David Blecken
2018年11月05日

他社とのクロスオーバーが楽しい、ソフトバンクの新CM

通信会社大手が、話題となったハズキルーペのCMとクロスオーバーしたCMシリーズを発表。テレビで遊び心をいかに発揮できるかを思い起こさせる作品だ。

他社とのクロスオーバーが楽しい、ソフトバンクの新CM

8月末より公開された「白戸家ミステリートレイン」シリーズは、アガサ・クリスティーの推理小説『オリエント急行殺人事件』のパロディー。データ通信量の上限を気にすることなく動画やSNSを楽しめる料金プランを訴求する内容となっている。

話は、同社CMに2007年から登場してきた白い犬のお父さんが、列車の中で行方不明になったところからスタート。堺雅人扮するポアロ風の探偵が、疑わしい乗客に事情聴取を行うと、容疑者はずっとスマートフォンで動画を見ていたと主張するのだ。

この事情聴取に、さまざまなゲストが出演する。あるときは、パグ。またあるときは、倒れたゆりやんレトリィバァに皆が駆け寄るが、スマートフォンでヒカキン(人気ユーチューバー)の動画「人工呼吸やってみた!」を見ていた証拠が見つかり、竹内涼真に人工呼吸をしてもらいたかっただけだと判明する。

中でも興味を引いたのは、「菊川怜の事情聴取篇」だ。わざとらしい演技が印象に残るハズキルーペのCMを彷彿とさせる内容なのだ。渡辺謙とステージ上で拡大鏡のプレゼンテーションを行うという設定のこのCMは、4月から公開。ルーペの壊れにくさを証明するために菊川怜がお尻で踏みつけたり、「ハズキルーペ、だーい好き」と手でハートマークを作ってウィンクするなど古典的で大げさな演出なのだが、話題となっただけでなく、伝えたいメッセージをきちんと届けている。そしてソフトバンクが今回、自社のパロディーCMの中にさらにパロディーを入れ込む形で融合させたのである。

さらに数日後、今度は映画館で本編上映の直前に流されるマナームービー「NO MORE 映画泥棒」のパロディーCMを公開した。

ソフトバンクが他社CMとクロスオーバーした作品を発表するのは、今回が初めてではない。2012年にも、サントリー缶コーヒーBOSSの宇宙人ジョーンズシリーズに登場していたトミー・リー・ジョーンズが、白戸家シリーズにゲスト出演している。だが前作から年月も経った今になって、しかもハズキルーペとコラボレートしたという点が新鮮で、驚かされる。このような取り組みを、他のブランドが簡単に真似できるかと問われれば、恐らく難しいだろう。異彩を放つソフトバンク(とハズキルーペ)のCMは価値ある資産であり、テレビCMで遊び心を発揮できるのだということを再確認させてくれる。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

Premium
パーソナライゼーションへと歩み出す、日本の柔軟剤メーカー
Premium
20 時間前

パーソナライゼーションへと歩み出す、日本の柔軟剤メーカー

ケーススタディ:ライオンが、アロマオイル配合の柔軟剤のプロモーションで、香りをパーソナライズ。個々人に合わせた、世界に一つだけの商品づくりも視野に入れる。

Premium
AI、レクサス広告を作る
Premium
20 時間前

AI、レクサス広告を作る

ストーリーを作ったのはAI(人工知能) −− 「世界初」とも言える広告をレクサスが発表した。

Premium
理想のまちづくりを、シムシティで議論
Premium
4 日前

理想のまちづくりを、シムシティで議論

これまでもユニークな取り組みで話題になってきた小林市が、今度は市長公認のバーチャル組織を設立。ゲームを通して、リアルなまちづくりを高校生たちと議論していく。

Premium
電通、国内外で収益増
Premium
4 日前

電通、国内外で収益増

だが、調整後営業利益は減少。その要因に労働改革と海外での基盤整備への投資を挙げる。