマーケティングソリューションをブランドに提供していく。

dentsu Xのグローバル・ブランド・プレジデントには、電通ブランド・エージェンシー のアジア太平洋地域担当CEOでシンガポール駐在の日比野貴樹氏が就任。電通メディアのリブランディングとなる同社はアジア13カ国、カナダ、ロシアに拠点を擁し、年内中に欧州市場への参入を予定、その後は米国進出を目指すとしている。
 
この度、日比野氏がCampaign Asia-Pacificブランドディレクター、アティファ・シルクのインタビューに応じ、新会社の概要を語った。

電通メディアのdentsu Xへのリブランディングは、クライアントにとってどのような意味があるのですか?

dentsu Xは広告露出よりも消費者のブランド体験に重点を置いています。今のデジタル時代、世界は広告から顧客需要主導型の経済へと急速に変化しており、「注目を集める」ことに価値が生まれ、情報が商品となり、消費者の一連の意識や潜在意識が商品を購入するか否かを決定しています。こうした変化の結果、マーケティングには再定義が求められているのです。今のマーケティングには顧客を引きつけ、確保し、影響を与え、そして維持していくことが求められ、それらをシームレスかつ効率的に行う必要があります。つまりどのブランドにとっても、成功のためにはマーケティングの全体的なアプローチが重要なのです。したがってクライアントが求めるのは、総合的でアドレス可能なマーケティングソリューションです。そこにはオンラインとオフライン、クリエイティブとメディアとの境界はありません。シームレスに対するビジョンやブランド体験を具現化し、クライアントが消費者や潜在的な消費者とのインターフェイスを行っていけるようにしなければならないのです。

買収によってdentsu Xの拠点を拡大していく予定ですか?

電通メディアは18年前の1999年、台湾でスタートしました。今回、初めてアジア太平洋地域(APAC)を出て欧州に拠点を広げます。更に中東・アフリカ地域にも進出し、真のグローバルネットワークを築きたいと考えています。そのプロセスは国によって異なるでしょう。買収で拠点拡大をする国もあれば、我が社の小さなブランドを立ち上げる国もあるでしょう。重要なのは、欧州で「Dentsu」の名を持つメディアエージェンシーが初めて立ち上がるということです。

dentsu X はどのような構成になりますか?

中核となるのはプロデューサー、つまり我々が「営業」と呼ぶ人々です。これは一種の顧客担当、英語で言う「クライアントリード(client lead)」ですが、より深い意味合いがあります。彼らはチームをまとめ、ブランドの進化を主導していかねばなりません。更に「エクスペリエンスデザイナー」も重要になるでしょう。消費者にとって最高のブランド体験を企画し、クライアントのソリューションを最適化し、dentsu X内のスタッフと緊密に連動する役割を担っていきます。これらのチームが電通アイソバーやアイプロスペクト、MKTGといった他の電通ブランドとも密に協働していきます。こうした方法で、クライアントと消費者双方にベストのソリューションを届けられると考えています。

電通ブランド・エージェンシーとdentsu Xはどのように協業するのですか?

電通ブランド・エージェンシーは、APAC内で電通メディアよりも長い歴史があります。 1970年代に最初の事務所を台湾に開設したので、かれこれ40年になります。これまで自動車や消費財といった分野で日本のクライアントと密接に協働してきました。イージス買収後は地域の優れたクリエイティブエージェンシーや人材を獲得でき、これらの小さな「点」がテッド・リム(電通イージス・ネットワーク/アジア、チーフ・クリエーティブ・オフィサー)指揮の下で結集し、力強く太い「流れ」になっています。彼らの使命は、モバイルとプログラマティックの時代により質の高いデジタル・クリエイティブソリューションを提供することです。差別化のカギは、コミュニケーションデザインを際立たせるクリエイティビティーでしょう。データやテクノロジー、クリエイティビティーを融合し、クライアントにとってベストのソリューションを提供しなければなりません。それこそが、私が電通メディアやdentsu X、電通ブランド・エージェンシーの責任者たる所以です。他の部門との連携を怠っては、総合的でシームレスなソリューションを我々に望むクライアントの期待に答えられません。組織を再編し、複数のエージェンシー機能を1つにまとめようとしている広告代理店グループが数多くありますが、我々が注力するのはdentsu Xと電通ブランド・エージェンシーの卓越性を併せ持った、総合的なワンストップサービスの提供です。

(このインタビューは英語で行われた。 文:デビッド・ブレッケン、アティファ・シルク 編集:水野龍哉)

インタビューの第2部では、日比野氏の個人的な経験と、電通のグローバルビジネスにおけるビジョンに焦点を当てる

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