Ryoko Tasaki
2022年2月18日

世界マーケティング短信:ユーザーとブランドを守るアドテクノロジー

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信:ユーザーとブランドを守るアドテクノロジー

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。
 

プライバシー保護でモジラとメタが協働

モジラ(Mozilla)とメタ(Meta)はポストクッキー時代に向けて、プライバシーに配慮したコンバージョン測定ソリューションで協働している。ユーザーとのさまざまな接点がキャンペーンの成功にどの程度貢献したかを明らかにするアトリビューションは「広告においてきわめて重要な」効果測定手法だが、現在のアトリビューションはプライバシー保護の観点に立つと「酷い状況にある」と、モジラのエンジニアであるマーティン・トムソン氏はブログでコメントした。

同社の最高セキュリティ責任者マーシャル・アーウィン氏が昨年8月、フェイスブックなど主要なプラットフォームは「誤情報や過激思想の聖域であり続け、人々や選挙、社会に大混乱を引き起こす」と痛烈に批判していたことからも、今回のパートナーシップは注目を集めた。

両社が数カ月をかけて開発したIPA(Interoperable Private Attribution)は、データを暗号化したまま計算する技術「MPC(マルチパーティ計算)」を使い、秘匿性を担保する。Chrome(グーグル)、Safari(アップル)、FireFox(モジラ)がブラウザのサードパーティークッキーを廃止し、アップルがATT(アプリのトラッキングの透明性)を導入するなど、プライバシー保護の取り組みは強化が進む。

 

広告主に公平な競争環境を

ザ・トレード・デスク(The Trade Desk)が、広告主を優良なパブリッシャーと直接つなぐ「OpenPath」を立ち上げる。提携するパブリッシャーは、ロイター、ワシントン・ポスト、コンデナスト、ガネット USAトゥデイ・ネットワークなど。またGoogle Open Biddingでの広告購入を4月15日以降は停止することも併せて発表した(Google Ad Exchangeでの購入は継続)。同社プラットフォームで2021年に配信された広告は62億米ドル(前年比47%増)に上り、今回の動きはアドテク業界に波及影響をもたらしそうだ。

OpenPathが目指すのは、ウォールド・ガーデン(プラットフォームの閉鎖性)がもたらす不透明性など、プログラマティック取引の非効率的な部分を改善していくことだ。「まずは世界屈指のジャーナリズムメディアと提携しながら、選りすぐりのデジタル広告枠への透明かつ公平なアクセスを確保し、広告主にとっての公平な競争環境を作り上げていきます」と共同創業者兼CEOのジェフ・グリーン氏はコメントする。

 

パンデミックによる変化は今後も継続

ヴァイス・メディア(Vice Media)がアジア太平洋地域のミレニアル世代ならびにZ世代を対象に実施した調査によると、93%がパンデミックがもたらしたライフスタイルの変化を今後も継続していく考えだという。特に長期的な視点で最も変わったのは働き方(59%)で、人との交流(51%)、健康管理(50%)がそれに続く。

メディア消費に関する設問で、回答者の約3分の2に選ばれたのは「事実や科学に基づくコンテンツ」「笑って気晴らしになるエンターテインメント」「インスピレーションや希望を与えたり、世界に貢献することに役立つメディア」であった。その他、詳しい内容はこちら(英語)

 

ADKグループ、ヤングスパイクスのデジタル部門でゴールド受賞

2022年度ヤングスパイクスコンペティションがオンラインで開催され、19の国・地域から62チームが参加した。日本から参加した中村心氏(FACT)と有田絢音氏(ADKクリエイティブ・ワン)のチームがデジタル部門にてゴールドを受賞している。詳しくはこちら(英語)

中村心氏(左)と有田絢音氏

 

アディダス、女性25名の胸の写真が物議

アディダスが新しいスポーツブラのキャンペーンで女性25名の胸の写真をソーシャルメディアに載せ、物議を醸している。「あらゆる形やサイズの女性の胸は、サポートと快適さに値する」、だから誰もが自分にフィットしたものを見つけられるよう、バリエーション豊かなスポーツブラを用意したのだという。

あらゆる外見や体型を肯定的に捉える「ボディ・ポジティビティー」を訴求したものだが、一部のユーザーからは「子どもたちもツイッターを見ているのに」「実際に胸を支えているブラを載せては?」といった声も。(元のツイートはこちら

アディダスは「胸のある人にとって、スポーツブラは最も重要なトレーニングウェア」との声明を発表した。女性の9割が適正サイズを着用していないといい、「43種類の新しいスタイル、72種類のサイズでポートフォリオ全体を再構築し、これまで以上に多くの体やワークアウトに対応しています」。

 

話題となったスーパーボウルCM

毎年豪華なCMが注目を集めるスーパーボウル(アメリカンフットボールの優勝決定戦)が先日開催された。話題となったCMの一つ、アマゾンの音声アシスタント「アレクサ」のCMは、再生回数が6,900万回(2月17日時点)を超えている。

人の心を読んでいるかのように先回りするアレクサは、スカーレット・ヨハンソン(女優)とコリン・ジョスト(俳優・コメディアン)夫妻の本音に忠実だ。寝起きのスカーレットが夫に話しかけると、アレクサは強力なマウスウォッシュを発注する。かっこいい俳優とラブシーンを演じる心境を尋ねられスカーレットが「最悪よ」と答えると、アレクサはフリートウッド・マックの1987年のヒット曲『リトル・ライズ(小さな嘘)』を再生する。さらには友人たちに、コリンが牡蠣を車の中に5時間放置していたことも暴露する……。

その他の作品についてはこちら(英語)

 

【お知らせ】

Campaign Asia-PacificPR Week Asiaが開催する「PRアワード・アジア2022」がエントリー受付を開始しました。早期エントリー締切は3月7日、通常エントリー締切は4月11日です。詳細はこちらをご覧ください。

 

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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