五十嵐 博
1 日前

「多様性に欠けたクリエイティビティーは機能せず」 電通グループ・五十嵐社長

カンヌライオンズの開幕を控え、Campaignは広告業界“ビッグ6”の一角、電通の五十嵐博グローバルCEOにインタビュー。クリエイティビティーとビジネス、ブランド構築などについて尋ねた。

「多様性に欠けたクリエイティビティーは機能せず」 電通グループ・五十嵐社長

* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。

クリエイティビティーの未来には楽観的ですか?

私は常に楽観的です。クリエイティビティーは混迷の時代や、大きな変革をいつも乗り越えてきた。現在も課題がありますが、進化を続けています。アートとテクノロジー、カルチャーの境界線は曖昧になってきています。それはクリエイティビティーにとって脅威ではなく、さらなる飛躍の機会と言えましょう。

弊社では、「変革を起こすクリエイティビティー」についてしばしば議論をします。変革を起こすクリエイティビティーとはスローガンではなく、考え方を意味します。多様な能力を結集し、新たなビジネス成果を生み出し、体系的な変革を引き起こす −− そうしたクリエイティビティーを指すのです。

今、議論の中心はAIです。AIは我々に力を与えてくれますが、我々もAIに力を与える。AIに解を求めるだけでなく、AIを教育していかねばなりません。AIに鋭い問いを投げかけ、人のクリエイティビティーについて学ばせる。そして、型にはまった解を壊していかねばならない。

クリエイティビティーの未来は、明確なビジョンを持つ人々の手にかかっています。先進的な思考を持つ人々が集まった(弊社のような)世界的ネットワークで働けることに、私は大きな誇りを感じています。

ブランド構築のどのような部分に魅力を感じますか?

どれだけ幅広く、ダイナミックにブランド構築ができたかという点です。ブランド構築はストーリーテリングの枠を超え、エクスペリエンスや実用性、タイミング、消費者との関わりといった要素へと進化しました。現代のブランドは実に多くのタッチポイントを有しています。有料広告やTikTok(ティックトック)の投稿、小売店、カスタマーサービスのチャットボット、ロイヤルティープログラム……全てが密接につながっています。

弊社はクリエイティビティーとメディア、データ、テクノロジー、コマースといったエコシステム全てを統合し、ブランドが有意義なメッセージを送るだけでなく、有意義な行動を取れるようサポートしています。それが正しく機能したとき、ビジネス成長やロイヤルティー、カルチュラルレレバンス(文化的関連性)を実現できるのです。

しかし究極的には、ブランド構築で最も重要なのは信頼です。信頼は単に言葉ではなく、あらゆるタッチポイントを通して築かれる。弊社は広範かつ高度なリーチを実現させることができます。ブランドが信頼を獲得し、それを持続可能な価値に変えるサポートをするのです。それが、私にとって魅力的な部分です。

多様性はクリエイティビティーにとってプラスですか?

多様性はクリエイティビティーのサポート役ではなく、原動力です。多様な視点が欠ければ、クリエイティビティーはエコーチェンバー(閉鎖的な情報空間で価値観の似た者同士が交流し、特定の意見・思想が増幅される現象)に陥ってしまう。カルチャーは今、かつてない速度で変化しています。同質性は単に創造性に欠けるだけでなく、効果を発揮しません。

我々は東京からサンパウロ、ヨハネスブルグまで、国や言語、カルチャーを超えた活動をしていますが、学んだことは実にシンプルです。ベストのアイデアは往々にして、異なる視点の衝突から生まれる。その緊張感が新しい創造を生み出す。それが、イノベーションの源泉です。

多様性は単なる道徳的責任にとどまりません。ビジネス上の責任でもあるのです。周囲の世界の豊かさを反映できるブランドこそ、人々が信頼を寄せ、商品を購入し、支持をする。インクルージョン(包摂性)はレレバンスを高める。そして成果を生み出すのです。

真の多様性とは、単に(必須要項の)チェックリストを埋めることではありません。異なる意見を生み、取り入れ、重んじる環境をつくること。そうした環境こそが、広告賞の獲得にとどまらず、市場やコミュニティー、カルチャーを突き動かす原動力となるのです。


五十嵐博氏は電通グループの取締役代表執行役社長、グローバルCEOを務める。

提供:
Campaign UK

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