Ryoko Tasaki
2018年4月13日

温暖化が進んだ未来の食事

環境が急激に変化してしまった未来の世界では、人間は何を食べることができるのだろうか。スケールの大きな課題を身近な問題としてとらえる「未来のレストラン」がオープンした。

温暖化が進んだ未来の食事

真っ青なパスタに透明なたこ焼き、南国のフルーツがネタの寿司……。驚きのメニューを提供するレストランが、2月25日に1日限定で表参道(港区)にオープンした。主催したのは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)やアサツー ディ・ケイ(ADK)などによる共同プロジェクト「地球をみまもるプロジェクト」だ。

メニューのコンセプトは、地球温暖化がこのまま進んでしまった未来で、私たちが食べるかもしれない料理。環境の変化によって絶滅が心配される生き物や採取が困難になる作物、逆に豊かになるであろう食材を考慮して作られている。

例えば青いパスタは、酷暑により収穫量や栄養価も低下すると考えられる小麦を補完するため、青い色のスーパーフード「スピルリナ」が用いられている。透明なたこ焼きは、価格の高騰が見込まれる小麦の代わりに、だし汁のゼリーで具を包んだ。他にも、海水温度の上昇で獲れなくなった魚介類に代わり、パイナップルやマンゴー、人工イクラなどを寿司のネタにしている。

この企画は、JAXAが今年打ち上げを予定している温室効果ガス観測技術衛星「いぶき2号」の認知度向上を狙ったもの。特に若い世代の間で、地球温暖化への関心が薄れてきている中、温暖化によってどのような影響が起こり得るのかを分かりやすく示し、それを観測する衛星の知名度アップを目指している。

Campaignの視点:
今まで見た事のないような、色彩鮮やかなメニューに目を奪われる。特設サイトには、それぞれのメニューが作られた意図や、詳しいレシピも公開されている。

1992年にリオデジャネイロで行われた「国連環境開発会議(地球サミット)」で気候変動枠組条約が採択されて以降、地球温暖化への認知度は高まっていった。しかし問題の規模や時間のスケールの大きさゆえに、身近な問題としてとらえにくい側面があった。SNSで映えるメニューを美しく撮影してサイトに掲載し、食べ物を入り口に環境問題を紹介したことは、温暖化に今一度スポットライトを当てて「自分ごと化」してもらう仕掛けとして興味深い。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

2020年10月16日

世界マーケティング短信:エージェンシーの組織変革

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2020年10月16日

バイロン・シャープ氏が語る、COVID-19への最も賢明な対応が「広告出稿停止」だった理由

「COVID-19に関連するブランドメッセージに消費者が興味を持つだろうというマーケターの考えは“恥ずかしいほど傲慢だ”」とシャープ氏は話した。

2020年10月16日

広告活動に回復の兆し、マーケターの信頼が回復:WFA調査

現在、キャンペーンを延期している多国籍企業は半数以下に減少。6月には90%を超えていた。

2020年10月16日

メディアの価格上昇率、最も高い地域はAPAC

グラフで見る:パンデミック下であっても、地域ごとのメディア価格を見ると、特にディスプレイとデジタル動画で価格が上昇しているのがわかる。