Diana Bradley
2023年8月03日

マイクロソフト、新たなコミュニケーション戦略

マイクロソフトが社内改革を進めている。APAC(アジア太平洋地域)のコミュニケーション担当責任者には、ツイッターの前APAC責任者ローレン・マイヤーズ・カヴァナー氏を起用した。

写真:Getty Images
写真:Getty Images

マイクロソフトがコミュニケーション分野で2つの注目すべき改革を行った。1つはAI(人工知能)対応、もう1つはグローバルコミュニケーション戦略のアプローチだ。

7月中旬、同社はコミュニケーション部門のサポートに特化した独立チームを設立。「AI時代に守るべき規律を再検討するため」(チーフコミュニケーションオフィサー、フランク・ショー氏)という。

コミュニケーション戦略担当VP(バイスプレジデント)のスティーブ・クレイトン氏が牽引するこのチームは10名のスタッフから成り、ショー氏の直属となる。クレイトン氏は以前、パブリックアフェアーズ担当VPを務めていた。

同チームは最先端のAIツールを活用、「コミュニケーション機能にAIテクノロジーを幅広く導入していく」(ショー氏)。

クレイトン氏は、「弊社のAIテクノロジーを広範に駆使し、効果測定や社内外向けレポート、メディアとの関係構築などでクリエイティビティーと生産性、効率性を高めていく」とコメント。

同氏はマイクロソフトのAI戦略も牽引し、AI事業に関するスポークスパーソンも兼務する。世界各地のコミュニケーション部門はAIに関するガイダンスとサポートを必要としており、インサイトの共有も責務だ。

「新たなテクノロジーは各業界に大きな変革をもたらした。弊社のコミュニケーション機能を強化することで、これら新しいツールの最大活用を促していきたい」(ショー氏)

巨大テック企業が様々なAI戦略を打ち出していた今春、ショー氏はマイクロソフトのコミュニケーションガイダンスを発表している。

同社はグローバルアプローチも刷新する。グローバルコミュニケーション担当ゼネラルマネージャーにダグ・ドーソン氏を起用、同じくショー氏の直属となる。

ドーソン氏は以前も同職にあったが、「これまでのアプローチは各地域の自主性が重んじられてきた。今後はより中央集権型になる」とショー氏。ドーソン氏はマイクロソフトの業績・動向に関し、各市場での説明責任も果たしていく。

これまでマイクロソフトは各市場ごとのアプローチを重んじ、ローカルマネージャーのポストを置いていた。このビジネスモデルは各国の売上増やニーズへの対応に効果を発揮した。

今回の人事で、グローバルコミュニケーション担当シニアディレクターの3名が各地域のコミュニケーション責任者となる。ベンジャミン・ランプ氏はEMEA(欧州・中東・アフリカ)、ローレン・マイヤーズ・カヴァナー氏はアジア、リサ・ポリーニ氏は北中南米を統括する。

「グローバルコミュニケーションを単一のチームで管轄することで、ブランドとしてより高いレベルのニーズに応えられ、事業性も高まる。世界戦略の『世界』という言葉を、『世界レベル』という意味で使えるようになるのです」(ドーソン氏)

(文:ダイアナ・ブラッドリー 翻訳・編集:水野龍哉)

提供:
PR Week

関連する記事

併せて読みたい

1 日前

世界マーケティング短信:Cookie廃止の延期、テスラの人員削減

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2 日前

大阪・関西万博 日本との関係拡大・強化の好機に

大阪・関西万博の開幕まで1年弱。日本国内では依然、開催の是非について賛否両論が喧しい。それでも「参加は国や企業にとって大きな好機」 −− エデルマン・ジャパン社長がその理由を綴る。

3 日前

エージェンシー・レポートカード2023:カラ

改善の兆しはみられたものの、親会社の組織再編の影響によって、2023年は難しい舵取りを迫られたカラ(Carat)。不安定な状況に直面しつつも、成長を維持した。

4 日前

私たちは皆、持続可能性を前進させる責任を負っている

持続可能性における広告の重要性について記した書籍の共著者マット・ボーン氏とセバスチャン・マンデン氏は2024年のアースデイに先立ち、立ち止まっている場合ではないと警告する。