Alison Weissbrot
2020年10月01日

「グローバル・アライアンス・フォー・レスポンシブル・メディア」、プラットフォームにおける「有害コンテンツ」の定義を統一

この発表は、このアライアンスが大手ブランド主導のもとにソーシャルメディア上の誤情報やヘイトスピーチへの取り組みにおいて最初の重要な一歩を踏み出したことを示している。

「グローバル・アライアンス・フォー・レスポンシブル・メディア」、プラットフォームにおける「有害コンテンツ」の定義を統一

「グローバル・アライアンス・フォー・レスポンシブル・メディア」は、2019年のカンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルの場で結成されてから1年半が経ち、ソーシャルメディア上の有害コンテンツとの戦いに向けてさらなる一歩を踏み出した。

9月23日、グローバル・アライアンスは世界広告主連盟(WFA)と協力して、「有害コンテンツ」を構成する11のカテゴリーを定義し、すべてのプラットフォームで適用される、各カテゴリーを追跡するための統一指標を定めたと発表した。

この定義には、アダルトコンテンツ、露骨な表現を含むコンテンツや、冒涜、テロリズム、ヘイトスピーチなどのカテゴリーが含まれ、リスク許容度の異なる各ブランドに対応するため、低リスクから高リスクまで段階的な尺度を採用している。

フェイスブック、ユーチューブ、ツイッターなどのプラットフォーム各社は、ブランドがプラットフォーム上の有害コンテンツを追跡、回避できるようにするためのツールを開発すると約束した。さらに、広告主がKPIに対する説明責任を果たせるよう、メディア・レーティング・カウンシル(MRC)による外部監査を受けることにも同意した。

MRCは、11月末までにユーチューブの監査を終了させる予定だ。グローバル・アライアンスは、主要なプラットフォームすべてについて、年内に監査済み、または監査中の状態にすることを目指している。

有害な言論に対して統一した定義を策定することは、ソーシャルメディア業界全体としてブランドセーフティの問題に取り組む上で不可欠な第一歩だった、とWFAのCEOを務めるステファン・レールケ(Stephan Loerke)氏は語る。

レールケ氏は「各プラットフォームは独自に有害コンテンツを定義して、プラットフォーム専用のツールを運用し、平均で2週間ごとにセーフティ指針を変更していた」と述べ、「その結果、非効率的で拡張性のないシステムになっていた」と指摘した。

レールケ氏によると、プラットフォームは、自分たちのAIシステムがどれだけの割合で有害コンテンツを捕捉したかを示す統計をしきりに公表するが、その情報は必ずしもブランドにとって有用ではなく、独立機関からの検証を経たものでもないという。

「(コンテンツが)AIによって捕捉されたか、人間によって捕捉されたかは重要ではない。注意すべきなのは、どれだけの有害コンテンツが閲覧されたのか、有害コンテンツがどれほど蔓延しているのか、そして、有害コンテンツの蔓延を四半期ごとに継続して減らせているのかどうかだ」

また、フェイスブック、ユーチューブ、ツイッター、スナップ(Snap)、ティックトック(TikTok)、ピンタレスト(Pinterest)は、ブランドセーフティやコンテンツとの隣接を管理するツールについて、今年中に詳細な計画を公開することに合意した。

レールケ氏は、「この合意は、プラットフォームに有害コンテンツを排除するための方法を指示するものではない」として、「各プラットフォームはコンテンツを管理するのに最適な立場にいる。私たちにとって重要なのは結果だけだ」と述べた。

変化を促した背景

2016年に初めてユーチューブでブランドセーフティをめぐる不祥事が起きて以来、プラットフォーム各社が広告主の要望に応じる姿勢は大幅に改善した。

「3年前には、これはメディアの技術者の問題だった」とレールケ氏は振り返る。「私たちの社会に特有の圧力によって、(中略)ブランド各社はそこに評判よりもはるかに大きな問題があることを理解するようになった。ブランドには、自分たちがどのようなコンテンツに資金を提供しているのかを知る責任があるのだ」

2020年の夏、世界中で起きた人種差別への抗議を受け、支持を表明したり自社の価値観について声明を出したりしたブランドは、どのメディアに広告費を出すかを含め、自社の行動に責任が伴うことを認識している。これにより、ブランドセーフティとブランドに隣接するコンテンツのコントロールは、取締役会で検討されるほど重要な案件になった。

「大企業のCEOや取締役会がこうした件について質問し、優先的に扱うなど、状況は大きく変わった」とレールケ氏は言う。「それはプラットフォーム各社に対するメッセージになっているはずだ」

レールケ氏は、プラットフォーム各社が世界中で規制当局の監視に直面するなか、こうした取り組みにおいてブランド各社と協力していることは良い傾向だと付け加えた。

グローバル・アライアンスは、プラットフォーム各社に有害コンテンツについての説明責任を負わせるためにはまだ多くの作業が必要だと認識している。それでも今回の発表は、業界がブランドセーフティの管理を標準化していくための「重要な第一歩」を示すものだ、とレールケ氏は語った。

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

関連する記事

併せて読みたい

6 時間前

エージェンシー・レポートカード2023:カラ

改善の兆しはみられたものの、親会社の組織再編の影響によって、2023年は難しい舵取りを迫られたカラ(Carat)。不安定な状況に直面しつつも、成長を維持した。

4 日前

世界マーケティング短信: オープンAI、アジア初の拠点を都内に設立

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2024年4月15日

北野武とタッグを組んだ、Canvaの新キャンペーン

グラフィックデザインツール「Canva(キャンバ)」が、新しいキャンペーンを開始した。ショート動画に登場するのは北野武と劇団ひとりという、芸能界でも異彩を放つ2人だ。

2024年4月15日

エージェンシー・レポートカード2023:博報堂

事業は好調で、イノベーションも猛烈な勢いで進めている博報堂。今年はDEIについても、ようやく大きな変化が起きた。だが男女比の偏りは是正が必須であり、設定した目標を具体的な行動に移すことが重要だ。