Ryoko Tasaki
2018年5月11日

「きのこたけのこ戦争」、特別放送で巻き返しを図る

どの政党のマニフェストが、どのように実現されるのか。見届けたいと願うファンたちがSNS上で盛り上がっている。

「きのこたけのこ戦争」、特別放送で巻き返しを図る

「きのこの山」への支援を篠原信一(元柔道五輪代表)が必死に呼び掛ける、政見放送のような動画が公開された。

明治「きのこの山」と「たけのこの里」は、どちらも1970年代に発売されたロングセラー商品。知名度も味も互角(だと思うのだが…)な両商品だが、これまで幾度となく比較され、巷では「きのこたけのこ戦争」として話題にもなってきた。そして今年2月、明治が「総選挙」と称するキャンペーンをスタート。総選挙委員長として松本潤(嵐)を起用し、発売以来38年にわたる戦いに決着をつけるべく、7月末まで広く投票を呼びかけている。

今回、きのこの山が「圧倒的不利な状況」であることから、篠原信一が「きのはら信一」なる党員に扮してさまざまなマニフェストを発表し、支援を訴えた。7月にはティッシュ配りやクリーンアップ活動も行う予定だとか。また「きのこを、あきらめない。」というキャッチフレーズは、2005年に民主党(当時)が実際に選挙で用いたスローガン「日本を、あきらめない。」のパロディーだ。

Campaignの視点:
大きなフォントと派手な色使いで圧迫感のある特設サイトや、あれもこれもと盛り込みすぎてかえって分かりづらいマニフェストの数々が、本物の選挙運動を彷彿とさせる。強烈すぎる既視感に思わず笑ってしまうが、そもそも選挙運動はこれでいいのか?という皮肉も込められているかのようだ。

長らくSNS上で話題になってきた論争にメーカーがうまく応えたキャンペーンで、ツイートを促す仕掛けも豊富に用意するなど、SNSとの親和性が高い。期間限定商品のPR情報や、「党員証」と称した名前入りQUOカードのプレゼント、きのこの山が立体商標権を取得したというニュースも盛り込まれ、情報量は多いもののキャンペーン全体がうまくまとまっている。どちらが勝利するのか、あるいは「どっちも党」が勝って丸く収まるのか、注目していきたい。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

1 日前

世界マーケティング短信:Cookie廃止の延期、テスラの人員削減

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2 日前

大阪・関西万博 日本との関係拡大・強化の好機に

大阪・関西万博の開幕まで1年弱。日本国内では依然、開催の是非について賛否両論が喧しい。それでも「参加は国や企業にとって大きな好機」 −− エデルマン・ジャパン社長がその理由を綴る。

3 日前

エージェンシー・レポートカード2023:カラ

改善の兆しはみられたものの、親会社の組織再編の影響によって、2023年は難しい舵取りを迫られたカラ(Carat)。不安定な状況に直面しつつも、成長を維持した。

3 日前

私たちは皆、持続可能性を前進させる責任を負っている

持続可能性における広告の重要性について記した書籍の共著者マット・ボーン氏とセバスチャン・マンデン氏は2024年のアースデイに先立ち、立ち止まっている場合ではないと警告する。