Ryoko Tasaki
2022年7月01日

世界マーケティング短信:気候危機、問われる広告界の責任

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

カンヌライオンズの会場にて行われた抗議活動の様子(画像:Matthieu Etienne @LLLLITL on Twitter)
カンヌライオンズの会場にて行われた抗議活動の様子(画像:Matthieu Etienne @LLLLITL on Twitter)

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

カンヌライオンズで環境保護団体が抗議活動

先週開催されたカンヌライオンズにて、環境保護団体「グリーンピース」が、化石燃料企業の広告をやめるよう訴える抗議活動を展開した。受賞セレモニーのステージ上への立ち入りや、WPPがビーチで開催するイベントにカヌーで乗り付けた他、犬の衣装を着た抗議者らが巨大なはしご車を使って会場の建物に上った。

WPPのマーク・リードCEOは、今年最も多くの賞を獲得したエージェンシーとして登壇した際に、抗議活動についても言及した。「気候変動問題やカーボンが経済に与える影響について、彼らが強調するのは正しい」としつつも、低炭素化の実現に向けて、エネルギー企業は他のどの企業よりも関わっていく必要があると考えを述べた。

「企業の低炭素経済への移行に向けた取り組みをフェアで正確な方法で伝えるのを、手伝うことがWPPの仕事です」。伝えることができなければ、きちんと取り組む企業を消費者が選べないというのが理由だ。その一方で、エネルギー企業の取り組みを伝えることと、グリーンウォッシングに加担しないことのバランスをとるのは同社にとって「チャレンジだった」とも認めた。

電通グループ、海外事業のクリエイティブブランドを統一

電通グループは、海外事業のクリエイティブ領域のエージェンシーブランドである「Isobar」「dentsu mcgarrybowen」「360i」を、「Dentsu Creative」に統一する。クリエイティブ、メディア、顧客体験マネジメントといった各エージェンシーのケイパビリティー(組織としての強み)を強化していく。新ブランドはフレッド・レブロン氏のリーダーシップのもと世界145カ国・地域の9,000名で構成され、年末までに海外事業における唯一のクリエイティブエージェンシーブランドとなる予定。

「パワーリスト2022」 日本からは3名が選ばれる

Campaign Asia-Pacificが毎年、アジア太平洋地域(APAC)の傑出したマーケターを選出する「パワーリスト」に、今年は日本から3名が選出された。

・足立光氏(ファミリーマート エグゼクティブディレクター、CMO)

・河野奈保氏(楽天 常務執行役員、CMO)

・箕輪光浩氏(オールバーズ マーケティングディレクター)

詳細はこちら(英語)

ジェンダー平等の実現は、火星到達よりも後…?

人類が火星に到達し、大西洋を横断する通勤列車が走り、月にある部屋から地球を眺めるような未来になっても、今のままのペースではジェンダー平等は解決していない……。国連女性機関(UN Women)の豪州事務所が公開した動画には、このようなディストピアが描かれている。登場人物の背景には「70歳若返る」と謳うスキンケアや、痴漢やつきまとい行為の相談窓口、AIによるデイケアサービス(ただし満員)など、今の世界の延長としてリアリティーのある看板が映り込む。

企画・制作に携わったザ・モンキーズ(The Monkeys)の最高クリエイティブ責任者、タラ・フォード氏は「テクノロジーや人類の進化にまつわる現実世界の標点を提供することで、ジェンダー不平等を未来にまで持ち越すことがいかにばかげたことか(そして恐ろしいことか)を示しました」と語る。「信じられないことに、今後4世代にわたって平等は実現されないと予測されているのです」。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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