Ryoko Tasaki
2024年1月26日

世界マーケティング短信:ネットフリックスの会員数が大幅増

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信:ネットフリックスの会員数が大幅増

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

会員数が3カ月間で1300万人増 広告事業は最優先課題

ネットフリックス(Netflix)が第4四半期の決算報告を行い、同期間中に会員数が約1,300万人増加したと発表した。最も会員数が増えたのはEMEA(欧州・中東・アフリカ)で500万人増、続いてAPAC(アジア太平洋地域)が290万人増、米州で280万人増、南米で240万人増だった。

動画配信サービス業界における同社のポジショニングを尋ねられ、共同CEOのグレッグ・ピーターズ氏は、視聴者とのエンゲージメントと高品質なコンテンツへの投資が競合他社との差別化につながっていると答えた。同日には、米プロセス団体ワールド・レスリング・エンターテインメント(WWE)の番組「RAW」を、10年間にわたって配信する契約を結んだことも明らかにしている。

広告事業はまだ初期の段階にある。ピーターズ氏によると、ターゲティングや効果測定、広告商品の拡充などといった広告技術の向上は、同社にとって最優先課題の一つだという。また、営業や運用のスタッフを増員することで「広告主とより良いパートナーになれる」とも語った。

一方、競合するアマゾン(Amazon)のプライムビデオでは、来週から広告表示が始まる。プライムビデオのコンテンツは競合と比較すると品質が低いとウォール・ストリート・ジャーナルは指摘するが、広告を小売プラットフォームでのコンバージョンにつなげられることが同社の強みだ。

検索広告キャンペーンをAIが生成 グーグル

グーグル(Google)のAIモデル「Gemini」が、広告サービス「Google広告」に組み込まれた。まずは英語版が米国ならびに英国で展開され、今後数週間以内にはグローバルに利用可能になる予定だ。

広告主がURLを入力すると、AIが画像や見出し、説明文など、キャンペーンに合わせたクリエイティブを自動的に生成する。広告主はAIとの会話を進めながら、生成された候補の中からクリエイティブを選択したり、コンテンツを自由に修正することもできる。生成された画像には、電子透かし「SynthID」が埋め込まれる。

「検索のビジュアル化が進むにつれ、パフォーマンスを高める魅力的な画像の作成が難しいという声が広告主から聞かれるようになりました」と、Google広告担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのシャシ・タークル氏はブログに記した。「そのため、生成AIとランディングページを使ってキャンペーンに合わせた画像を提案する、会話型の体験を設計しました」。

ライアットゲームズ、1割強の従業員をレイオフ

米国に本拠を置き、中国のテンセント(騰訊)が買収したゲーム開発・販売会社「ライアットゲームズ(Riot Games)」が、全従業員の11%にあたる530人をレイオフすると公式ブログで発表した。

ディラン・ジェイデジャCEOによると、2019年から運営モデルを変え、海外に拠点を広げ、人材を採用し、わずか2年で規模を2倍に拡大したが、現在は「十分にフォーカスを絞れておらず、多くのことを手掛け過ぎている」状態だ。コストは持続不可能なレベルに膨れ上がり、実験や失敗の余地はない。これはクリエイティブな企業にとって致命的で、ビジネスの中核が危険にさらされているという。

アルツハイマー型認知症をゲームの世界で体験

フォートナイト(Fortnite)のゲーム「Lost in the World」では、動きが遅くなったり、像がゆがんで見えたり、部屋にいたと思ったら急に屋外に移ったりといった異変が続く。そして画面中央に「これはプログラミングのバグではありません。アルツハイマー型認知症の患者の日常です」という文字が表示される。プレーヤーが体験していたのは、見当識障害、記憶障害、空間認知障害といったアルツハイマー型認知症の症状なのだ。

このゲームは、若年発症アルツハイマー型認知症の啓発を目的に作られたもので、制作したのはモメンタム・ワールドワイド(Momentum Worldwide)と、スペインの患者や家族・親族のための連盟(CEAFA)。キャンペーンに先立ち、スペインの有名なプレーヤー達がこのゲームに予備知識なしで参加した模様を、動画で公開した。

【お知らせ】

アジア太平洋地域のメディア、広告、マーケティング業界で働く女性の中から、変革を担うリーダーや期待の若手を選出する「Women Leading Change」。今年で第8年目となる同アワードのエントリー受付が始まりました。

早期エントリーは2月5日、通常エントリーは2月22日まで。最終結果は5月14日に発表します。詳しくはこちら(英語)をご覧ください。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

2 日前

世界マーケティング短信:Cookie廃止の延期、テスラの人員削減

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

3 日前

大阪・関西万博 日本との関係拡大・強化の好機に

大阪・関西万博の開幕まで1年弱。日本国内では依然、開催の是非について賛否両論が喧しい。それでも「参加は国や企業にとって大きな好機」 −− エデルマン・ジャパン社長がその理由を綴る。

4 日前

エージェンシー・レポートカード2023:カラ

改善の兆しはみられたものの、親会社の組織再編の影響によって、2023年は難しい舵取りを迫られたカラ(Carat)。不安定な状況に直面しつつも、成長を維持した。

4 日前

私たちは皆、持続可能性を前進させる責任を負っている

持続可能性における広告の重要性について記した書籍の共著者マット・ボーン氏とセバスチャン・マンデン氏は2024年のアースデイに先立ち、立ち止まっている場合ではないと警告する。