Victoria Perera
2020年11月27日

メールマーケティングを成功に導く8つのTips

メールは、最も強力なコミュニケーション手段の一つであることに変わりはない。顧客にメール送信を許可してもらえるのはきわめて得難い特権だ。ブランド構築やデジタルマーケティングを手がけるArchetypeのシニアデジタルコンサルタントが、その特権を有効活用するためのTipsを8つ紹介する。大切なのは、信頼を裏切らないことだ。

メールマーケティングを成功に導く8つのTips

デジタルマーケティング界の注目を一身に浴びているのは、ソーシャルメディアとインスタントメッセージかもしれない。とはいえ、メールマーケティングに揺るぎない信頼が寄せられているのも事実だ。一度に大量の情報を配信できるフォーマットで何千人もの受信箱にターゲットを絞って正確にリーチできるメールは、数えきれないほどの企業キャンペーンの基盤となっている。その評価には浮き沈みはあるが、メールがオンラインマーケティングにおいて、王者の座に君臨し続けていることを簡単に否定できるブランドはないだろう。

しかし、これだけの時間をかけて良い方法を学んできたにもかかわらず、いまだに間違いは繰り返されている。宣伝メールを受け取って腹を立てる人はよくいるし、奇妙なメッセージであれ、誤字脱字であれ、あるブランドから執拗に送りつけられてくる広告であれ、メールのマナー違反や不作法は決して珍しくない。そして、受信者が不快に感じたら最後、マウスはすぐに「メール配信停止」ボタンへと直行する。

そこで、次のメールキャンペーン配信で「送信」をクリックする前に確認すべき8つのアドバイスを紹介しよう。これらを守れば、あなたのメールは目を引き、ごみ箱行きになることはないはずだ。

1.徹底的にプランを練る

メールキャンペーンを成功させるうえでの最初のステップはプランニングだ。「シュートを打たなければ1点も得点できない」のかもしれないが、やみくもに打っても、外す確率は結局、打たないこととあまり変わらないだろう。

メールを書き始める前に、次の4つの問いについて考えてみよう。

まずは、「このメールを送る目的や目標は何なのか?」と自問自答してほしい。達成すべき現実的な成果を明確に定義しよう。

次は、「伝えたいメッセージは何か?」という問いだ。ブランドのアイデンティティと伝達情報にかかわる問題なので、肝心なメッセージから逸脱しないように注意することだ。

3つめは「誰にメッセージを伝えるのか?」。例えば、ビジネスの場面では、カジュアル過ぎる口調は人を見下しているように思われてしまうかもしれない。一方で、堅苦しすぎると、若い世代のオーディエンスには敬遠される可能性がある。

最後は、「留意すべき日にちや時期はないか?」。ターゲットにすべき大事な祝祭日などを頭に入れておき、それをうまく利用しよう。それと同時に、予定しているキャンペーンメールの内容が、送信日やその前後の時期と相反し、弊害が生じる恐れがないか、よく考えてほしい。

2.ブランドの一貫性を保つ

ブランドは、認識されやすいか、覚えられやすいか、目立ちやすいか、という点に大きく左右される。したがって、毎回のメール送信がブランドと調和していること、ブランドの考えやビジュアル、ユーザー体験と連続性を維持していることが肝心だ。ブランドとしてイメージ一新を図っているのなら話は別だが、そうでなければ、それらのコンテンツ要素とメール自体に統一感を持たせよう。

3.気持ちを込めて書く

忘れてならないのは、受信者にメールを喜んでもらいたい、楽しんで読んでもらいたいという気持ちだ。それを念頭に、話しかけるように書こう。メールは、郵便受けに投げ込まれるオシャレなパンフレットではない。受信者に宛てたメッセージだ。生身の人間に語りかけるような気持ちで書こう。

とはいえ、必要以上にややこしくせず、簡潔さを心がけよう。書いているのはメールであって、トルストイの『戦争と平和』さながらの超大作ではない。受信者がつい反応してしまうような巧妙でシンプルな行動喚起を盛り込もう。それでいながら、創造性を発揮してブランドならではのアプローチを反映させよう。ライフスタイルコンテンツのように、イメージ喚起を狙ったり、散文調で描写したりするのもいいかもしれない。いずれにせよ、最終目標を見失わないようにしよう。

よく考えられた(すなわち、クリックベイトのように欺瞞的ではない)件名で受信者を読む気にさせることもカギとなる。件名こそ、最初にメールを開くかどうかを決定づけるものだからだ。

4.オーディンスを正確に把握する

あなたのオーディエンス全員が単一の属性グループに属するわけではない。あるメールがあるグループの顧客にとっては関連性が高かったとしても、別のグループの顧客にとってはほとんど関連性がないということもありうる。しかるべき方法で、送信するオーディエンスをセグメント化しよう。

また、セグメント化した各集団がどのような語り口を好んでいるかを考えよう。ビジネス顧客と小売店の顧客とでは全く異なるので、その違いを語り口に反映する必要がある。加えて、どのような行動がセグメントの違いを生むか理解するように努めよう。例えば、バックパッカーの集団と、高級リゾートに滞在しようと考えている人たちとはあまり共通点がないかもしれない。顧客の要望に関連した内容にしよう。

5.タイミングがすべて

誰もが多忙な毎日を送っている。受信者が仕事で頭を抱えているときにメールが届くと、通知をスワイプして忘れてしまう可能性が高い。

ならば、受信者がさほど忙しくない「オフ」の時間帯に送信するのがいい。それなら、受信者には余裕があるので、メールが届いたときに開封し、中身に目を通す可能性が高くなる。手始めに送信するのに適した時間帯は、午前6時、午前10時、午後2時、午後8時である。ただし、競合他社も同じルールに則って送信している可能性があるので、複数の異なる時間帯で送信し、最適なタイミングを探ってみよう。

もちろん、例外はある。オーディエンスの事情に配慮するのはもちろん、どのようなメッセージを送って、どのような行動を喚起したいのかという点も考慮すべきだ。例えば、顧客の日常業務に関連したテーマでウェビナーをライブ配信することをメールで知らせたい場合には、業務時間中に送信することを検討してみよう。

6.すべてを2回以上確認する

メールに関しては、セカンドチャンスはまずない。送信したらそれまでだ。そして、ミスはいつか起きる。

人間の可謬性に抗い、あらゆるミスを排除したいのなら、メール送信前に確認すべき全項目を一覧にしたチェックリストを作成し、送信ボタンを押す前に徹底的に見直すのがいちばんだ。例外を設けず、メール送信のたびに必ず確認すること。

チェックリストで確認すべき事項としては、画像は正常に読み込まれるか、誤字脱字はないか、ハイパーリンクは開くか、固有名詞のスペルは正確か、リンクボタンは機能するか、テンプレートは動作するか、タグ付けはきちんとされているか、などが考えられる。

ケアレスミスを本当に防止したいなら、送信前に毎回必ず、複数のスタッフで内容を確認しよう。その場合も、単にざっと目を通すのではなく、チェックリストを使って確認すべきだ。

 7.メールを乱発しない

何事も量より質だ。顧客はメール配信を許可することで、つながりを保つ機会を与えてくれたのだ。メールを次々と送りつけて信頼を裏切れば、その特権はあっという間に失われるだろう。例えば、配信停止手続きを取られるかもしれない。ドメインがブロックされたり、迷惑メールとして報告されたりすることもありうる。それどころか、受信者を本当に不快にさせてしまったら、スパムメールを送りつけてくる会社としてソーシャルメディアで社名をさらされたり、非難されたりする事態も覚悟したほうがいい。そうなったら一大事だ。

不快感を与えてはいけない。節度をわきまえよう。

8.効果を測定する

ここまで紹介したアドバイスを実践しても、メール送信が効果をあげているかどうかを適切にチェックしなければ何の意味もない。重要性の高い指標を選択して効果を測定しよう。具体的には、プランニング段階で設定した目標に対して、メールキャンペーンのパフォーマンスを判定できる指標だ。

メール送信の有意性を考察し、理解するための指標には、開封率、クリック率、反応率などが考えられる。


ヴィクトリア・ペレラ(Victoria Perera)は、Archetypeのシニアデジタルコンサルタント。

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

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