David Blecken
2017年6月27日

テーマはオリンピック、パナソニックの奇怪なCM

大会のトップスポンサーならば、もう少し思慮深いものが作れたのではないか。同社の有機ELテレビ「ビエラ」のCMには、違和感を覚えずにいられない。

五輪・パラリンピックのワールドワイド公式パートナーであるパナソニックは、大会競技に関連したコンテンツでキャンペーンを展開している。東京大会を目指すジュニアアスリートをフィーチュアした、26本ものオンライン動画からなる「ビューティフルジャパン」もその1つ。プロジェクトのアンバサダーである人気女優・綾瀬はるかが日本全国で活動する彼らを訪ね、それぞれの競技にチャレンジするという趣向だ。

これまでのところ、キャンペーンは順調に行っている。しかし、4K有機EL「ビエラ」のテレビCMに関しては大きな疑問符が付いてしまう。製品そのものは美しいし、フィーチュアされるサーファーやスケートボーダー、義足の陸上競技選手などの映像も決して悪くはない。だが、主役の綾瀬はるかはそれらの選手ではなく、まったく違うものを見ているとしか思えないのだ。ホームコメディだろうか? それとも、選手が滑稽に倒れでもしたカットシーンだろうか? 彼女がテレビ画面を指差し、若干酔っ払っているかのごとく唐突に笑うシーンは、誰にも理解できないだろう。

実際、彼女の大げさな演技もまずい編集も、平均的な視聴者には印象を残さないかもしれない。だとすれば、このCMは「忘れやすい」と表現するのが関の山だ。私見ながら、もし我々が五輪のスポンサーシップや宣伝、テレビスポットなどに巨額の資金を使うブランドであるなら、良いCMを制作するために予算を若干増やすことは厭わないだろう。

必要以上に批判的になるつもりはない。五輪スポンサーとして注目を集めるのはいかに難しいことかを強調したのであり、内外を問わず大きなスポンサーブランドにはクオリティーの高い作品を期待したいのだ。今後、五輪に関する独創的でインパクトの強いキャンペーンは随時紹介していく。特に日本のブランドには五輪までの間、素晴らしい取り組みを期待している。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

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