David Blecken
2019年2月28日

Alt.vfx、日本にオフィスを開所

ポストプロダクションやVFXを担う豪州の制作会社Alt.vfx。メジャーなイベントが続く日本が、アジアにおけるクリエイティブのハブになると見込む。

高田健氏
高田健氏

ブリスベーンを拠点とするAlt.vfxが、昨年設立された日本の制作会社コネクションと提携、東京にオフィスを構えた。

ピュブリシス・ワンでクリエイティブの管理を担っていた福田真衣氏が常勤する。オフィスが置かれるのはコネクションの社内。

「東京にスタッフを常駐させることで、日本のクライアントとのプロジェクトをより円滑に進めることができる」とAlt.vfxの共同設立者である高田健氏。「日本からの仕事の依頼は増えていたのですが、これまでは豪州で対応せざるを得ませんでした」。

同社のクライアントはトヨタ自動車やダイワハウスなど。また、SIXやタグボートといったクリエイティブブティックから電通、博報堂といった大手まで、広告界の幅広い企業と協働する。

「適材を見つけるのに長く時間がかかった。有能でクリエイティブを理解し、かつ2カ国語を操る人材を探すのは容易ではありません」と同氏。2020年東京五輪・パラリンピック大会や2025年の大阪万博を控え、「東京はこの5年から10年のうちにアジア太平洋地域におけるクリエイティブのハブになる」。今後は日本同様、アジアの他地域でも事業を拡大していくという。

「今の東京には勢いを感じます。単に訪日客の増加だけではなく、新たなビジネスやクリエイティブな人材、そして東京発のクールなものが着実に増えつつある」。

東京でのオフィス開所に先立ち、テクノロジーとデザインを担うエージェンシー「T&DA」を立ち上げた。同社も日本での事業に将来的に関わっていくという。Alt.vfxはAR(拡張現実)やVR(バーチャルリアリティー)など、多様な仕事を担う。「デジタル変革は制作分野の可能性を大きく広げました」。

日本では普段請け負うCF関連のプロジェクトだけではなく、「社会に貢献できるような仕事も担っていきたい」。「お酒や食べ物、クルマなどを売る仕事だけに限定したくないのです。大学や公共機関などとも直接連携し、人のためになる仕事、価値を生み出すプロジェクトに関わっていきたい」。

その実例が、交通安全の向上を目指し豪州の交通事故委員会(TAC)と協働して制作したインスタレーションだ。「制作会社がこうした公共機関と仕事をするようになったのはつい最近のことです」。

「メインとなる仕事をしっかりこなしていくのは当然ですが、エージェンシーや制作会社という傘の中だけにいると逸してしまうチャンスがあります。フェイスブックやグーグル、政府機関や数々のブランドと直接協働すれば、アイデアの具現化が可能になる。レイヤーが少なければ、仕事の迅速化にもつながります」

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

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