Mark Westaby
2020年7月09日

ソレル卿に前言撤回させたいならば、PR業界は進化せねばならない

マーティン・ソレル卿が先日、PR業界のことを「プレスリリース」「酒浸りの接待ランチ」「アナログ」と表現し、急成長中のS4キャピタルには合わないと切り捨てた。これに猛然と反論するPR業界の言い分は、もっともだ。

影響力のあるソレル氏のような人物から、PRは時代遅れだと切り捨てられるのは悲劇的なこと――マーク・ウェスタビー氏はこのように記す。
影響力のあるソレル氏のような人物から、PRは時代遅れだと切り捨てられるのは悲劇的なこと――マーク・ウェスタビー氏はこのように記す。

ソレル氏のコメントはまるで、自宅(今回のケースではPRウィーク)に訪ねてきた人に顔面を殴られたようなものだった。

分野間の隔たりがこれほど希薄になった時代に、彼のコメントは荒唐無稽なものに聞こえる。

しかし、ソレル氏を好むと好まざるとにかかわらず、彼のような影響力のある人物から、コミュニケーションミックスにおいてPRは時代遅れだと切り捨てられるなんて悲劇的なことだ。

PRは広告をパーパス(ブランドの存在意義)を訴求するキャンペーンへと昇華させる。PR主導のニュース記事はソーシャルメディアで長期間シェアされる。

PRは、コミュニケーションにおける大切な要であり、レピュテーションやイシューを管理するものである。そんなことは釈迦に説法だろう。

だがこのような神聖な場では、ソレル氏の容赦ない非難に正面切って反論するよりも、熟考したい。彼の言葉の背後にあるモチベーションを、我々の業界に活かすことはできないか?と。

何といってもソレル氏は、抜け目のないビジネスマンだ。彼のコミュニケーションの妥当性に疑問を抱くことがあったとしても、我々はそこに一片の真実が含まれているのではないかと自問する必要はあるだろう。

ソレル氏を動かすのは、お金だ。そして残念なことにPRは、ビジネスの成果にいかに貢献したか、特に統合キャンペーンでどれだけ売上につながったのかを示すのに、今もなお苦戦している。

どのようにすればPRは、効果的なクライシスコミュニケーションの価値や、パーパス訴求がブランド価値に与える影響、信頼性のあるメディアコンテンツが検索を促し購買につながるというカスタマージャーニーについて、経営層に理解してもらえるのだろうか?

グーグルの検索ランキングでは過去数年間にわたり、質の高いエディトリアルコンテンツが支持されているという傾向が表れている。消費者がそれらのコンテンツを信頼し、依存していることを、グーグルは理解している。

SEO(検索エンジン最適化)の力については、あまり気にしないこと。質が高く、説得力のある編集コンテンツの多くは、PRを源としているのだから。

PRは単にメディアリレーションのことだと考え、メディアに掲載されたコンテンツが売上にどれだけ直結したのかを知りたがる人も、中にはいるだろう。

このような人間は、PRスキルのニュアンスを理解する忍耐力を持っておらず、金額換算でいくらになるのかと要求するばかりだ。まるで、映画『ザ・エージェント』の中でロッド・ティドウェル(落ち目のフットボール選手)がジェリー・マグワイア(スポーツエージェント)に「金を見せろ」と繰り返し要求していたかのように。

だが、彼らの言うことにも一理ある。PRはビジネスにおける価値を明らかにする必要がある。予算が厳しい状況下では、なおさらだ。

ソレル氏がPR業界内に論争を巻き起こしたこと、そして話題を変える前に自社への注目を集めたことは間違いない。

ここ1週間だけでもソレル氏は、社内コミュニケーションへの非難や、フェイスブックが「倫理的でないプラットフォーム」かどうかという議論、さらには米中貿易摩擦に至るまで、あらゆることに意見を述べてきた。

このような話題についてコメントするのに、ソレル氏のような立場の人間は適切ではある。だがPR業界についての認識が時代遅れであったことを考慮すると、もっと筋の通ったソートリーダーシップ・プログラムの構築のため、PRのサポートを受けることを謹んでご提案したい。

同時に、ソレル氏にPRのサポートが必要であることを証明するには、PR業界がやるべきことはまだたくさんある。

ソレル氏に前言撤回させたいならば、私たちは進化しなくてはならないのだ。

マーク・ウェスタビー氏は、メトリコム(Metricomm)のディレクター。

(文:マーク・ウェスタビー、翻訳・編集:田崎亮子)

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PR Week

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