Ryoko Tasaki
2020年5月15日

世界マーケティング短信:活動再開への期待と不安

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

新型コロナウイルスの感染拡大により下火になっていた、香港の民主派による抗議活動が、再び活発化している。 (Anthony Wallace/AFP via Getty Images)
新型コロナウイルスの感染拡大により下火になっていた、香港の民主派による抗議活動が、再び活発化している。 (Anthony Wallace/AFP via Getty Images)

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

香港、イメージ修復に携わるPRエージェンシーを公募

香港政府は先々週、国内外に向けたPRキャンペーンの一般競争入札を実施すると発表した。参加資格は、香港にオフィスを構え、1年以上の経験があるフルタイムのPRプロフェッショナルが最低2名在籍し、北米か欧州にもオフィスがあることなど。「敷居は比較的低い」と南華早報(サウスチャイナ・モーニング・ポスト)が報じた。

PRウィークが報じたところによると、香港政府はこのプロジェクトに2.26万香港ドル(2900万米ドル)を投じる予定。2月に発表された政府の年間予算は、海外および中国本土での広報活動が53.5%増であった。ガーディアン紙によると、香港政府は昨年も国際的なPRエージェンシー8社に声をかけたが4社は即座に拒否、残りの4社も引き受けなかった。

 

コンテンツ監視によるPTSD、フェイスブックが和解金の支払いで合意

業務によってPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症したとして、コンテンツモデレーター(問題のあるコンテンツを監視する担当者)から2018年に集団訴訟を起こされていたフェイスブックが、総額5200万米ドルの和解金を支払うことで合意した。2015年から現在までの現役および元モデレーター1万人以上に、それぞれ1千米ドルが支払われる。さらにPTSDと診断された者には最大5万ドルの補償金が支払われる。原告の一人であるセレーナ・スコラ氏は、性的暴行や殺人、動物虐待などのコンテンツを監視する業務でPTSDを発症したと語る。ソーシャルメディア企業が、業務によって引き起こされたトラウマを補償するのは、今回が初めてのケースとなる。

 

グローバルブランドの9割が広告費を据え置く WFA調査

世界広告主連盟(WFA)が4月に実施した調査によると、グローバルブランドの約9割が広告費を据え置き、52%はその期間が6カ月以上となる見通しで、3月に実施した調査から大幅に上昇した。

新型コロナウイルスに関連し、何らかのキャンペーンを実施したというブランドは68%に上る。だが世界全体の広告費は36%減(前年上半期比)、31%減(通年比)という予測だ。メディアごとにみていくと、テレビ(前年上半期から33%減)、ラジオ(同25%減)、新聞・雑誌(同37%減)、OOH(同49%減)、イベント(同56%減)という予測だ。オンライン動画(同7%減)やディスプレイ広告(同14%減)と比べると、トラディショナルメディアが大きな影響を受ける見通しだ。

 

グーグル、サービス提供方法に「カーブサイドでの受け取り」を追加

グーグルは、ローカル在庫広告のオプションに「カーブサイドでの受け取り」を導入する。カーブサイドでの受け取りとは、オンラインで事前に注文した商品を、店舗の駐車場で受け取れるサービスのこと。ユーザーが飲食店を検索すると、「イートイン」「テイクアウト」「宅配」「非接触での宅配」「カーブサイドでの受け取り」といったサービス提供方法を示すことができる。現在はベータ版で、日本の他、米国、英国、豪州などで利用可能。

 

オンライン飲み会で起こりがちな失敗

新型コロナウイルスの感染防止のため、オンラインでの飲み会を楽しむ人が世界的に増えた。だがインターネット環境が不安定だったり、充電ケーブルの短さに悩まされたり、スマートフォンの設置角度を固定できなかったりと、トラブルも頻発している。そんな様子をユーモラスに描いたCMをハイネケンが公開した。制作はピュブリシス・イタリア。

(文:田崎亮子)

 

提供:
Campaign Japan

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