
世界広告連盟(WFA)が発表した最新の報告書によると、世界のメディアの価格は昨年から来年にかけ、約4%前後上昇するという。
この数字は穏やかながら、メディアが持続的なインフレという「新たな常態」に落ち着いたことを示す。


動画は種類によって差異
放送局のビデオ・オン・デマンド(BVOD)は全てのチャネルの中で最も高い上昇率(年間約+5%)を示した。コネクテッドTV(CTV)はほぼ横ばい(1%)。WFAによれば、供給は依然として需要を上回っており、最も成熟した米国市場でも価格上昇は緩やかという。

APACのBVODは昨年比で4.2%、来年と今年を比較すると5.1%の上昇が見込まれる。インドではBVODとCTVの上昇率がそれぞれ10.3%、12.6%と特に高い。

映画やデジタルディスプレイ、デジタルOOH、印刷物などのチャネルは市場ダイナミクスの差異を反映し、概ね低い上昇率(2%~4%)だった。
リニアTVの上昇率は約5%で推移。多くの国で視聴者数が着実に減少しているのが要因だ。
世界の上昇率
APACに比べ、東欧(11%)とラテンアメリカ(6.7%)の上昇率は高い。西側諸国の成熟市場は3~4%と抑制傾向。例えば、米国では2025年に約3.8%、2026年には約4.0%と小幅な上昇が見込まれる。英国では上昇率が若干低いものの、物価上昇が警戒要素になっている。
WFAメディアサービス部門のグローバル責任者、トム・アシュビー氏は以下のように述べる。「メディア価格のインフレが定着し、広告主は広告予算から最大の効果を引き出す手法を絶えず考えねばならない。市場と地域、チャネル別の価格動向を理解することで、企業はより正確な情報に基づいてメディアに支出でき、ターゲット層への効率的なリーチを実現できる。それがキャンペーン効果の向上につながるのです」