Rahul Sachitanand
2020年11月06日

中国「独身の日」セール、2020年予測:平均購入金額の伸びはスローダウン

「独身の日」、中国では小規模都市の顧客が支出を増やす見込みだが、大都市に比べると平均購入金額は大幅に低くなりそうだ。

中国「独身の日」セール、2020年予測:平均購入金額の伸びはスローダウン

来る11月11日、中国で「独身の日」のオンラインショッピングイベントが開催される。ブランド、小売企業、消費者にとっては重要な一日だ。市場が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による荒廃からの回復を試みる中、ブランドは中国市場により深く浸透したいと考えているものの、小規模都市の消費者の平均購入金額は大都市の消費者に比べて大幅に低いという経済的現実とのバランスをとる必要がある。

経営コンサルティング企業Bain & Companyの最新レポートによると、ブランドと小売企業は、中国の価値志向の高い消費者が、パンデミック後の世界に適応する過程で、より安価な自国のブランドを選択する状況に直面している点を強調している。「経済が不安定になり、消費者が高価値・低価格を重視し始めたことが、中国ブランドが選ばれている理由のひとつだ」とレポートは指摘する。8月に出した同社レポートでは、「実際、中国の消費者の35%が、これまでより支出を留意すると回答している」というデータが示されている。

また、中国の消費者は、刺激的な新しいブランドよりも馴染みのあるブランドを好むようになり、外国ブランドは逆境に立たされている。さらに、60%以上の消費者がプレミアムブランドではなくバリューブランドに魅力を感じている。しかし、その一方で、同じ商品の再購入を希望している人の割合と比べると、心躍るような新しいブランドを買いたい人の割合が2倍を超えている。

図1

消費者は2020年の「独身の日」に、オフラインよりオンラインで購入することを望んでいる

2020年の「独身の日」に、各チャネルにおける購入額の増減をどう見込んでいますか?

オンラインチャネル:2020年の「独身の日」に、支出を増やすまたは減らすと回答した人の割合

オフラインチャネル:2020年の「独身の日」に、支出を増やすまたは減らすと回答した人の割合

(要約) オンラインチャネルでは、支出増38%に対し支出減は18%。対するオフラインチャネルでは、支出増29%に対し支出減が24%と対照的な結果を示した。

中国の小売企業とブランドにとって、小規模都市の新規顧客獲得競争と(比較的)少ない平均購入金額との間でのバランスをとることが、この巨大なイベントをさらに拡大するための課題となっている。「独身の日」の取引額は米国の巨大企業Amazonの月間取引額をも上回っているが、いくつかの数字は、成長が頭打ちになる可能性を示唆している。

「2015年の独身の日は、1日あたりのアクティブユーザー数(DAU)が前年比60%増を記録した。」さらに「しかし、消費者への浸透がほぼ横ばいになり、小売企業はすぐに自らの成功による犠牲者となった。2016年までに、新規オンライン購入者数の増加率は15%になった」とレポートには記されている。このセールに参加する小売業者は、新規顧客獲得から消費者により多くの支出を促す方向へと転換した。具体的には、より高額な商品や平均価格が高いカテゴリーの商品を買わせようとした。取り組みは奏功し、2015年のユーザー1人あたりの平均売上(ARPU)は前年比8%増だったが、2016年には20%まで上昇した。

図2

中国における「独身の日」は世界最大の小売イベントである

「独身の日」の流通総額(GMV)は過去5年間、年平均35%成長

ブラックフライデーのオンライン売上の約8倍、Amazonの月間平均GMVの2倍以上

(要約「独身の日」のGMVは、過去5年間の年平均成長率が35%となり、2019年は4100億元に達した。これは同年のブラックフライデーのGMVの約8倍、同年のAmazonの月間平均GMVの2倍以上の金額だ。

しかし、強気なニューカマー、Pinduoduoが、大幅な値引きを武器に小規模都市の消費者を取り込み、その競争圧力によって、この2~3年で再びバランスが変化した。その結果、DAUは29%増加したが、ARPUが5%減少したとBainは指摘する。

2020年、この戦いはひとつの山場を迎える見込みだ。Bainの調査では、約40%の消費者が支出を増やすと回答している。ブランドと小売企業は新規顧客の獲得を狙っているようだが、成長が鈍化している既存市場とのバランスが重要だ。

「大都市の市場は飽和状態に近づいているが、小規模都市ではオンラインショッピングの拡大が続いており、2020年第1四半期、全ウェブユーザーに占める割合が約54%(2019年上半期の時点では約45%)に達した」とレポートは指摘する。「ただし、新規ユーザーの支出額は既存ユーザーの平均より約60%、小規模都市の平均より約50%少ない見込みだ。新規ユーザーの構成によっては、全体のARPUが減少する可能性もある」

図3

2020年の「独身の日」、中国の1級から5級まであらゆる都市の消費者が支出を増やす見込み

級都市と2級都市では高級志向が継続

3級~5級都市でも支出が増える見込み

2020年の独身の日に支出を増やすまたは減らすと回答した人の割合

(要約)1~2級都市では、支出増39%に対し支出減は16%。3~5級都市では、支出増38%に対し支出減が18%。わずかに1~2級都市のほうが支出傾向が強いが、全都市階層で支出増となる見込み。

これに対処するため、Bainがオンラインプラットフォームに推奨しているのは、ロイヤルティを確立することによって顧客との関係を「独身の日」の後も発展させることだ。エンゲージメントを高める方法のひとつが、ヒット商品を中心としたコンテンツをつくり、エンゲージメントを測定すること。Alibabaは出店者に対し、最少管理単位(SKU)の70%を対象に、1SKU当たり3~5本の短編動画を制作するよう求めている。小規模都市では、ECプラットフォームが、各都市の顧客に合わせた提案を行い、顧客獲得コストを下げることができるため、コスト効率の高いサプライチェーンを活用できる。

ブランドオーナーや最高マーケティング責任者(CMO)も、「独身の日」以降の顧客エンゲージメントを考慮する必要があるとレポートは提言している。「最高のブランドは最も大切な顧客と直接的な関係を確立し、独身の日のGMVだけでなくエンゲージメント、ロイヤルティ、生涯価値に関する成果を追跡するであろう」、「彼らは地域密着型の選択肢を受け入れることで、コストとスピードの最適化が可能な単一経路をつくり、オンラインだけでなくオフラインのチャネルでも容易に新商品を展開するであろう」とレポートは述べている。

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

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