David Blecken
2018年4月03日

マレンロウ、新たなデータ部局を立ち上げ

データサイエンスを担うチームは、東京を拠点に顧客のデジタルトランスフォーメーションをサポートしていく。

ジョナサン・ハート、クリス・ロジャーズの両氏。
ジョナサン・ハート、クリス・ロジャーズの両氏。

マレンロウ・グループは、アジア太平洋地域の顧客に向けてデータサイエンスを提供する部局を東京オフィスに開設した。この「COE(Center of excellence = 中核的研究拠点)」はデータサービスを統合、ROI(投資利益率)測定にとどまらない包括的分析や、デジタルトランスフォーメーションのサポートを提供していく。

チームを率いるジョナサン・ハート氏の前任は、米広告代理店「GSD&M」の意志決定科学(decision sciences)担当バイスプレジデント。同社はウォールマートやサウスウエスト航空のブランディングで評価が高い。それ以前はアクセンチュア・アナリティクスに10年間勤務した。ハート氏をサポートするのはボーイング社でデータサイエンティストを務めていたクリス・ロジャーズ氏。更に2名の専属スタッフがいる。

このデータ部局はシドニーと中国・成都にあるCX(顧客エクスペリエンス)開発センターとも協働。個別のプロジェクトにも対応するが、マレンロウが地域で進める事業の一端を担っていくことが使命だ。

「代理店が提供するデータ分析はサイロ化し過ぎています。個々のキャンペーンの最適化に腐心するあまり、全体像が見渡せていない」とハート氏。そのせいで、「顧客の理解や顧客に適したブランド体験の設計ができていません」。

「広告界のアナリティクスソリューションは、根本的に他の業界のそれとは異なるのです。デジタルアナリティクスの影響は強く受けていますが、ダイレクトレスポンスマーケティングに根差している。ニューラルネットワーク(神経回路網)や人工知能(AI)の構成要素を基礎にしているのではなく、より算術的なものです」

マレンロウ・グループ・ジャパンのジェームス・ホローCEOは、「代理店は自らの分析能力を過大評価しています。通常作成するレポートのほとんどは自動化が可能」という。

「人力をデータ分析に必要以上に用いる必要はありません。その多くはコンピューターが処理できるのです。ですから、人間の頭脳はより高度な分野に活用すればいい。つまり、クリエイティブの部分です」

「クリエティビティーの定義は大きく進化した」というハート氏。データが時に不完全だったり、ある種の推測が必要だったりするため、「データサイエンスにおけるクリエティビティーの役割が今は認識されていない」。一方でホロー氏は、広告界以外のデータサイエンティストの見解が「代理店にとって有益」ともいう。ロジャーズ氏をボーイングから招聘したのも、「彼のスキルが1つの業界だけで活用されているのはもったいない」と考えたからだ。

「スキルの移動性は、広告界がもっと認識すべきトレンドです。『他業界の人々が広告界の文化やコンセプトを理解するのは難しい』と代理店は考えがちですが、彼らを巻き込み、様々な質問を引き出し、我々が使う基本的言語で答えることは有意義な経験でした。我々の文化に健全な効果をもたらしてくれます」

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:岡田藤郎 編集:水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

5 時間前

日本の広告詐欺、依然として世界最悪レベル:IAS調査

日本のビューアビリティは世界でも最低水準で、アドフラウド(広告詐欺、不正広告)率も最も高い水準 −−インテグラル・アド・サイエンス(IAS)社の最新調査で、日本のウェブ環境が依然として改善されていないことがわかった。

1 日前

スパイクスアジア2022、エントリー始まる

35回目を迎える「アジアのカンヌ」こと、スパイクスアジア。来年は「クリエイティブデータ」と「ソーシャル・アンド・インフルエンサー」の2部門を新設。タングラムスアワードはスパイクスアジアに統合され、「ストラテジー・アンド・エフェクティブネス(戦略と有効性)」として生まれ変わる。

2021年10月15日

最先端D2Cブランドから学ぶべきこと

成功したD2C(Direct-to-Consumer)ブランドは、直販事業者だけにとどまらず、しばしば一般の消費者ブランドをもインスパイアするような、最先端のマーケティングを実践している。

2021年10月15日

TikTokワールドへようこそ

私たちは10年以上前から、ソーシャルメディアが大きな影響力を持つ世界で暮らしている。だが、マーケターのゲームを一変させるTikTokのようなプラットフォームが現れることはめったにない。