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2019年11月05日

ユニクロ「UT」、グローバルインフルエンサーをTikTokでオーディション

お気に入りのUTを着て、音楽に合わせて自分らしさを表現するハッシュタグチャレンジが、グローバル規模で開催。日本のグランプリには、ユニクロの公式CMへの出演権が贈られた。

ユニクロ「UT」、グローバルインフルエンサーをTikTokでオーディション
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ユニクロのグラフィックTシャツブランド「UT」は今年6月下旬から7月上旬にかけて、TikTokでグローバル・インフルエンサー・オーディションを、日本を含む5つの市場で開催した。この企画は、国内のテレビCMや、世界中のユニクロ店舗ならびに公式SNSでデビューするグローバル・インフルエンサーを世界中から募集するというもの。好きなUTを着て、その時の気持ちをTikTok動画で情熱的に表現した4名が選ばれた。

「我々はUTを、単なるTシャツとしてではなく、自己表現のツールだととらえています」と語るのは、ユニクロUTコラボレーション事業推進部部長の松沼礼氏。「世界中のお客様それぞれの個性や、価値観をダイレクトに表現できるツールとして、UTを着用し、自分らしさを表現していただきたい。そんな想いを実現したキャンペーンです」

応募条件はユニクロが提供するオリジナル楽曲を使用すること、UTを着用すること、ハッシュタグ「#UTPlayYourWorld」を付けて投稿することのみで、非常にシンプルだ。UTといえば、多種多様なデザインのTシャツを手ごろな価格で、各地の店舗やオンラインストアで購入できるため、誰にでも参加しやすい。

UTのマーケティングにおける課題は、ユニクロ(店舗ならびにオンラインストア)で買い物をした経験が無いデジタルネイティブに対し、UTを通じてユニクロに興味を持ってもらうきっかけを作ることだった。だがペイドメディアを活用してUTのコレクションを紹介しても、ブランドへの興味・関心を喚起することは難しいと判断した。「メディアの出稿量に比例して、瞬間的にTシャツの売上は伸びるかもしれません。でも、我々が期待するのは、UTを通じて、LifeWearを提供するユニクロというブランドに対し、長期的に興味を持っていただくこと。その達成は、単にペイドメディアに出稿するという手法では難しいと考えました」

そこで同社が注目したのが、デジタルネイティブの間で既に支持されるショートムービープラットフォーム「TikTok」だ。お気に入りのUTを着用する一般ユーザーの動画によって、UTを着て自己表現する楽しさや、Tシャツの幅広いラインナップを、自然な形で紹介するプロジェクトを立ち上げた。

「このプロジェクトのゴールは、若者支持率ナンバーワンブランドを達成すること」と松沼氏。もちろん、1回のキャンペーンで達成できるとは考えていないというが、「デジタルネイティブの方に、さまざまなTシャツから自分好みの一枚を選び、それを着て自分らしさを表現する楽しさを体験してもらいたい」とのことだ。

「個性や価値観をダイレクトに表現できるツールとして、UTを日常着として選んでもらい、毎日の生活をより自分らしく、快適に過ごしていただければと考えています」

応募期間はわずか2週間強だったが約9.5万人が参加し、投稿数は約18.5万件にも上った。動画の視聴数も約3.3億回(2019年7月11日時点)を記録している。

キャンペーンの成功要因は二つあると松沼氏は語る。まず、「自分を表現したい」「有名になりたい」というTikTokユーザーのインサイトと、UT側が提供した「好きなTシャツを着て自分らしさを表現する」「グローバルにデビューできるチャンスがある」というスキームが合致したこと。このことが、キャンペーンに参加してみたいというモチベーションを、強く刺激できたと同氏は考えている。

もう一つは、キャンペーンの応募資格に表現上の制約をあえて設けなかった点にあるという。企業が提供するキャンペーンには、ダンスやポーズの型を決め、それを審査条件として設けるものが多い。だが、「企業側が望むさまざまな制約を設けると、TikTokユーザーが毎日アプリの中で行っている日常の行動を変えてしまう事にもなる」と松沼氏。

たくさんのユーザーに参加してもらうキャンペーンは、彼らの普段の行動の延長線上にある範囲で制約を設定し、ユーザーを選ばず誰もが参加できるスキームを意識することがもっとも大切だと考えたという。「その上で、企業・ブランドの価値観に沿ったお客さまとの接し方を、オンラインでもオフラインでも再現することで、お客さまとの信頼関係を積み上げていくことが重要だと考えました」

日本のグランプリに選ばれた出演者が登場するテレビCMは、9月16日に放送した。

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Campaign Japan

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