Campaign Staff
2018年10月16日

広告界の日常をありのままに、そして可笑しく描くCM

豪州のエージェンシーによるCMが、広告制作のキャリアにおける「トラウマ」を明らかにした。

メルボルンに拠点を置くカミンズ&パートナーズ(Cummins & Partners)が、広告界で働くことの厳しさを描いた動画を公開した。交通事故でも生き延びることができる人物を描いて数々の賞を獲得した「Meet Graham」の、秀逸なパロディーとなっている。

登場するのは、体重過多な白人男性「グラント」。広告界で生き延びることができる唯一の人物だ。(元ネタとなったグラハムは、交通事故に耐えられるよう、グロテスクともいえる特長的な身体をしていた)

グラントの耳は「矛盾するさまざまな意見をフィルタリング」する機能があり、批判をそらすため皮膚は「異常なまでに厚い」。他にも、尋常でない強さを誇る肝臓や、その「代償として」小さくなった男性器、クライアントとのミーティングのために取り外し可能となった脊椎などを備えていると、ナレーションが淡々と伝える。

動画の最後は、架空のメディア取材事例や、取り立てて凄いわけでもない数々の成果を列挙。これも、事例紹介動画によく見られるパターンである。

この動画は、メルボルン・アドバタイジング・アンド・デザイン・クラブによる表彰イベントのプロモーションのため制作された。カミンズ&パートナーズが公開したプレスリリースには「オリジナルの企画に代わるものはないことを、この動画は明確に証明している――ただし、パロディーする場合を除いては」と記されている。

笑える動画ではあるが、他人事ではすまない人もいるのでは……?

(編集:田崎亮子)

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