Ryoko Tasaki
2024年5月24日

世界マーケティング短信:Netflixの広告付きプランが4000万人を達成

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信:Netflixの広告付きプランが4000万人を達成

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

導入から1年半の広告付きプラン、ここ数カ月で急増

ネットフリックス(Netflix)は、広告付きプランの月間アクティブユーザー数が4,000万人に達し、利用可能な12の地域では全契約者の4割を広告付きプランが占めていると発表した。このプランは22年11月に導入され、ここ数カ月で急速に成長したという。同社はまた、自社で開発した広告配信プラットフォームを提供することも発表した。

なお、マイクロソフト・アドバタイジング(Microsoft Advertising)のニック・セッコルド氏は最近のCampaignのインタビューで、ネットフリックスが日本、韓国、豪州でのみ提供しているプログラマティック広告のサービスを、アジア太平洋地域で拡大する可能性が高いと語っている。

OpenAIRedditが提携

オープンAI(OpenAI)とレディット(Reddit)が提携を発表した。オープンAI側としては、レディットのData APIにアクセスして最新の話題をユーザーに提供できるようになる他、言語モデルの学習に利用できる。一方のレディット側は、AIを活用した機能を活用できる。また提携の一環として、オープンAIはレディットの広告パートナーとなる。

レディットの共同創業者兼CEOであるスティーブ・ハフマン氏は声明で「レディットはあらゆる話題に関して常に最新の、本物の人間の会話が集まる世界最大級のアーカイブの一つとなりました」とコメント。「これをチャットGPTに含めることで、人々が探しているものを見つけ、新しいオーディエンスがコミュニティーを見つける上で役立つでしょう」。

グーグル、AIを使った数々の新機能を発表

グーグルのスンダー・ピチャイCEOは年次開発者会議「Google I/O」で、同社は「完全にジェミニ(Gemini)」の時代に突入しました」と語り、同社の生成AIであるジェミニを使った新機能を次々と発表した。

たとえばライブチャット機能は、音声会話でジェミニと詳細な会話ができるようになる。また写真のコンテキストを認識した検索が可能な機能は、この夏から米国で試験的に導入される。Gmailでは内容の検索や要約、返事の下書きまで作成できるという。

「ジェミニは、単なる会話型AIではありません」とピチャイ氏。「複雑なタスクに取り組み、ユーザーに代わってアクションを実行することができる、パーソナルで便利なアシスタントとして設計されています」。

さらに、端末のカメラが写したものを理解する次世代型のAIアシスタント「プロジェクト・アストラ(Project Astra)」についても発表された。カメラで撮影しながら質問した内容について、AIが即座に回答する様子がプロモーション動画に収められている。

LGBTQ+に対するヘイト発言を集めた手帳

モントリオールの非営利団体「フォンダシオン・エマジャンス(Fondation Émergence)」とハヴァス・モントリオール(Havas Montréal)は、国際反ホモフォビア・バイフォビア・トランスフォビアの日(5月17日)に合わせて啓発キャンペーン『LGBTフォビック・アジェンダ』を実施した。「LGBTQ+の権利の後退は、社会全体にとっての後退」がこのキャンペーンのテーマで、世界中でLGBTQ+の権利が後退していることに懸念を示すものだ。

米国だけでも2023年1月以降に、600本以上の反LGBTQ+関連法案が提出されている。ロシアでは国際的なLGBTQ+活動を最高裁判所が「過激派」と認定し、禁止した。イラクでは同性愛禁止の法案が可決された。そしてウガンダでは「重度の同性愛」に対し、最高で死刑を課す法律が成立した。

ハヴァスは過去のLGBTQ+へのヘイト発言を400件以上集め、これらが発せられた、あるいは報じられた日のページに記した手帳を制作。日付が12月31日から1月1日へと逆に進むのは、LGBTQ+の権利が後退したことを象徴している。またキャンペーンの一環として、モントリオール市街を後ろ向きに歩くデモ行進も行われた。

「この手帳は、反LGBTQ+のヘイトが驚くほど増えているという事態を反映したもの」と、キャンペーンの特設サイトには記されている。「ここに挙げた出来事は言論や行動、立場を問わず、LGBTQ+に対する偏見や差別、暴力と戦うために意識面でやるべきことが、まだ多くあることを示しています」。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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