Ryoko Tasaki
2023年5月12日

世界マーケティング短信:戴冠式で注目を集めたキャンペーン

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信:戴冠式で注目を集めたキャンペーン

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

戴冠式を記念した、企業や団体のキャンペーン

6日に行われた英国王チャールズ3世の戴冠式に合わせ、さまざまなブランドがキャンペーンを展開した。例えばウィンザー城の目の前にあるマクドナルドの店舗では、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団が戴冠式バージョンのジングルのサプライズ演奏を行った。同社は2022年にも、プラチナジュビリーを記念したジングルを発表している。

一方でバーガーキングはレスタースクエア(ロンドン)の店舗で、名前から「バーガー」を除いた看板を設置。ブレイク(休憩)をとろうというフレーズが有名なキットカットは、戴冠式の日が祝日となったことに感謝するビジュアルを展開した。

さまざまなジャンルの記念グッズが存在するが、中でも水まわりの商品を扱うヴィクトリアン・プラミング(Victorian Plumbing)の便座は目を引く。一方、マザー(Mother)傘下のクリエイティブエージェンシー「ザ・オアー(The Or)」は、貼れば何でも戴冠式関連グッズにできるというステッカーを発表した。

啓発や教育に活用する事例もみられた。アルツハイマー・ソサエティ(Alzheimer’s Society)は、戴冠式のことを孫世代に話すことができない英国人は3人に1人に上ると示し、支援を求める。

また、若者を対象としたクリエイティブの教育を手掛けるアイデアズ・ファウンデーション(Ideas Foundation)は、ポスターデザインのコンテストを開催し、優秀作品をウェブサイトで公開している。その他、さまざまなブランドの取り組みについてはこちら(英語)から。

バドライト、トランスジェンダー起用が不買運動に発展

バドライト(Bud Light)が、トランスジェンダー女性インフルエンサーとコラボレートしたことで騒動が巻き起こっている。ディラン・マルバニー氏が自身の顔がデザインされたビール缶(非売品)を贈られたことを4月初旬にインスタグラムで公開し、同社のコンテスト企画についても紹介。これに保守派が猛反発し、不買運動にまで発展。バドライトの米国での売上は急落した。

翌週になって親会社のアンハイザー・ブッシュは、バドライトの取り組みを「さまざまなデモグラフィックのオーディエンスと真につながるための方法の一つが、何百人ものインフルエンサーとの提携」と説明。その数日後にはブレンダン・ウィットワース米国担当CEOが「人々を分断するような議論に参加するつもりはない」との声明を発表したが、内容が曖昧だと批判された。

同社のマイケル・ドゥケリスCEOは今月4日に行われた収支報告の場で、このコラボレーションは正式な広告キャンペーンではなく、ソーシャルメディアで誤情報が拡散していると強調。この件で脅迫を受けた配送ドライバーや営業担当者などに手当を支給することも発表した。なお、キャンペーンを担当した2名の幹部は休職中だと報じられている。

トップ広告主のCMOは在職期間が短め スペンサースチュアート調べ

トップ広告主100社の最高マーケティング責任者(CMO)の在職期間は平均3.3年で、フォーチュン500(米フォーチュン誌が選ぶ全米上位500社)のCMOの在職期間(平均4.2年)と比較すると短い。人材の採用やコンサルティングを行うスペンサースチュアート社(Spencer Stuart)のレポートで明らかになった。フォーチュン500企業はBtoC企業とBtoB企業がほぼ半分ずつだが、トップ広告主100社にはBtoC企業が多いことが影響した。

フォーチュン500企業のCクラス役員の在職期間はCEOが6.7年、ゼネラルカウンセル(法務部門責任者)が5.5年、最高コミュニケーション責任者が4.7年、最高財務責任者が4.6年で、これと比べるとCMO(4.2年)は短い。トップ広告主100社の3割近くが、在職1年以内に新しい仕事に移っている。だがこれらの企業のCMOの77%は、より高くて良いポジションの仕事に就くという。

CMOの多様性は比較的進んでおり、女性のCMOは47%(フォーチュン500企業)と53%(トップ広告主100社)、過小評価されてきた人種や民族のCMOは14%(フォーチュン500企業)と18%(トップ広告主100社)で、それぞれ前年から2~3ポイント上昇している。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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