Staff Reporters
2024年5月16日

パワーリスト2024:岡部義昭 (資生堂)

テクノロジーとマーケティングを融合させる岡部氏は、パーソナライゼーションと消費者エンゲージメントに焦点を当てた資生堂のイノベーションを牽引している。

パワーリスト2024:岡部義昭  (資生堂)
パワーリスト2024
APACベストマーケター50
#AuthenticLeaders 

岡部義昭 

チーフマーケティング&イノベーションオフィサー、チーフブランドオフィサー
資生堂
初選出

現在、資生堂のチーフマーケティング&イノベーションオフィサー(CM&IO)、ブランドSHISEIDOのチーフブランドオフィサーを務める岡部義昭氏は、イノベーションを得意とする力強いリーダーだ。資生堂に入社して35年以上になる同氏の戦略ビジョンは、研究開発と消費者志向のマーケティングを融合させ、商品が乱立する美容・スキンケア分野の中でブランドを際立たせることにある。

CIOとして、テクノロジーと消費者インサイトを統合することでイノベーションの加速を牽引し、業務の大幅なスピードアップを実現した。岡部氏のリーダーシップの下、資生堂はテクノロジーを最大限に活用する仕組みを企業レベルで確立し、特に調査とデータに基づくインサイトの活用を全ブランドで強化。このアプローチにより資生堂はシワの分野で首位の座を獲得し、「たるみ」という新たな市場を創造した。

CMOとしては「ファンデ美容液」など革新的な商品を世界で発売し、同社のマーケティングを牽引してきた。独自のセラムファースト技術を用いて開発されたファンデ美容液はソーシャルメディアで大きな話題となり、出荷総数が300万本を突破するなど商業的な成功を収めた。

さらに2023年には、いくつかの重要なマーケティング施策を立ち上げるという重要な役割を果たした。資生堂の150周年を記念したメタバースキャンペーン「Shiseidoverse:150 Years to the Future」では、オンラインとオフラインを融合させるユニークなジャーニーや、消費者とアンバサダーによるライブストリーミング・パーティーなど、バーチャルとフィジカルを組み合わせた没入型の体験を提供した。これと連動したキャンペーン「From life comes beauty」では、香港の男性アイドルグループ「ミラー(Mirror)」を起用した動画でオムニチャネルのコミュニケーション施策を実施し、ブランドの過去、現在、未来を表現した。

グローバルな潮流とローカルでのイノベーションの橋渡し役として岡部氏は、世界各地にある資生堂のイノベーションセンターの強化にも尽力する。これらのセンターでは、ハラール対応など地域特有のニーズに焦点を当て、現地企業とのコラボレーションを促進し、最先端技術を迅速に取り入れて展開する。

岡部氏は製品のイノベーションや市場拡大のみならず、資生堂の多様性・公平性・包摂性(DE&I)の文化醸成に

も取り組む。性別、国籍、経歴などの多様性を確保した、バランスの取れたリーダーシップを重視しており、この姿勢は環境やサステナビリティーへの取り組みにも及ぶ。同社はバイオベンチャーのちとせグループと提携して、藻類など持続可能な代替素材の商品開発への活用を模索する他、使用済み容器を収集し新たな容器に再生する循環型プロジェクト「ビューリング(BeauRing)」 を立ち上げ、実証試験を横浜市で開始した。

岡部氏のリーダーシップの下、資生堂は革新的なテクノロジーと深い市場インサイトを融合させて、世界中の消費者からの共感を呼ぶ美容製品を生み出し、美容業界における世界的なリーダーとして進化を続けている。 

パワーリスト2024
APACベストマーケター50
#AuthenticLeaders 

 

関連する記事

併せて読みたい

1 日前

世界マーケティング短信:グーグルがCookie廃止方針を撤回

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

3 日前

リテールメディアネットワークが、アジア太平洋地域で人気を集めている理由

小売や流通の企業が、リテールメディアネットワーク(RMN)を続々と立ち上げている。アジア太平洋地域におけるRMNの機会や懸念、有効性を探る。

3 日前

ほとんどの大企業が「グリーンハッシング」をしていることが判明

FTSE100のうち63%がESGの進捗状況を控えめに開示し、積極的なコミュニケーションを展開していないことが、調査で明らかになった。

3 日前

日本に注目する、世界のスポーツ市場

アスリートたちの世界的活躍、安定性・持続可能性の高い投資環境……今、世界のスポーツ市場が日本に熱視線を送る。