David Blecken
2018年6月28日

2018年、日本のトップ1000ブランド

新たなランキングでは国内製造業大手がその地位を維持、一方で外資系テクノロジー企業が躍進した。

家電製品を中心とした展示会「CES」でのパナソニック(写真:デイビッド・ベッカー / ゲッティーイメージズ、AFP)
家電製品を中心とした展示会「CES」でのパナソニック(写真:デイビッド・ベッカー / ゲッティーイメージズ、AFP)

Campaign Asia-Pacificとニールセンが共同で毎年行う消費者意識調査、「トップ1000ブランド」。今年のランキングではパナソニックが日本国内でトップの地位を堅持し、アジアではランクを2つ上げて3位となった。同社は昨今、若手社員を育成してそのアイデアを重用したり、外部事業者とのコラボレーションを図ったりとイノベーションを推進。ブランドの認知度が更に上がったことは朗報だろう。

だがBBDOジャパンのトニー・ハリスCEOは、「パナソニックが強さを発揮したのはイノベーションの促進より、むしろこれまでの遺産と普及性が要因」とコメント。製品の質の高さと強力な流通・販売網は、「長期にわたる高評価につながります」。

トップ5に入った他のブランド −− アップル、ソニー、明治、森永乳業 −− は昨年と同じ顔ぶれで、やはり同様のことが言えるだろう。アップルはアジアでトップブランドとなったサムスンの最も強力なライバル。意外だったのは、中国のシャオミ(Xiaomi)が順位を上げてトップ1000の845位に入ったことだ(アジア全体では128位)。

フォックスコン(富士康、鴻海科技集団)が所有するシャープは、順位を4つ上げて6位に。アジア全体では31位だった。資生堂はグローバルな統合やクリエイティブプロセスの改善を進めたにもかかわらず、日本で順位を4つ下げて10位、アジアでは12下げて47位。スポーツウェアの分野ではナイキとアディダスがトップ10から落ち、それぞれ19位と33位に。家具・インテリア・日用品を含めた小売分野では、ニトリが新たにランクインして57位。イケアが89位、無印良品が92位だった。イケアは近年業績が低迷しており、競争力強化のために近々リポジショニングを図る見通し。

アマゾンは引き続き、日本とアジアで支持を広げている(日本では26位から13位、アジアでは43位から23位に上昇)。対照的なのは楽天で、日本では順位を7つ下げて56位、アジアでは4つ下げて331位だった。

アマゾンは有用性とサービスの質の高さで、消費者の日常生活に果たせる役割をアピールした。明快なブランディングが功を奏したと言える(だが人々の環境意識への高まりから、時に過剰な梱包が今後は批判の対象になる恐れもある)。中核事業が低迷する楽天は、旅行や通信といった他分野に手を広げている。前者では米ホームアウェイ社と提携。後者では国内の携帯電話業界で1〜3位を占めるNTTドコモ、ソフトバンク、AUに対抗するため、独自のモバイルネットワークの設立を図る。

ブランド
 
順位 順位
2018年 2017年 (APAC)
パナソニック 1 1 3
アップル 2 2 2
ソニー 3 3 4
明治 4 4 28
森永製菓 5 5 130
シャープ 6 10 31
サントリー 7 7 136
VISA 8 9 15
日立 9 13 30
資生堂 10 6 47
花王 11 15 79
日清食品 12 16 72
アマゾン 13 26 23
シャネル 14 14 8
グーグル 15 28 7
マイクロソフト 16 19 17
キヤノン 17 17 13
コカ・コーラ 18 20 11
ナイキ 19 12 9
スターバックス 20 22 12
東芝 21 8 32
ロッテ 22 11 35
ネスレ 23 18 5
クロネコヤマト 24 27 479
ジョンソン&ジョンソン 25 42 16

他のテクノロジー分野ではグーグルが国内のライバルであるヤフージャパンとの差を広げ、全体のランキングで28位から15位となり、この部門のトップに立った(アジアでは7位)。ソーシャルメディア部門ではツイッターが大きく躍進、ランクを29上げて74位でトップに。同社は昨年、それまで取り込めなかった30代のユーザーに向けて「情報ソース」としてのリポジショニングを敢行した。LINEは162位から155位と若干上昇。同社の日本でのサービスは中国のウィーチャット(微信)のエコシステムと共通する。だが海外市場ではこのモデルをなかなか確立できず、アジアでは250位から308位へと順位を下げた。

当然と言ってもいいだろうが、インスタグラムは239位から203位へと上昇。フェイスブックはやや苦戦。アジアでは26位と変わらなかったが、日本では98位から131位へと後退した。その原因が個人データの不正流用問題なのかは判然としない。それよりもユーザーがビジュアルを重視し、より刺激的なコンテンツを求めるようになったことを暗示している。ビジュアルコンテンツと言えば、今年はネットフリックスが206位にランクイン。同社は日本向けコンテンツの開発に多額の出資を行った。

ウーバーは日本での存在感が極めて小さいにもかかわらず、順位を3つ上げて26位と引き続き好調。ライドシェアサービスの草分けは当初の極めて攻撃的なマーケティング戦略を撤回、各地のタクシー会社と対抗するのではなく、事業提携に活路を見出している。エアビーアンドビーは順位を一気に61上げて399位に。“旅のイノベーター”は6月に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)によって、新たな難局面を迎えている。空き物件を活用したい地元の人々とのより密接な関わりが求められる。

自動車ブランドでは、トヨタ自動車が日本とアジアで他社を圧倒した(日本では順位を7つ上げて48位、アジアでは68位)。日産自動車は大きく遅れをとり、日本では順位を10下げて171位、アジアでは471位に。両社ともに現在、“モビリティサービスのプロバイダー”としてのリポジショニングを図る。トヨタのキャッチフレーズは「モビリティー・フォー・オール(Mobility for All)」、日産は「インテリジェント・モビリティ」。これらの言葉はコンセプトとして非常に曖昧だが、両社が推進するのは車の所有ではなくレンタルサービス。トヨタはこの部門でも日産を凌ぎ、トヨタレンタカーが91位だったのに対し、日産レンタカーは177位。並行して行われた調査では、日本の消費者が「最も強力な国内ブランド」とみているのはトヨタであることが分かった。

新規株公開(IPO)で12億米ドル(約1320億円)を調達し、話題となったメルカリ。こうしたブランドはまだランキングに入っていない。同志社大学大学院ビジネス研究科でマーケティングを専門とする須貝フィリップ教授は、「このオンラインフリーマーケットが具現化しているように、無駄を減らし、社会・環境意識がより高い消費コンセプトは日本にとって重要な成長分野」と話す。

高齢化社会の到来で、日本の消費者の移動はますます少なくなる。だがそれは、eコマース業界にとってより幅広い成長の可能性を意味するだろう。ジオメトリー・グローバル・ジャパンのプランニングディレクター、蓑谷尚彦氏は「テクノロジーに適応している60代の人々が業界を刺激し、ひいてはクレジットカード業界も活気づかせる」という。シャオミのような低価格が売りの中国ブランドが認知されるようになっていることからも分かるように、一般消費者の共通意識は「より大きな価値があるかどうか」。蓑谷氏は、そうした点でブランド名は「以前ほどの効力がない」と話す。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉、田崎亮子)

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